公務員のご乱心 | パパ?のブログ

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しばしば記事を書くのを怠けてしまいますが、今は過去に乗った車、運転した車のことをメインに書いていきます。それぞれの車の良い点や悪い点も含めて紹介しています。イメージとはかけ離れた実態を持った車種もあるので、少しでも参考になれば幸いです。

世の中の多くの方はフォルクスワーゲンという自動車メーカーを

ご存知なことと思います。

もちろん昨日もとりあげましたが。。。

 

ドイツ語ではVolksWagenと書きまして、Volksは大衆的とか

人々などという意味でドイツ語を使うオーストリアはウィーンの

オペラ座も「Der Volks Oper Wien(大衆オペラ座)」と

言われたりしています。そしてWagenは車という意味です。

 

つまりドイツではベンツもBMWもレクサスも全部Wagenなの

です。しかし頭にVolksがつくと固有の自動車メーカーの車と

なり、大衆的な自動車、すなわち我々が認識するワーゲンに

なるわけです。

 

元々フォルクスワーゲンの成り立ちは第二次世界大戦前夜まで

遡ります。当時ドイツを治めていたアドルフ・ヒトラーが当時

一部の富裕層にしか購入することができなかった自動車を、

労働者にも購入できるものとしようという考えのもと、後の

ポルシェの創業者であるフェルディナント・ポルシェ博士に

大衆車の開発を指示したのが始まりでした。

 

この車は戦争により結局労働者の手には届きませんでしたが、

購入希望者が毎月決められた金額を積み立てることで、積立合計

が自動車購入価格の75%に達した時点で車の引渡しを求める

ことができるという、今の割賦販売の前身となるようなシステム

も取り入れた画期的なものでした。

また車自体は戦後にベストセラーとなったビートルとほぼ同じ

内容の車で、非常に先進的なものでした。

 

そして戦後、ビートルのヒットで躍進したフォルクスワーゲン

ですが、他の車種は商業的に成功しておらず、ビートルの一本足

から脱却するために開発したものが初代パサートです。

1964年にダイムラー・ベンツ社から買い取ったアウディの

小型車「80」をベースに1973年、初代が誕生しています。

 

初代は一部の国では1988年まで生産されましたが、本国を始め

大きな市場では1981年にB2へとバトンタッチされています。

日本では当時、ゴルフが主力販売車種となっていたため、B2は

輸入されていませんが、セダンモデルの「サンタナ」が日産の

座間工場でノックダウン生産されています。

 

1988年にはB3型へと進化しました。グリルがなく、当時日本

でもヒットしたフォード・トーラスのフロントマスクに少々

似ています。

日本ではサンタナに引き続き日産の工場で生産されることが

合意され、パサート自体も日産サニー・プリンス店で販売されて

いましたが、提携は解消され1991年にフォルクスワーゲンは

トヨタと提携する運びとなりました。

それに伴い、販売はファーレン・Duo店で行われています。

 

しかしこのフロントマスクは不評で、1991年にグリルありの

デザインへ変更され、モデルコードもB4へと変更されました。

またB3よりアウディとのボディー共有は終了し、80よりも

若干大きなボディーが与えられることとなります。

 

そして1996年には一層ボディーサイズが拡大されたB5へと進化

します。この代から中国でも生産され、これまで旧式のサンタナ

や小型のジェッタで築いてきた中国市場での地位をより盤石な

ものとするのに一躍かっています。

Cd値0.27の空力を重視したボディーデザインとされ、先進の

技術を取り入れた野心的なモデルとされています。

デザインは先代に比較しても超地味ですが。

 

エンジンも当時のフォルクスワーゲンとアウディは1気筒あたり

5バルブを持つエンジンを積極投入しており、EA113のADR、

1.8リッター直列4気筒ガソリン、125馬力仕様、150馬力の

AEB、ターボガソリンに加えACR、2.8リッターV型6気筒、

193馬力仕様など、多彩な5バルブエンジンをラインナップして

いました。

 

またAWDの4Motionを備え、非常に先進的なメカニズムの車と

なっていたのです。しかしデザインは写真の通り本当に超地味。

まさに公務員のおじさんの車です。

これだったら田舎で農協の所長(そんなのいるか知りませんが)

とかが乗ってても後ろ指を指されることはありません。

しかしそんな五代目パサートを取り巻く環境が俄かに騒がしく

なっていくのです。

 

当時のは2002年まで会長を務めたフェルディナント・ポルシェ

の孫にあたるフェルディナント・ピエヒが旗振り役になり始めた

ワーゲンの高級化戦略の真っ只中で2002年発売の大型SUV

トゥアレグ、同じく2002年発売のLセグメントセダンである

フェートンなど、上級セグメントの車種を矢継ぎ早に投入して

いました。

 

しかしワーゲンにはフェートンというベンツでいうSクラス級の

モデルの直下にあるモデルがパサートであり、ベンツで言えば

間が2つ抜けています。

そこでフォルクスワーゲン社が行ったことがパサートの上級移行

でした。

 

