三軒茶屋のシアタートラムでの公演。6月16日に行きました。
(中島みゆきさんの「夜会」にも出演した)植野葉子さんが参加している舞台…ということもあり行ってきました。
葉子さんの夜会以外の舞台を観るのは、tptの「LONG AFTER LOVE」(三島由紀夫さんの「近代能楽集」をベースにした舞台…ベニサンピットで2000年に上演)以来です。


【概要】
ラテンアメリカの作家、フリオ・コルタサルの短篇小説『南部高速道路』を原作に、演出の長塚圭史さんが、舞台を日本に置き換えて描く。
高速道路で原因不明の渋滞に巻き込まれた人々。いつまで経っても渋滞が終わらない。日は明けて、季節は流れて…。いつしか彼らの中に連帯感が生まれて…


・劇場に入ると、中央に舞台が…座席は四方囲みの形になっていました。座席には車のシートカバーのようなものが付けてあり、劇中、役者さんは客席の入り口からも出入りしていました。

・車をどうやって動かすの…と思ったら、“傘”で車を表現していました…!

・現実にはあり得ない、距離も月日も長い長い渋滞は、『時間』の留まりのようにも思えた。また流れ出せば、混ぜこぜになって人(車)の流れの中に紛れて消えてゆく…。
いつかは終わる時間(人生)の中で、その時にしか出会えないかもしれない人々とのふれあいの瞬間があるのだ。

・真木よう子さんや、梶原善さんといった、映像作品でもおなじみの役者さんも出ていらしたけれど、
私は、黒沢あすかさんの演じられていた役が非常に印象に残った。

黒沢さんは、映画など(私の場合は、予告編のようなもので見た印象なのですが)の映像作品では、妖しく色っぽい役が多かったように思うのですが、今回の舞台では、言いたいことはハッキリと言う凛とした女性を演じていて、私の中での黒沢さんのイメージがガラッと変わった!
映像作品でもこういう普通の女性の役をもっと演じる機会があるといいのですが、一度、艶っぽい役のイメージが付いてしまうとなかなか難しいのでしょうか…。

小林勝也さんも、昨年出演された「路上3.11」の老人をほうふつさせる、とぼけた味わいのおじいさんを演じていて、印象に残りました。


今年に観に行った作品は、人間同士の“繋がり”を描いた作品や、(逆に)壊れた家族関係を描いた作品が(意図して行ったわけではないのだが)、妙に多いのだが、
この作品は 人の繋がりを描いた作品では、つかの間の温かいふれあいを、“渋滞”という意外なシチュエーションの中で描いて、見応えのある作品だった。

「どうしても地味」は箱庭円舞曲の公演。
「海星(ひとで)」は唐組の公演です。


★「どうしても地味」
5月20日。

とある地方の村を舞台に、国産の線香花火で儲けた男とその友人、そして彼らを取り巻く人々との人間模様。


・箱庭円舞曲の観劇は初めてで、古川貴義さんの作品を観るのも初めて。今までどういった作風なのかは、わからぬまま観劇したが、
ちょっとした会話や、シチュエーションが、MONOの土田英生さんの世界に似ている気がした。
ただ一つ違うのは、土田さんのようにオーバーなデフォルメがないということだろうか。今回のタイトルではないが、地味に淡々と進んでいく。そういったところも面白かった。

・線香花火というものに、いろいろなテーマを込めているようにも感じた。瞬間的に盛り上がるが、ぱっと消えて(飽きて)しまう…。情熱を失ってしまうのにも似て…。

・照明の使い方も印象に残った。お寺になったり、家になったり。

・飽きてしまったという抗えない自分の“心”や、行きつく“現実・現状”という部分が、この直前に観た、箱庭の井上裕朗さん客演のイキウメ「ミッション」とも、自分の中でクロスオーバーした。


