この土手を這い上がり、

地上に出てくる、


白い猫を見た。



白い猫は、小動物でも食べたのか、

顔が汚れていた。

そして、何とも言えない、悲壮感が漂っていた。


もうすぐ雪。



この場所に、

一軒だけポツンとあるお宅を訪問した。

事情を話し、捕獲器を置かせて頂けることになった。





11月上旬、まだ秋晴れの続く日だった。

数日後、捕獲器の中の、

入り口付近のご飯を食べた形跡があった。


この場所に、来ている。

保護できる、と思った。




それから、2日後。


白い猫ではなく、

キジトラの猫を、保護。


オス。未去勢。



エサ場は、あるのだろうか。

人間から与えられるエサ場と、寒さを凌げる場所が無ければ、


雪国の大雪では、

凍死。餓死。


雪が降り、下水道に身を潜めていた猫は、

一夜にして、

雪の壁に閉じ込められる。





白い猫は、この場所に来ているのだろうか。



もう、3週間。

保護できない。見つけられない。


こちらのお宅のご主人、

「もういいんじゃないの?」


「何とか、雪が降るまでお願いします」




今週、別の現場で、茶白の猫を保護。




オス。未去勢。




そして、次の日の朝、

目覚めて、ウトウトしていると、


何かが滑り落ちる音。

嫌な予感。



窓の外を見る。




雪が積もっていた。





現場は、一面の雪景色になった。



あの顔を、覚えている。

そして、保護できなかった。


たくさんの猫が、

この雪の中、凍えている。




1匹でも多くの猫を、家中に入れてあげたい。

しかし、限界もある。









どうして、同じ犬や猫なのに、

中にいたり、外にいたり、

殺されたりするんだろう。



たくさんの人が、

保護したり、里親探ししたり、手術したり、

頑張っているのに、


それなのに、

どうして、まだ外に、

たくさんの猫がいるんだろう。







それは、

人間が、捨てるから。















個人で、野良猫の保護、不妊去勢、里親探しをしています。また、多頭飼育崩壊現場の不妊去勢をしています。
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