リンゴ畑の小屋の中、
20匹位の猫がいた。
メスは10匹位、
4月中旬、ほとんどが妊娠していると思われた。
この場所には、70代位のおじいさんと、40代位の娘さんがいた。
毎年、出産シーズンが終わると、
小屋の中では、40匹以上になるそうだ。
小屋の外で産まれた子猫は、把握していないので、その数合わせると、
40匹以上、何匹かわからない。
春に40匹まで増えても、亡くなったり、外へ出たきり戻ってこない猫もいて、
大体、20匹位で、いつも落ち着くのだそうだ。
娘さんは、戻ってこない猫のことを、
「巣立っていく」
という言い方をしたので、
私は、かなり怒りを覚えたが、何とか我慢した。
妊娠の進んだメス猫から、手術を始めていった。
メス3匹。
不妊手術、耳カット。
メス3匹。
不妊手術、耳カット。
メス2匹。
不妊手術、耳カット。
メス2匹。
不妊手術、耳カット。
メス10匹。
ここまで手術したところで、娘さんが、
「これでメスは全部だと思います。ありがとうございました。お世話になりました」
と言うので、私は、
「最初に、全頭手術って言ったじゃないですか。触れない猫もいる中で、全頭オスとは確実でないです。オスだと思った猫がメスだった場合、そのメス1匹に、オス全頭が群がって、子猫が8匹とか産まれることになります」
結局、その後、娘さんがオスと言っていた猫の中には、
2匹、メスがいた。
オス2匹。
去勢手術、耳カット。
メス1匹、オス2匹。
不妊手術、耳カット。
去勢手術、耳カット。
そして、娘さんが、
昨年の秋に、どこからかやって来たオス猫、と言った猫は、メスだった。
娘さんに、これで全頭かと聞いたら、
「今いるのは、全頭です。後は、巣立っていったので」
と言った。
全頭手術して、とりあえずは、ひと段落と思っていたら、
数日後、娘さんから、動画が送られてきた。
娘さんが、朝、小屋に行ったら、子猫がいて、母猫らしき猫の姿はないという。
娘さんは、言った。
「たまに、どこからか、新しい猫がやってくるんですよね。きりがないです」
私は、
「どこからか、新しい猫がやってくるのではなくて、巣立ったという猫が、戻って来てるんだと思います」
と言った。
それから2週間。
子猫は、何とか元気に育った。