昨年の4月、


どう説得をしても、手術を断られたお宅。



オスとメスの、兄妹猫。




「このままでは、ねずみ算式に、猫が増えていき、多頭飼育崩壊の恐れがあります」

「手術費用は入りませんし、駆虫、ワクチンもして、お返し致します」


と、私が言っても、




「他人様に、そのような事をして頂くのは申し訳ありませんので、どうかお引き取り下さい」



おばあさんは、何度も繰り返し、


おじいさんは、しつこいと、怒り出した。






7ヶ月後。


子猫が産まれてみれば、私の言うことが理解できるのかと、


再度、訪問。



子猫が4匹産まれており、すべてメスだった。




この時点で、オス1匹、メス5匹。


この先、


メス5匹が、3匹ずつ産んだとして、子猫が15匹。


それに、今いる猫を足して、21匹になる。



この事を、おばあさんに話して、ようやく手術の了承を得た。






そして、先月末に訪問。



すると、おばあさんが、亡くなっていた。



おじいさんの話によると、


亡くなる数ヶ月前から、おばあさんは、徘徊が始まり、

その度に、おじいさんが、車で山を下り、探しに行っていたそうだ。



その日も、おばあさんが家にいないことに気付き、


慌てて、おじいさんは、探しに行った。



しかし、


おばあさんは、山を下ったのではなく、


家の裏で、雪に滑って転倒して、倒れていたのだそうだ。


おじいさんが戻り、おばあさんを発見した時には、


もう手遅れだったそうだ。





外には、外猫が、3匹いた。




黒猫が、母猫。


グレーの2匹が、その子猫




このお宅は、


家猫のオスを、たまに外に出すので、




外猫のメスと、家猫のオスが、交尾して、


家猫のオスと同じ、サバトラが2匹産まれている。



おじいさんは、


「ばあさんいないし、エサ代も1万7000円かかるので、2匹ぐらいが、ちょうど良い」


と言った。



(随分、勝手だな)


と、私は思ったが、


「手術させない、手放さない人」という人も中にはいて、


それが、一番大変なので、



2匹がちょうど良いというならば、手放すことが出来るということに、


実は、少し安心した気持ちを持った。




「おじいさんの好きな猫、2匹残して、後は、私が連れて行ってもいいので、


その代わり、これ以上増えれば、私も引き取れないので、手術させて下さいね」



私は言った。



おじいさんは、了承してくれた。





おじいさんは、この集落の町会長であった。


次の日曜日、村の総会があるというので、


私は、


「猫が増えてしまっているとか、困っているひとがいたら、協力できるボランティアがいると、総会で話してもらえませんか」


と言った。



しかし、この事が、


後に、とんでもない仇(あだ)となってしまった。






日曜日、総会で、おじいさんがその話をすると、


村の人が、



「あの女、また来たのか」



「村の猫捕まえて、売っているんだべ」



「何も得(とく)ねえば、こんな山奥さ、来ねえべ」



次々と、こんな言葉が飛び交ったというのだ。




この集落は、


おばあさんが亡くなり、猫が取り残され、


野菜が食い散らかされた現場と同じ集落なので、




昨年も、保護活動に通っていた。



村の人を見かければ、事情を説明していたが、


物陰から、不審に見ていた人もいたらしい。





おじいさんが、村の人に、捕獲器で猫を捕獲していることを言うと、


その中の1人の女性が、おじいさんの家まで来て、捕獲器をみて、


「何の罪も無い猫に、こんなひどい仕打ちをして」


と言ったという。




おじいさんは、その総会以来、


私に対しての態度が、また硬化してしまった。


「捕獲器持って、帰ってけろ」


自分の家に、私が来ていることを、村の人に見られたくないのだろう。




幸いな事に、


外猫の3匹は、前日までに、保護していた。



母猫。



不妊手術、耳カット。




その子猫のオス。



去勢手術、耳カット。




子猫のオス。



去勢手術、耳カット。






おじいさんは、言った。


「外の猫、もう連れてきたって、ダメだからな」


「後、もう来ねくていいから」








おじいさんの家の玄関に、


カレンダーが飾ってあった。


おじいさんは、この言葉を、読んだだろうか。






「必ず、また来ますので、このカレンダーの言葉の意味を考えて、


どうか手術を、お願い致します」





しかし、


多分、今さら、考えてもわからない。




自分が死んだ後、



猫がどうなるかなど、

 


何も考えていない。



 



















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いつも、ご支援をありがとうございます。

本当に助かっています。感謝の気持ちでいっぱいです。

収支報告、近々できるようにします。収支報告がしやすいようにと、外猫の手術費、駆虫代のみを使わせて頂こうと思っていましたが、やはり、保護頭数も増え、フード、猫砂の費用もかかっていまして、4月より、フードに1日1,500円、猫砂に1日600円ずつ使わせて頂ければ、有り難いです。

どうぞ、よろしくお願い申し上げます。