7年前の冬だった。


山の中を車で走っていると、

雪の中に、きつね色の何かが見えた。

それは、

茶トラの猫の遺体だった。



3月、ちょうど雪解けの頃、

猫の遺体は、損傷もなく、腐敗もなく、

綺麗な状態のままだった。



猫の遺体を見ながら、

あの時、私は、

「あー、もうすぐ春だったのに。あと、もう少しで春だったのに」

と、嗚咽した。



保護活動を始めて、まだ間もない時であり、


今考えると、このことがきっかけで、

保護活動への比重が、大きくなっていったように思う。


そして、

山の中に迷い込んでしまう猫を保護したい、

という気持ちが強くなった。





昨年の10月、

山の中に、猫を発見した。


その先は、山の頂上にしか至らない道を、

ひたすら、猫が歩いていた。



私が車を停めると、

猫は止まった。



静かに、ゆっくりと、車を降りて、


10分後、

猫を保護することが出来た。



初めは、威嚇が激しかったが、

ある時急に、とても甘えてくれるようになった。






そして、同じ頃、

さらに山を上がった場所で、もう1匹を発見する。


車を停めると、猫は姿を消し、

茂みに隠れたのか、

その先に進んでしまったのか、わからなかった。

静寂の中、フードの袋をカサカサと、わざと音を立てて、

捕獲器を仕掛けた。


20分後、戻ると、

車の中から、捕獲器に猫が入っているのが見えた。


その瞬間、私は、

「やったー、良かった。やったー」

と、車の中で、泣きながら叫んだ。


山の中にいた為、

マダニが複数付いていた。







11月に入り、

また、山の中に猫を発見する。

片方の目が、赤く腫れていた。


その日は保護出来なかったが、餌付けが出来た為、

置きエサを始めた。



次の日の朝には、空になっていた。



しかし、カラスかもしれないし、野生動物かもしれない。

一度、置きエサをした後、遠くから、しばらく見張っていたら、

何かが来た。

遠くから写真を撮り、拡大してみると、

猫のように見えた。



猫が、フードを食べているようだった。



そして、

数日後、保護することが出来た。




この時から3ヶ月が経ち、

現在、目の状態は、かなり良くなった。







12月に入り、

朝起きて、窓の外を見る。



今年は、大雪だった。




外の猫に、

寒さを凌げる場所など、

どこにもない。




7年前、私は知らなかった。


茶トラの猫の遺体が、損傷なく、腐敗もしていなかった為、


後もう少しで春、という矢先に、

力尽きて、亡くなったのだと思っていた。


しかし、違う。



山の中、あの大雪の中、

3ヶ月も生き延びられるわけがない。


まだ小さかったあの猫は、

雪が降り、早い段階で亡くなった。




そして、


ずっと、ずっと、


凍っていたのだ。
















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いつも、本当に助かります。時間ギリギリいっぱいになってしまい、この場でのお礼になってしまいまして、本当に申し訳ございません。感謝の気持ちで、いっぱいです。ありがとうございました!!