紀里谷和明監督の2作目。江口洋介さん主演の映画。
賛否両論、いや否の方が多いかな・・・。
1作目の「キャシャーン」も同じ状況でした。
「キャシャーン」の賛否の理由も何となくわかります。
否は映像のあまさ。前評判ではハリウッド級、音楽PVのような美しい映像、しかし蓋を開けてみればそんなモノはなく、静止画の背景の前で演技する役者、物語はたいして進まず、暴走する(演出的な)感情、ドラマ部。人によって置いてけぼりを喰らうか、はまって感動するか。
そういえば、一緒に飲んだ某有名プロデューサーも、良い悪いではなく軽くバカにしていました。
僕はというと・・・実はかなり好きでした。正直、脚本もあまく、映像も一部アクションシーンを除けば、よく言われる大金をかけた自主制作映画。 その通りで、一般のお客さんが面白くないと言うのは正しい。客にしてみれば面白いか、面白くないかの2択なので・・・。だけど自主制作映画だからこそ、客や評論家に媚びてない、100%自分映画でした。映画というより、クリエイター作品として正しいと思う。あと、映画関係者が興行的理由以外でこの作品を悪く言うのはどうかと思う。
そこで「GOEMON」。今日観ました。
感想は、今一歩。確かに面白い。しかし今一歩なんです。
脚本は少し物語と合っていない表現があったり、笑いのシーンが下手だったり(笑いをセリフで説明してました)。説明セリフが前作より少なくなったのはいい。
映像は前作より向上したが、まだ粗が目立った。合成に違和感があったり。しかし、おおっ!と思うくらい美しいシーンもあった。
そして前作までとはいかないもののやはり今回も感情の暴走。暴走というのは、例えば怒り、相手に掴み掛かるシーンがあるとする。やはりその場合、その直前に怒る人物の心の動き(表情の変化や、伏線のようなシーン)があってそうなる。それによって観客も同じ様に心が高ぶったり、その怒りに納得する。しかし、「GOEMON」は急に怒る。伏線らしきものはあるが機能していない。だから感情移出来ず置いてけぼりを喰らう。ただキレただけに見える。
このように、脚本、演出面では少し問題がある。
じゃあダメなんでは? そう、完成度だけで考えれば一般の客の感想はダメでいい。しかし、映画関係者は面白くないで片付けてはいけない。映画「300」のマネだという声もある。確かに、「300」や「ロードオブザリング」に似たシーンはあり、「300」にはかなり影響を受けていると思う。だがこれはある意味正しい方向性なのだと思う。僕は紀里谷監督に近しい思いを感じる。僕も同じ方向性に映画の未来を感じるから。
映画はいままで大きくは実写とアニメの2極。中間がない。CGは補う役割だから、実写では実在しないものを描き、アニメでは情報量を増やし、世界観に広がりを見せる。だが演出で考えると、実写は実写のまま、アニメはアニメ。
「300」はその中間の存在に見えるが、あれはアメコミの1コマ1コマをそのまま実写化した結果だからあのような表現になるし、少し違う。
簡単に言うと「GOEMON」は実際の役者を使い、アニメ・漫画の演出をしようとしている。「マトリクス」「300」などは実写でアニメであった映像をつくり出している。演出と映像の違い。「シンシティ」の方が近いのかもしれない。
紀里谷監督には実写とアニメに違い・境界はないんだと思う。僕もそう思う。よく、アニメだから、実写だからと分けられがちだが、これだけCGで多くを表現出来る今、その違いはほとんどないし、差別化する必要もない。押井守監督は自身の著書で、「すべての映画はアニメになる」なんて事を言っている。少し違うかもしれないが、僕は映画の次の段階は、「実写とアニメの壁がなくなる」だ。映画と言う総合芸術はさらび表現を広げ、何でも取り込むべきだと思う。
「GOEMON」この作品は、その一歩、いや二歩目なのかもしれない。映画の先の表現を考えている映画人はこの作品に何か映画の未来を感じるだろう。
現在の表現で十分と思っている、止まっている映画人はCGに頼ったダメな映画に思うだろう。それも間違いではなく、CGなど使わない人間ドラマの演出でも、突き詰めれば突き詰めるほど先が見えない。どちらも正しい。確かに紀里谷監督は人間ドラマを描く事については弱い。映像表現に頼る監督はそれがかけている人が確かに多い。だからどちらかを捨てるべきではなく、どちらも生かすべきだ。
だから考えて欲しい、紀里谷監督はまだ監督2作目、まだ新人。2作目で「ゴッドファーザー2」級の作品を撮ったらただの天才だ。ただのジョージ・ルーカスだ(スターウオーズもドラマ欠如?)。ケータイ小説のようなアホな恋愛ものだとか、TVドラマを映画化する行為に比べれば、天と地の差。 そう考えると2作目で「GOEMON」は素晴らしいと思う。 紀里谷監督は映画表現の未来を切り開き、将来大化けする可能性もある。とても楽しみだ。
結論、「GOEMON」の完成度はまだまだだが、その表現には未来を感じる。