柿喰う客は、女体シェークスピアシリーズしか観たことがなかったので、そろそろ劇団公演も観てみようと・・・
行ってきました、本多劇場「天邪鬼」
このチラシを見て初めて知ったけど、玉置玲央って、柿喰う客所属だったのね
玉置玲央の出演作品は、結構、観てるんだけどなぁ・・・全く知らなかった
物語は、こどもたちによるリアル戦争ごっこ
こどもの想像力が現実の壁を越え、拳銃に見立てた指先は弾丸を放ち、戦車は少女の足を砕く。
こどもたちの想像力を操る能力に気づいた大人たちは、その能力をさらに高めるため、教育システムに演劇を取り入れ、こどもたちを戦場へと送り出す。
しかし、全てのこどもたちがその能力を発揮できるわけではなく、部隊は次々と壊滅。
演じることによって防御する力を持つある部隊だけが残される。
彼らはいくつもの物語を演じることが出来る。
しかし、リーダーのあまのじゅんや(玉置玲央)が選択する物語は、いつも「桃太郎」
「桃太郎演る人、この指止まれ」
時には、他の物語を演りたいと不満を口にする子もいるが、「誰かが二役やれば物語は成り立つ」と言われ、仲間からは謝るように諭される。
自分の演じる役を奪われ、存在意義を失う(防御システムから外される/仲間はずれにされる)ことを恐れ、結局は「桃太郎」を演じることとなる。
そこまで深読みする必要はないのかもしれないけれど、これは「いじめ問題」そのもののような気がする。
最終盤で、桃太郎が鬼が島に鬼退治に向かうシーンが意味深。
桃太郎は鬼が島を探すけれど見つからない・・・「鬼が島は何処だ」
やがて・・・桃太郎は考える。
「たどり着いた所が鬼が島」
「たどり着いた所に住む者が鬼」
「油田とか、何に使うものかわからないけれど、鬼の持っていたものはみんなの宝物」
正確には覚えていないけれど、このセリフはかなり怖い
正義の旗を振りかざし、行く先々で戦を仕掛け、そこに住むものを悪者に仕立てて、「宝物」を奪い取る。
昔話になぞらえて、現在を皮肉っているように思う。
劇団公演は初めてだったけれど、展開が早く、物語性よりもメッセージ性の強い作品だった。
同じセリフを繰り返すシーンが何度かあって、印象に残った。
上演時間は90分+トークショー