2001年のマイナーチェンジでフロントマスクを立派に作り変え

また、パワートレーンも強化してプレミアムカーに相応しい走り

を与えようとします。

しかしパサートには大きなV型8気筒エンジンを搭載するだけの

エンジンスペースはありません。

そこで苦肉の策として完全新設計の8気筒エンジンを開発した

のです。

 

それがボーラなどに搭載されていた15度の狭角V型4気筒という

これまた変態的なエンジンを2機、更に72度の角度を付けて

一体化してしまうという世にも奇妙なW型8気筒エンジンです。

この断面図を見ると方バンクのピストンがずれているのが

お分りいただけると思います。

 

このエンジンのおかげでパサートの狭いエンジンルームに

何とか4リッター、8気筒エンジンを収めることができました。

ベンツの500Eもパンパンでしたが、こちらも負けていません。

 

フロントフェイスはマイナーチェンジ前の地味な顔が嘘のように

派手派手しい顔に整形されています。

そんな

 

フォルクスワーゲン

パサート W8 4Motion

 

を今日は紹介します。

ご紹介の通り4リッター、W型8気筒、BDN、275馬力という

極めて特殊なエンジンを搭載しています。

トルクも37.7kgmと色々な無理がたたっているのか、4リッター

にしてもそれほど大きな馬力とトルクを誇っている訳では

ありませんが、全長4700mm、全幅1745mm、車重1750kgと

小さなボディーには充分な動力性能を発揮します。

0-100km加速は6.5秒。最高速度は250kmですが、今までの

車のスペックからすれば充分だと思います。

 

この車の一番の魅力はそのエンジンにあると言えます。

特殊なW型8気筒という機構もさることながら、演出にはかなり

気を遣っており、エンジンのシリンダー点火順序はフェラーリ

のV8と同じに。

また排気系の集合も快音を奏でるように、フェラーリ348を参考

にして製作しており、それまであまりドイツ車ではましてや

その名も「大衆的な車」のフォルクスワーゲンでは全く気を

遣っていなかった排気音の演出をしているのです。

 

マフラーは4本出しにして気分を高めています。

 

もちろんエンジンの許容回転数はフェラーリに比べて低いので、

あそこまでの高音とまではいきませんが、元々地味なセダンから

聞こえてくるエンジン音とは到底思えません。

冷感時にブリッピングしてアクセルを乱暴に話すと「バリッ!」

という音がしたりして。。。

*ワゴンもあるよ

*本国には6速マニュアルもあるけれど日本は5速オートマのみ

 

この音が結構その気にさせてしまい、いつしか気分が高揚して

コーナーに全開で突っ込んで行ってしまうようになります。

でもそんな時でも。。。

 

安心してください!履いてますよ、スタビラーザーを!!!

 

フロントが4リンク、リアがダブルウィッシュボーンで、共に

スタビライザーを装備しているため、コーナーでの安心感も

とても高いです。

私がイタリアで直進安定性に不安を感じたB6のFFパサートとは

根本的に違います。

 

またご自慢の4Motionでトラクションのかかりも非常に高く、

本当に最高の走りをします。

ワインディングでも怖さを感じさせることは全くありません。

 

B5のパサートはベンツで言えばW124のようで、各ピラーや

足回りの配置が最適な位置にあるのだと考えられます。

だから500Eと同じように開発時には想定していなかった8気筒

エンジンなどを急に載せても破綻することなく、珠玉の車に

仕上げることができたのでしょう。

 

見た目はこんなんでも運転は楽しい!素晴らしい車です。

実はこの車、北関東に住んでいる私の爺さんが82歳の時に

新車購入しました。うちは爺さんがマークⅡの3リッター。

婆さんがクラウンV8とかマジェスタを乗継いでいるのですが、

爺さんがある時「トヨタで小さなボディーにデカイエンジンを

積んだ車を作らなくなった。やっぱパワーはねーと!」という

困った理由でこれに乗り換えていました。

 

ちなみにこのW型8気筒エンジン、欠点はもちろんありまして、

構造的に無理があるようで、オイルがよく漏れるんだそうです。

そして壊れやすいのだと。。。

21世紀の車、しかもフォルクスワーゲンのような大衆メーカー

が作った車とは思えないほど壊れ、修理代が高いのだそうです。

 

そんな欠点もあってか、中古車価格は爆安となっています。

オススメ度合いとしてはですね、古いイタ車とかになれた人に

オススメです。なぜかというと、車って壊れないと車に自分が

必要とされてないんじゃないかって寂しくなるじゃないですか。

その点、W8はドイツ車なのに、しかもワーゲンなのにあなたに

存分に頼ってくれます。

 

地味な車にこんなファンキーなエンジンを載せてしまった

フォルクスワーゲン。しかもこの一代で終了してしまった

このエンジン。。。

まさに「公務員のご乱心」です。

 

まぁ。ディーゼルゲート事件の方がよっぽどご乱心ですが。。。