
#3 実りの秋、なんですが・・・
9月にもなれば、日差しが少し和らぎ、日の出も遅くなり、
伴なって気温も少し収まってきて、どことなく秋の気配を
感じるようになる。
散歩道も、いつもの日陰の多い経路から、開けた、風通しと
見晴らしの良い経路へとシフトして行く。
ここは川沿いの田圃の連なる場所で、そろそろ稲穂が出揃って
あと少し経てば刈り入れが始まるんだろう。

今年も、稔りは良いようで、穂は重く垂れ始めている。
農水省の見立てでも、作柄は平年に比べて「やや上回る」との
ことで、庶民としては喜ばしいというしかない。
夏の気温は高めに推移したが、適度な降水はあったし、何よりも
この辺では大きな災害が無かったことが大きいのかな。
水害のあった地域は大変お気の毒だったが、台風被害は少な
かったと言えそうだ。
さて、この時期、問題になるのが、コメ価格。
昨年は投機筋の跋扈によって(私見)、コメ価格が異常な
値上がりとなった。
政府は備蓄米59万トンを放出してこれに対抗、少しは高値が
緩和されはした。
5kgが5千円を超えるとなると、当然、相当裕福な人以外は
買い控える。
備蓄米放出と買い控えの結果、民間在庫は平常時の1.5倍
ほどにもなる245万トンを積み残している。
こうなると、今度は損切りしてでも在庫を捌かなきゃならん
から、新米の収穫を前に、急激な米の値下げ競争が始まった。
これは当然に予測されたことではある。
スーパーでは、銘柄米は3000円台前半、ブレンド米は2000円台
前半まで下がり、ようやく平時の値段に戻ったって感じだ。
消費者にとっては有難いことなんだが、さて、コメ生産農家は
どうなるんでしょうねぇ。
収穫が始まった地域から順次、概算金のお話しが流れて来る。
銘柄に大きく左右されるが、60㎏当たり、1万4千円~
2万1千円と、昨年に比して、30~40%低い数字となって
いるようだ。
5kg当たりにすると、1,170~1,750円ということで、
これに、精米、流通経費、利益 などが上乗せされ、流通段階で
2千~2千5百円程度にしかならない値段だ。
市場では、新米価格の方がH7産米より安いという異常事態も
起こっているという。
これではコメ生産農家は堪ったもんじゃない。
そうでなくても、農薬、肥料、燃料、輸送袋などの生産コストが
軒並み高騰し、直近で40%ほどのコスト増になっていると
いう中、売値が30~40%減ではね。
農業自体の持続性に関わる問題となりそうだ。
これに対して、政府は生産者からの強い要望もあり、また、
保有する備蓄米が30万トンほどにまで減っていいる事もあって、
昨年放出した備蓄米59万トンに対し、20万トン程度の買戻し
を検討するという。
これまた問題なんだが、投機筋の跋扈で値が吊り上がったコメが
捌けないから政府が買うというのが果たして妥当な策なのか?
百歩譲って買い戻すにしても、どんな値段で買い戻すのかは
大きな問題だろう。
少なくとも、買うなり古米の、高いH7米でなく、安いH8米を
買うのが筋であろう。
そもそも、コメ価格は価格変動しやすい商品なのである。
下図のように、供給量が多少変動しても値段が大きくは変わら
ない奢侈品や嗜好品のようなもの(図のAタイプ)と違い、
Bタイプのように、少しの変動が価格に大きく影響する商品
なのである。

それを、「需要に応じて生産する」なんて器用なことが出来る
はずが無いし、そもそも実需が正確に把握できるはずもなく、
供給が年に1回しかないから、投機の対象になりやすいのだ。
だから、昔から先物市場が発達してきたのに、今の政府はそれを
ガン無視して、頑なに供給量調整で値段を調整しようとして
いるところに大きな無理がある。
答は二つしかないように思える。
①政府が全量適正価格で買い上げ、消費者には統制価格で販売
するという、昔の食管法の復活。
②生産者は作れるだけ作り、市場に安く供給する。政府は
生産コストを保証し、差額を補助する。
いずれも、余ったコメは新たな需要を開発したり、備蓄を増や
したり、輸出するなり、ODAで貧困国に配布するなり、
方法はいくらでもある。
食の安全保障にカネをケチろうとするから、答えが見つから
ないだけの話だろうに。
ま、ケチな政府のことだから、ドタバタと異論百出の策を
こねくり回す事でしょう。
我々庶民は、農家が丹精込めた美味しいお米を安く買って、
鱈腹食べて、夏枯れの身体を回復することに専念することに
しましょうか。
お手並み拝見ですな。