★「海星(ひとで)」
6月9日。

【あらすじ…水戸芸術館HPより】
合羽橋に勤める青年・町田は、親友の仲くんと使いの途中、バケツに入れておいた製品を台無しにしてしまった――。
東武伊勢崎線・鐘ヶ淵駅。町田は、とある工場へのつてを求めて、パーマネント屋の一人娘・チャコを追う。チャコもまた、町田の窮地を知って工場へ接近する。
合羽橋の顧問弁護士や、上京してきた実力者・大林らが迫る時、川底の鐘はとどろき、バケツを飛び出た海星も歌い出す!はじきだされた水面へ放つ、唐版・鐘ヶ淵水中譚。


・赤松由美さん…いつも、藤井由紀さんのライバルのような女性の役が多いけど、今回のようなややコミカルな女性の役(蕎麦屋さんの娘)は見たことがなく、意外だった。
蕎麦屋のお嬢さんが変身する佐々木小次郎。
銀食器の産地・新潟県 燕→“ツバメがえし”→小次郎…という連想から??

・作品を観劇後、いろいろ解釈を考えながら帰る…。今回、「海星」というタイトルも気になって、家でヒトデのことを調べてみた。ヒトデは例えば腕がちぎれたとしても、自ら再生することができるという。もしや、“再生”というのが今回のキーワード??
蕎麦屋のノボリにくくった船のオール。そこに付いたヒトデが踏みつぶされるシーンがあったが、『“再生”を阻害するものの出現』というようにも解釈できた。
鐘ヶ淵の運河に沈む鐘。それは先人たちの眠るタマシイか。創り上げた遺産のようなものか。スプーン(さじ)で叩くことによって、再生(生まれ変わる)されるのである。

・ここ何作かの唐組の作品を観ていると、おなじみの最後の舞台後方が開く演出は必ずしも必要ないのではないだろうかと思う時がある。残念ながら今回もそう思ってしまった。
今まででは『黒手帖に頬紅を』(2009年)とか『ふたりの女』(2010年・再演)『西陽荘』(2011年)では、ストーリーにマッチして、しっくりはまっていたように思うのだが…。

 劇団桟敷童子の公演。
5月12日、前回書いたイキウメ「ミッション」の後に行きました。


【あらすじ…「CoRich!舞台芸術」公演案内ページより】
戦後、引き揚げ援護局指定「能嶋病院」は堕胎病院として蔑視されていた。ある日米軍将校とのトラブルで大怪我を負った一人の女性が担ぎ込まれる。彼女は戦死した息子を待ち続け、気が触れてしまった“メンドリさん”と呼ばれる女だった。やがて米軍将校に繋がる楢崎組とメンドリさんを守ろうとする病院側との抗争が始まる…
戦争によって息子や恋人を失ってしまった女達の悲劇、そして多くを失いながらも力強く生きていく女達のたくましさを描く。


・2007年に上演された「軍鶏307」の再演。当時とキャストを一新した上、一部の配役を入れ替えた『A』『B』両バージョンでの上演。
私は、2008年の「黄金の猿」から観始めたので、この作品に関しては今回が初観劇でした。

・今回、私はAバージョンを観劇しましたが、
いつもの東さんの演劇のテーマ“生き抜く”というものの他にも、
大切なものを命を懸けて守り抜く“芯の強さ”
手塩にかけて子を育てたことにより備わった、どんな困難をもはねつける“母の強さ”のようなものがひしひしと伝わってまいりました…。

・鈴木めぐみさん・外山博美さん・もりちえさん…といえば、
それぞれ老婆役・子供役・奇抜なメイクの不思議な役…という当たり役?が劇団公演では多かったですが、今回は
鈴木さんが、能嶋病院の医師・図書助の妻・福子 役
外山さんが、入院患者・高千穂 役
もりさんが、楢崎組組長未亡人・真澄 役(セレブ風!)
を演じ、敢えていつも演じそうな役から遠いキャラクターにキャスティングしたようです。
そうしたことでパターン化に繋がらず、キャストの皆さんの新しい一面が垣間見えて、良かったと思います。

