3月の中旬、
お腹の大きいメス猫がいる、
という相談があった。
そのメス猫は、近所で嫌われものなのだそうだ。
この相談をして下さった女性は、
このメス猫を不憫に思い、保護出来たら、自分の家で出産させて、
産まれた子猫は里親探しをして、
出産したメス猫は、自分が家族に迎えたいと言った。
メス猫を保護。
そして、
3月の後半、相談を下さった女性のお宅で、子猫が4匹産まれた。
5月、子猫4匹は大きくなり、
6月、
4匹全頭に、新しいご家族が見つかった。
5月後半の事、
子猫3匹の保護依頼があった。
海沿いの田舎町、
子猫が産まれると、山へ捨てに行ったり、
保健所が近くにないことから、役場へ持っていく人が多いらしい。
役場の職員は、
「うちの方(ほう)に持って来られても、うちでは処分するだけですよ」
今回、役場に持っていった人が、
そう言われて、連れて帰ってきたという子猫。
そして、
ダンボールに入れられて、捨てられていたという子猫もいると聞き、
「まだ、いるんですか」
私が聞くと、
「他にも、知り合いの所で、こんな子猫が産まれている」
と、写真を見せられた。
「この子猫も、私が保護してもいいです。ただ、どの子猫も、母猫はいないんですか。いくら保護したって、母猫を手術しないと、2ヶ月後、また産まれますよ。母猫のこと、聞いてきてもらえますか」
私は、言った。
この時、受け取った子猫4匹は、1〜1.5ヶ月。
まだ、授乳が必要だ。
私は、あの近所の嫌われものだと言われた、母猫を迎えて下さった女性宅を訪ねて、
母猫に、子猫を預けてもいいかとお願いした。
母猫は、自分の子ではない子猫4匹に授乳して、しっかりと面倒を見てくれた。
この時、このお宅の女性との話の中で、
女性が、出来ることがあれば協力したい、ということを申し出て下さり、
話し合った結果、この部屋を、子猫の譲渡部屋に出来ればいいのではないかということになった。
子猫の預かりをして頂きながら、希望者がいれば、この部屋に見に来て頂く。
もちろん、初期費用、かかる費用は、私が出すことを話して、
女性も、ぜひ協力したいと言って下さった。
その後、
スーパーの店員さんから、側溝に子猫がいるという連絡があり、子猫を保護。
そして、
先日の写真を見せられた子猫2匹に、母猫がいることがわかり、
母猫も、一緒に連れて来てもらうようにお願いした。
親子猫、3匹。母猫は、長毛のミケ猫だった。
母猫は、
スーパーの側溝にいた子猫にも、授乳してくれた。
子猫の保護は、まだ続いた。
ある農家で、ご主人が、母猫をトラクターで轢いてしまい、
子猫3匹が、取り残されているという事だった。
慌てて駆けつけると、
ご主人が、子猫2匹を抱えていて、もう1匹が見つからないと言った。
この中の物を一つずつ出して、
子猫1匹が見つかった。
母猫は、
無念であっただろうと思いながらも、
何か見えない力によって、
自分の命と引き替えに、
子猫たちを、
助けてくれる人に、託したようにも思えた。
埃まみれだった、子猫3匹に、
長毛のミケの母猫が、授乳してくれた。