
シリア崩壊?
8日、シリア反政府勢力は首都ダマスカスを制圧、占領し、
現政権が崩壊したと述べた。
アサド大統領は国外に逃亡すべく、ロシア軍基地に避難
したという。
40年以上も続いてきたシリアのアサド政権だったが、
アラブの春をキッカケとする民主化を求める反独裁運動が
起こり、これを弾圧するアサド政権との間で13年に及ぶ
内戦が継続していた。
ここにきて、反政府勢力が政権を奪取するに至ったようだ。
長い長い内戦の結果、30万人以上が犠牲となり、1,000万人
以上(国外流出難民は約650万人)の難民が出たと言われ、
生活環境は悲惨な状態であった。
で、この状態が政権奪取によって急速に改善されるかというと、
事はそう簡単ではなさそうだ。
反政府勢力と言えども一括りには出来ず、その構成が
シリア解放機構、自由シリア軍、イスラム国、クルド人組織など
多くの組織の連合体であり、お互いに協力したり、激しく対立
したりしている。
また、シリアはロシアが支援していたし、イスラム教宗派の
親和性からイランやヒズボラの支援も受けてきた。
一方、反体制派は米欧やトルコなどが支援しており、いわば
米ロの代理戦争だったわけだ。
ロシアがウクライナに注力せざるを得ず、ヒズボラなどが
イスラエルとの紛争で力を割かねばならぬ状況もあって、
反政府勢力の勢いが一気に高まったのも、今回の政権奪取に
大きな影響があったと思われる。
という訳で、複雑に絡み合った利害関係や宗教関係、次の
政権を担える組織の不在、ロシアの駐留基地の存在等々
絡み合った関係は簡単には整頓出来そうもないと思われる。
独裁政権は国を治めるという意味では一つの選択肢であった
訳だが、そのタガが完全に外れて、それぞれの組織が我こそは
という事になろうから、まだまだ終息には程遠いと思われる。
また、ロシアはシリアを放棄するとは言っていないし、独裁政権
側との反転も無きにしも非ず、首都が制圧されたとはいえ、
反政府勢力は群雄割拠状態で、完全掌握には至っていない。
反政府勢力の主体であるイスラム過激派のシリア解放機構が
統治する事への反発もあるだろう。
今回のシリア解放宣言が民主化と新国家形成に結び付くには
まだまだ悶着が絶えないことだろう。
取り敢えずは、長年の独裁体制が崩壊したようだというのが
現状と思える。