・今回も、舞台美術は手作り。そして文字はざっくり手書き!ということが多いのですが、今回、一部にいわゆる印刷で使うような“書体”を使用しているものもありました。
ただ、その使っている書体が“丸ゴシック体”だったため、違和感を感じてしまう部分があった。
自分の中では丸ゴシックは昭和50年前後から見かけるようになった字体というイメージがあったのです。
(ネットでやりとりさせて頂いている方に教えて頂いたところ、この書体自体は、100年前位から存在するものだったようです。)

・今回も、終演後のバックステージツアーのある回に参加しました。
限られたスペースの中で、スピーディーに動かす工夫がされていて、なおかつ、今回は“2階から顔をだす”というようなシーンもあり、暗い照明の中で登るのもなかなか大変。

ラストシーンに登場した、モニュメントの飛行機。2人がかりで動かしていたとのことです。
 

 
能嶋病院。2階へ上がる階段はかなり急でした。役者さんも本番中、足元が見えづらい中、よく踏み外さなかったなあ…。

 
2階に上がって撮ってみました。階下には、組長夫人・真澄さま役 もりちえ さん!
(掲載を許可してくださり、ありがとうございました~!)

 

次回公演は12月とのことですが、今年は劇団員のみなさんの外部出演や、東さんの外部作品提供がたくさんあるようです。全ては観に行けませんが、何本かは観に行こうと思っています~!
劇団イキウメの公演。5月12日に行きました。

【あらすじ…パンフレットより】
ある地方都市の一角、金輪町。神山清巳は優秀な会社員。
幼い頃から常に周囲の期待を背負い、応えてきた。
兄の清武も、出来る弟の平凡な兄、という立場に慣れきっていた。
清巳はある日、自宅裏の斜面を転がってきた拳大の落石を頭部に受け、入院してしまう。
十日程して会社に戻ると進行中の企画チームを外されていた。
不条理な出来事に苛立つ清巳を両親は慰めるが、久しぶりに会った叔父の怜司は違った。
「自分にしかできない仕事なんて存在しない、本当の仕事を教えてやる」
怜司は主夫業の傍ら、密かに「本当の仕事」を持っている。
それは世界のバランスを取る重要な使命、と怜司は語る。
世界からの「呼びかけ」に応え、行為に移す。
その行為はどう見ても荒唐無稽で無意味だが、清巳にはその馬鹿馬鹿しさが新鮮だった。


・最近、よく舞台を拝見させて頂いている、箱庭円舞曲の井上裕朗さんが客演。今回は父親の役…ということで、少し白髪交じりにしていたこともあり、以前ご挨拶させて頂いた時とは風貌が違っていて、最初舞台上での姿に気が付かなかった…(^^;)
ちなみに、今回、井上さんからチケットを購入させて頂いたのですが、まさかの最前列でした!ビックリした(笑)!ありがとうございました!

・出演者のひとり、太田緑ロランスさんは、以前、野田秀樹さんと中村勘三郎さんが共演した「表へ出ろいっ!」にダブルキャストで出ていた方でした。(私が行った日はもう一人の方(黒木華さん)でしたが…)

・舞台美術や照明効果が、印象に残る作品だった。
下手から上手へ、上手から下手へ 少しずつ「く」の字型に傾斜した舞台が、登場人物たちの不安定さとクロスオーバーしているようにも見え。
最後の場面の、虹を描いた照明もとても綺麗だった。

・(叔父さん)怜司の標榜する「衝動に従い、生きる」という考え。セリフをよく噛みしめてみると、なんだか哲学的でもあり。
叔父はホームレスの男を先生と崇めている。衝動に従い自由に生きる者の象徴?
彼の考えを実践する教え子(=弟子ともいえる)の少年少女。
自分たちの“衝動”を馬鹿にして、殴るけるの暴行をした近所の酒屋さんを、衝動的に傘で突く、“弟子”の少年。「あたし関係ない!」と逃げ去る少女。
「衝動にしたがいやったんだ。」少年は怜司と取っ組み合いに。
「人を殺そうとするのは違う」
「衝動に従えと教えたのはあなたでしょう?」
自分なりの咀嚼ができず、ブレーキが利かなくなった現代を生きるの者の写し鏡を見ているようでぞっとした。(TVでそんなニュースも度々見るし…)

