平田オリザ×本広克行 「転校生」を観てきた。
同じコンビで上演された「幕が上がる」は、ももクロ関連ということで観に行かなかったものの、平田作品は一度観てみたいと思っていた。
そして、「墓場女子高生(http://ameblo.jp/yes-90125/entry-12053859884.html )」に出演していた清水葉月さんも出ている
3月に観た「解体されていくアントニン・レーモンド建築旧体育館の話 (http://ameblo.jp/yes-90125/entry-11994982261.html )」にも出演していたので、今年だけで観た作品は3作目
チラシに「若手女優発掘プロジェクト」と書かれているけれど、清水さんに関しては、すでに発掘済みなのだ
会場はZeppブルーシアター六本木。
初めて行く劇場だったので早めに到着すると、舞台上では女優さんが発声練習や柔軟体操、楽器の練習などをしている。
通常、事務的に流れる開演前の注意事項のアナウンスも、女優のひとりが行う・・・「すべて見せます」って感じ。
舞台は、とある高校の教室。
ひとり、またひとりと女子生徒が登校してきて、他愛のない会話を交わしている。
少しずつ生徒の数が増えてきて、教室は喧噪さを増す。
そこに、転校生がやってくる。
彼女は、「朝起きたら、この学校の生徒になっていた」という。
転校生を紹介された生徒たちは、そのことに対してツッコミは入れるが、自然と彼女を受け入れる。
同時に交わされる複数の会話・・・全ての会話を追いかけることは難しく、誰かの会話に意識を集中しないと、ただ喧噪のなかに身を置いているに過ぎない状況となってしまう。
しかし、日常生活の中では普通に行っている(はずの)ことが、劇場というひとつの空間に閉じ込められ、舞台に意識を集中しているがゆえに、逆に難しい。。。
観る側も意外と大変
演出面では、映画監督の本広克行が演出を手掛けているだけに、舞台+映像という見せ方になっている。
正面のスクリーンには、脚本がそのまま映し出され、舞台脇に控えるカメラからの映像が、両サイドのスクリーンに映し出される。
スクリーンに映し出される脚本は、聞き逃したセリフを後追いするには便利だが、演じる側にとってはプレッシャーになるだろう。
佐々木蔵之助のひとり芝居「マクベス(http://ameblo.jp/yes-90125/entry-12053143904.html )」で使われていた定点的な監視映像と異なり、カメラマンがついて動的に映し出されるリアルタイム映像は、表情の変化をも的確に捉える。
これは、映像としての見映えを確認するという次のオーディションにもなっているのではなかろうか・・・
平田作品は初めてなので、今回だけで作風を決めつけるわけにはいかないが、この作品に限って言えば、「日常」の切り取り方が見事
普通の女子高の教室に、転校生と転校する(かもしれない)生徒を入れるだけで、ちょっとドラマティックな物語に・・・
1474人の中から選ばれた若手女優の実力はさすが
上からの映像を使った演出も含め、ラストシーンがとっても良かった