
イランとイスラエル
因縁の諍いが再発した。
事の発端はイスラエルによるシリアに在住するイラン大使館
への攻撃。
この攻撃で、イスラエル殲滅を謳うイラン革命防衛隊の幹部が
数名殺害された。
大使館は在外でも治外法権というか、その国の主権が及ぶ場所。
そこを攻撃するのは、その国を攻撃するのと同じ意味を持つ。
たとえ敵対勢力が潜んでいたとしてもだ。
イランは当然の事として、イスラエルを攻撃したが、これは
とても抑制的に行われ、死者は出ていない。
これに対してイスラエルは反撃を示唆していた。
米国・英国・ドイツ・中東各国が再報復の応酬を避けるための
仲介に尽力してきたが、イスラエルを説得することが出来ず、
結局、作戦が実行されたということ。
19日、イランの首都南部で大きな爆発を複数観測した報が入り、
攻撃が開始されたことが確認された。
無人機とミサイルによる攻撃のようで、イラン本土の核施設の
破壊を意図した作戦と思われる。
イスラエル国内の世論調査では同盟国との関係を損なうような
攻撃は避けるべきという意見が全体の75%を占めていたが、
ネタニヤフ首相はイランと徹底的に争う姿勢を示している。
イランの最高指導者ハメネイ師の方は、全面対決は避けたい
意向のようだが、国内世論を納得させるには、何らかの対抗措置
を取らざるを得ず、報復合戦に発展する可能性が高くなって
きている。
今後の成り行きが大いに懸念されるが、戦火が拡大するのが
最悪の事態であろう。
イスラエルを敵視する周辺諸国の反応次第だろうが、再びの
中東戦争に発展するような事になれば、世界が混沌に陥る。
イランは原油の輸送路を封鎖することで、イスラエル支援国に
圧力を掛けることを中東戦争でやってきたこともあり、既に
原油価格が上昇に転じている。
また、リスク資産の金価格も更なる高騰を進めた。
世界的に危機感が大きくなってきている。
米国はイスラエルを守る意思が強いが、小規模の紛争なら、
直接的な介入はしないだろう。
イスラエル敵対国が糾合して大きな紛争になって来れば、また、
米軍が直接攻撃されるような事になれば、介入せざるを得ない
状況になる恐れはある。
今回の紛争がイスラエル対アラブという構図に発展しそうには
ない事は一つの救いかも知れない。
前のイランによるイスラエル攻撃において、サウジアラビア、
ヨルダン、トルコなどがイランのミサイル等の迎撃に協力した
ことは、アラブ諸国がこの紛争を抑制したいという意向がある
からだと思える。
ことを終息するには、イスラエルの自制しかないが、イランに
対する不信感と核に対する不安感からか、イスラエルは矛を
納める気配がないのが最大の懸念事項。
まったく、イスラエルは暴力的だなぁ。
もちろん、自国を殲滅すると公言する国々がある以上、自衛の
措置は必要だろう。
イランの核開発も今回の紛争の大きな原因なんだろうけれど。
それでも。ガザ地域で多数の民間人を巻き込んで、ハマスを
殲滅したうえで、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに
攻撃を加え、更に敵対勢力を支援する国としてイランに牙を
剥いて先制攻撃するのは何としても、やり過ぎの謗りを受け
ざるを得ないな。
この紛争が、小規模の紛争で収まる事を祈るしかないんだが、
米国やアラブ諸国がもっと関与する余地はあるように思える。