・主人公・清巳は、叔父の怜司の考えに傾倒していくけれど、実はどこかで冷静な目でみていて、自分に起きてきた現実も冷静に見つめている。
“弟子”の起こした事件に落ち込む怜司に、清巳が諭す
「本能に従うだけでは動物と同じだ。そこに理性があるから人間なんだ」
という台詞に作品の言いたいことの全てが集約されているような気がした。


イキウメの主宰・前川知大さんの名前は以前からいろいろな所で聞いていましたが、今回初めて観に行きました。
取り上げるテーマの角度も物語展開も面白く、また観に行ってみたい劇団が増えました…。
放送作家の東野ひろあきさんのトーク&ライブ。昨日、行ってきました。

升毅さんや牧野エミさんが在籍された劇団MOTHERの座付き作家さんであった東野さん。
牧野エミさんのHPの掲示板でやりとりした事がキッカケで、(音楽活動もしていた)東野さんのライブを度々観に行くようになって12年…。最近はライブやイベントが平日開催のことが多く、今回も東野さんと約1年ぶりのご挨拶になった。
サポートとして、かんから三線で大正時代の“演歌”を歌うシンガーの岡大介さんも出演。
岡さんは、東野さんとは10年前のライブ活動の時に出会って以来、ずっと尊敬し続けてきたそうです。
…でも、ずっと東野さんをフォークシンガーだと思っていたようです(^^)


・東野さんは1996年に、アメリカ全50州を約一年かけてクルマで放浪して周ったそうで、そのときの体験談エピソードを映像や歌を交えて語った。
こんな話を。(ほんの一部ですが…)

★映画「イージーライダー」に憧れ、アメリカを(特に目的を決めず)なるべくお金をかけずに周った。

★アメリカで車を購入して周ったため、車検があった。日本と違い10ドル(当時のレートで約1,000円)で、2時間程度で終わる。

★洗車。順路に合わせて進んでゆき、楽しげな音楽にのせてアレヨアレヨトいう間に終わるらしい(笑)。

★(今回のイベント告知の案内にもあった)「滞在90日以内と決められた観光ビザで、なぜ1年間もアメリカに居られたのか」
…出かける前にいろいろな人に相談したところ
『自分のアメリカに対する思いを手紙に書いてみたら良いのでは?』
ということになり、申請時に手紙を渡し2時間ほどかかったものの、そこでまず半年分の滞在権を得たという。半年後にまた同じ方法であと6ヶ月分の滞在権を得たとか!


・東野さんの歌声も久々に聴いた! 最近はライブでもプロデュースやサポートに回ることが多く、なかなか聴くことが出来ず。
10年ほど前にCDアルバムも出しており、今回もその中から「真っ赤な恋人」という曲を歌った。
フォーク的な素朴な歌声です。


・岡大介さん。
約10年前に、早稲田のジェリージェフというお店で東野さんと中川イサトさんのジョイントライブがあり、そこでお客さんで来ていたのが岡さんであった。
カンカラ三線を片手に吉田拓郎さんなどを歌っているということであった。
その時、即オープニングアクトをすることになり、前述の「真っ赤な恋人」を披露していたことを、自分もよく覚えている。

それからしばらくは消息が分からなかったのだが、3年ほど前にあるキッカケで、明治大正時代の“演歌”をあのときのカンカラ三線で歌っていると知りビックリ。TV出演しているのもみたしyoutubeの映像もみた。

なかなかライブにも行けなかったのだが、今回10年ぶりにお会いすることができた!私のことを覚えていてくれていたのが嬉しかったです!
今回も東野さんの「真っ赤な恋人」を歌っていたのだが、出だしの口上的な歌詞が今の岡さんの歌っている大正“演歌”的な節回しに合っていて、深みが増したように思う!


