初めてアマヤドリの舞台を観た。

「すばらしい日だ金がいる」という作品だが、なにせ初めて観る劇団なので作風もわからず、他の舞台を観に行った時にもらったチラシだけが頼り・・・。


今の時代、調べようと思えばいくらでも情報を得ることが出来るとは思うが、事前に先入観を持ちたくないので、あまり調べないにひひ




 



劇場は、久しぶりの吉祥寺シアター音譜

物語はチラシからイメージしていたファンタジックな話ではなく、現代病の「うつ」をテーマにした内容。


冒頭、医者から休養することを勧められた男(糸山和則)が、上司と思われる女・大野(笠井里美)に休暇申請を行うが、強い口調で嫌味を言われる。

パワハラを受けた男は耐え切れず退職を願い出る。

しかし、大野自身もうつになり、山奥に引きこもってしまう。


そこでは、立花(渡邉圭介)が主宰する勉強会が開かれており、同じ状況にある人々が集まって議論を交わす。


「過去と他人は変えることが出来ない」というセリフがあり、「アドラーっぽいなぁ」と思いながら観ていたら、劇中でアドラーの名前が出てきて、「やっぱり、そうなんだビックリマーク」と思った。


蛇足ながら、途中で「象のことだけは考えるな」というセリフがあり、これは「シロクマのことだけは考えるな」なんだろうなぁ・・・とも思った。

きっと、この作品を書き上げるために、作家はそのあたり自己啓発本を読みこんだのではなかろうかはてなマーク


演劇という形のセミナーを受けているような感じかなぁ・・・。

笑いを誘う場面もあったけれど、基本的にはテーマに真剣に向かい合っている面の方が強い。


大野の娘や婚約者、姉妹がやってきて、それぞれの視点で意見を言い合うが、かみ合わない。

勉強会を主宰する立花が、実は彼自身もうつになっており、薬に依存している。

ラストシーンで、立花の問いかけに答えつつ、自分の本心(解答)を理解出来たように思われる大野だが、姉妹達を目の前にした瞬間に、再び壁を作ってしまう。


シンプルな囲み舞台で、派手な演出もない役者の実力が問われる会話劇。

全体的に長台詞が多く、特にラストシーンの立花と大野の掛け合いが凄まじい。

扱っているテーマがテーマだけに、一歩間違えると退屈な、説教くさい作品になってしまうところなんだろうが、迫真の演技に集中して観ることが出来た。

あと、勉強会を観ていた妹の夫に、積み上げてきたものをぶち壊してしまうような、「なんだ、やっぱり宗教じゃん」というセリフを言わせてしまうのが、ある意味で爽快かも・・・!?


ただ、人の関係性(特に大野と娘の関係性)はあまり描かれていなかったように思う。

そのため、最後にまたしても逃げ出そうとする大野と娘のシーンはよくわからなかった。

まあ、タイトルには繋がってくるのかもしれないけど・・・。


上演時間:2時間10分