こういった形式のイベントに行くことが、なかなかないけれど、参加してみるととても楽しい!これからも時間を見つけて参加してみようっと

  
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津嘉山正種さん主演の青年座の公演。4月28日に行きました。

【概要】
1980年代の神奈川県逗子市を舞台に、米軍基地問題をきっかけに家族の本当の姿が露わになる…。


・私はもしかしたら、正面切って『社会派!』という芝居は苦手なのかもしれない。
世論を二分するような問題を題材にした作品があった場合、どちらかのスタンスに偏らずに、観る者に答えを委ねている(考える余裕を持たせてくれる)作品が好みだ。だからこの作品もちょっと構えて観ていたです。
…とはいえ、この作品は基地問題の是非…というよりは、人間の在り方のようなものを提示している作品にも思えた。
(調べてみると)この作品が初めて発表されたのは1987年だそうで、一家団欒とか、一つのことに向かって突き進む…ということよりも、自分自身のことを大事にし始めた時代の始まりだった頃か…。

・安保闘争の時代に活動に没頭した夫婦…今や、妻は反対活動に夢中。夫は過去を忘れるかのように“音響オタク”と化す…。
子どもたちは、問題の当事者である米軍の隊員となにか交流がある様子…。(物語後半の衝撃の告白にはビックリしたが…老舗の劇団の物語の展開にしてはブッ飛び過ぎ(^^;))

・観劇しながらストーリーを追っていくうちに、『国境のある家』というタイトルがあまりにもハマりすぎていてタマゲた…。
世の中が平和になればなるほど、個々のあいだに“見えない険しい壁”が築かれている不思議…。

・そういえば、観に行った日は、妙にアクシデントのあった日だった…。中年男(夫)役の大家仁志さんが『クロサワが…』という台詞を『クロイワが…』と言ってしまったり(※この作品の演出家さんは“黒岩 亮”さん)、
老人(祖父)役の津嘉山さんが、長台詞に詰まってしまったり…。でも自然な流れで、なんとか復帰させたのはさすがプロの役者さん…!
椿組の劇場公演。今回はスズナリにて。4月21日に行きました。

【あらすじ…「CoRich舞台芸術!」作品紹介HPより】
時は江戸。人生に疲れ果て、世の中から忘れられ、挫折の果てにどん底生活を送る人々。
嫉妬、猜疑心、諦め、羨望、欲望・・・。だがある事件からそんな人々にも変化が・・・。
このお話しは絶望の中からの再生の物語だ。


・ロシアのゴーリキーの小説『どん底』を舞台を日本に置き換えた作品だが、
ベースとしては黒澤明監督の映画『どん底』を下地にしているようです。
(今年初めの『トンマッコル…』のように)事前に映画を見ておけば、さらに楽しめたかも…。

・劇場に入ると、木で組んだ舞台セット・土を敷き詰めた床…夏のおなじみの花園神社の野外劇を思い出させます…。
今回の演出は、野外劇の『天保十二年のシェイクスピア』のJAM SESSIONの西沢栄治さんであり、今回も大きな屋台崩しが…と期待したが、今回は無かった(^^;)

・結末としては、“役者”は自殺するわ、“泥棒”は思いを寄せていた おかよ に結局「人殺し」と罵られてしまうし、何一つハッピーエンドになることもなく終わるわけであるけれど、
それでも観終わった後、やりきれない気持ちにならなかったのは
「底の底を知ってしまっても、その現実と向き合いながら生きる」という、あの気持ちですな…。
テーマ的には今日的な題材(無力感とかそのようなところ)なのだけれど、普通ならいわゆる“観た人が元気になる”という結末の作品を選ぶところだが、
この作品はまた違ったアプローチだし、今の時期にこの作品を持ってきた意義が、観終わってしばらくしてから自分の中でジワジワ感じられた。
小生の御贔屓劇作家のひとり、MONOの土田英生さん脚本による演劇集団円の公演。
4月21日に行きました。

【あらすじ…劇団HPより一部編集】
小さな服飾工房から急成長を始めたランジェリー専門メーカー『ゴールドシャレード』。
トップにいるのは実直で社員思い、近年は雑誌にも取り上げられるほどの話題の女社長。
ある日、社長を訪ねて、雑誌を見て訪ねてきたという30年前に生き別れになった社長の末の妹が現れる。
さらに、同じくして生き別れた次女と当時赤ん坊だった弟まで現れ、思わぬ再会に、有頂天になる社長。なにを思ったか、全員を会社で働かせると言い出す。反対する社員たち。
いつの間にか三女が会社を仕切り出し、うまく回っていたはずの会社が徐々に変化して行く。すべてのバランスが崩れ、それに翻弄される社長。業績も下降し、どんどん姉妹の関係も醜さもあらわになって行く。
突然現れ好き勝手を始めた妹、実は密かな復讐を計画していたのだった。果たしてこの会社は、姉妹の関係は、どうなって行くのだろうか?…姉妹とは?血のつながりとは?


・今回、諸般の事情から当日券で観に行ったのだが、売り切れ寸前で正規の席はあと3席しか残っていなかった!(その後、補助席も出ました)
この作品には、円の劇団員であり声優としても活躍する朴ろ美(※)さんが出ているからだろうか…(調べてみると、今までにもアニメ作品の主役級の声を多数担当してるようで…)すごい人気ですな…!【(※)「ろ」は『王』へんに『路』】

・今回の演出は土田さんではなく、演劇集団円の内藤裕子さんであるが、どこかブットんだ設定の“土田テイスト”は今回も健在。
胸を見ただけで“カップ”が判ってしまう『乳マニア』の(佐藤銀平さん演じる) 社長の“弟” とか…。
そんな中、今回異色だったのは、(山崎健二さん演じる)先代社長時代からの古株社員の重平(しげひら)。
終始、結構まともな言動をしていて、敢えてヘンなところを探せばブラジャのことを“乳バンド”と言ってることぐらい?(笑)土田作品には珍しい“常識人”でした…。

・この3姉妹…父親は同じだが、実は母親がバラバラで、しかもいろいろフクザツな事情が絡み合って、妹たちは長女を快く思っていないご様子。
その妬みっぷりを見て、2年前のMONOの公演「トナカイを数えたら眠れない」の姉妹たちを思い出してしまった。
人間関係の炙りだし方が、(ある意味)小気味よくもありヒヤヒヤものでもあり、こういったところは土田さんはけっこう巧いです。

・ほんでもって今回の
「身内を会社で働かせ、家族が会社を仕切りだして、うまくいっていた会社がガタガタになってゆく」
というシチュエーションが、時節柄、例の大ベテラン演歌歌手さんの一を思い出さずにはいられませんでした…。
♪あのひとぉ どうしてぇ いるかしらぁ~…
(もちろんこの作品はあの一件よりも前に執筆されたものですが…)

いろいろな部分で、印象に強く残った作品でありました…。
コビヤマ洋一さんのユニット“路地裏月光堂”の公演。5日に行きました。
劇場に入ると、コビヤマさん自らがご案内をしておりましたよ。

【あらすじ…公演チラシより】
時代の寵児と持てはやされて一攫千金を手にしたのも今は昔。
落ちぶれた男が辿り着いた所は、チョコレート色の電車から幾万の労働者が吐き出される煤けた街だった。
男は一台のラーメン屋台に出会う。
そこには明日を夢見て一生懸命働く『時の女』がいた。


・開演直前に、ホームレス風の怪しい白髪の人物が客席最前列に…(実はお芝居の登場人物でした…笑)

・『時の女』は、昔、夫を助けながら気丈に屋台でラーメンを作っていた母の姿。
父は建築業に携わっていたものの、足のけがでリタイアし、母のラーメン屋を手伝っている…というよりも、仕事そっちのけでギャンブルに夢中なご様子…。
そのうち、借金取りが父を捜しに屋台にやってきた…。コワイ風貌をしているが、なぜかラーメンマニアなその借金取りは、一味足りない母のラーメンを見て、ラーメン指南を始めるのだった。
店も軌道に乗り始めたそんな中、母が出前先で腐食した階段から足を滑らせ、意識不明の植物状態となってしまい…。
母のお腹に赤ん坊がいることも判明し、自分の愚かさに気付いた父は、今度は自分がラーメン屋台を切り盛りするため、あのラーメン好きの借金取りにラーメン作りの教えを乞うのだが…。

・ギャンブルで借金まみれの父親を追いかける、借金取り。
ラーメンに関する知識はマニア級で、仕事に目覚めた父に 一からラーメンの何たるかを教える様子がなんだか可笑しかった。
登場人物が悪人であっても、こういった優しい部分をクローズアップさせて描くコビヤマさんの作風は、今作でも健在である。

・コビヤマさん自身も出番は少ないながらも、競馬&もやし好きのお客の役として登場…風貌が丹下段平風でした(笑)。

・人生を悲観し自殺しようとした男は、母が命を犠牲にしてまで自分を生んでくれたことに気づき、生き続ける決意をする…という結末であった。
階段から落ちて意識不明になる…という母の怪我の大きさから考えると、母体の抵抗力が落ちる…という事象以外にも、お腹の赤ちゃんにも何らかのダメージがあってもおかしくないほどの怪我だと思うのだが、そこに矛盾を感じてしまい、やや物語に入り込めなかった部分もあった。

しかし、新宿梁山泊時代に発表した作品から続く、全ての登場人物へのやさしい目線はコビヤマさんの作品ならではのものだと思うので、そこは変えずに、どんどん作品を生み出してほしいと思う。


(終演後はコビヤマさんと山崎美貴さんにご挨拶しました。コビヤマさんにご挨拶するタイミングがなかなかとれず、スタッフの方にご案内されて劇場内での乾杯にも参加させていただきました…(汗)。)

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中島みゆきさんのコンサートやレコーディングでコーラスで参加されている“和ちゃん”こと杉本和世さんのソロライブ。サポート&発起人としてギタリストの古川昌義さんも参加。4月28日に行きました。
ソロライブとしては、ほぼ10年ぶりだそうです。

会場に入場すると、お出迎え…!よく見ると…杉本さんではないか…!(笑)
でもって、和世さんの格好が…なんというか…ハイジっぽかった…(羽織ってたのは赤ではなくグリーンでしたが…)!


・夜会やコンサートを通して、変幻自在の歌声を聴いてきたけれど、こうしてソロでの歌を聴くといろいろな表情をもった杉本さんの歌声に改めて驚いてしまう…。

・『二人の夏』…MCの中では「山下達郎さんの…」という説明があったので、あれ?濱田省吾さんの曲ではなかったのかな?と思ったら1994年に達郎さんのライブでカバーされ、音盤化もされているようです。

・中盤から、バイオリンで参加の斉藤ネコさん。どういう繋がりなのかな?と思ったら、ネコさんのライブによく参加されているようで…。
谷山浩子さんとの繋がりしか知らなかったので、意外だった…!

・『街路樹』…杉本さんが発表年を忘れてしまい、会場のお客様に問いかけていたので、こちらで「2000年で~す」と言ってしまったのだが、よくよく考えてみたら杉本さんがこの曲を初めて歌ったのは、『ウインターガーデン』の再演の2002年でした…(^^;)

・会場では、夜会に参加されたミュージシャンの方々や役者さんもたくさん観に来られていました。
(ブログやツイッタで表明されている方のみ名前を挙げれば、宮下文一さん、友納真緒さん、香坂千晶さんなどなど…)

自分も、ツイッタやmixiでやりとりさせて頂いている方や
(最近書き込みを始めた)“ぷりうす大学”という掲示板の常連さんなどなど…たくさんお会いできて、嬉しゅうございました…。
ありがとうございました…!


★セットリスト
1.  Love Was Meant To Be
2.  夢で逢えたら
3.  二人の夏
4.  人形の家
5. (杉本さんのオリジナル曲)
6.  アヴェ・マリア
 ~休憩~
7.  アルフィー
8.  蘇州夜曲【この曲以降、バイオリン=斉藤ネコさんが参加】
9.  街路樹
10. The water is wide
11. 道 (Don't look back in anger)【パーカッション=“しーたか”古田たかしさん】
12. IF
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Ec. 道 (Don't look back in anger)