世代変わり | 悠釣亭のつぶやき

世代変わり

最近の世相を見ていて感じるのは、犯罪に走る人達の心情の
ことなんだな。
犯罪件数は減少の一方だが、窃盗や器物損壊などは大幅減なのに、
粗暴犯、詐欺、性犯罪などは大きくは減少していない。




詐欺事件、無差別殺傷事件、ストーカー事件、交通犯罪等々、
格差が拡大して低所得者層が増え、暮らしが厳しい時代に
なったということも背景にあるんだろうけれど、育った環境の
影響も大きいんではないだろうか。
今後の世相も含めて、この辺を考察してみた。


世相を形作る要因は人口の多い世代の考え方なんだろうと思う。
同じ割合で同じことが起こっても人口比率が大きければ、それが
目立つからね。




で、ここ数十年を見ると、1960~1980年生まれの世代の影響が
大きいようだ。
昭和で言うとS35~55年で、今の年齢が45~65歳。
ちょうど平成15年前後に成人になった時代だな。

この時代は高度経済成長の時代で、欲しいものは何でも手に
入った時代。
1億総中流といわれ、庶民の可処分所得も多かった。
親世代が戦中戦後の不自由な時代を生きたから、子供達に
不自由させまいと至れり尽くせりに育てたわけだ。


子供の方は我儘になるし、カネさえあれば何でもできると思う
ような人も多くなったんじゃないか。
統制が少なく、行動は自由で、羽目を外してもキツク罰せられる
ことも少なかった。

結果的に、冒頭に述べたような、様々な、昔は少なかった犯罪が
多くなっているように感じる。
もちろん、社会において、一番活動的な世代であるのは当然
なんだが。


戦中戦後の時代に育った人達(1930~1950年、S5~25、
現在75~85歳)はとにかく物のない時代だった。
毎日の食事に汲々とし、ご飯には、雑穀、麦、トウモロコシ、芋が
混じるのが普通だったし、コメを食えないで、芋やスイトンが主体の
家庭も多かった。
戦後も暫くは更に酷かった。

戦争の影響がまだたくさん残っていたし、町の復興が徐々に
進んでいるという状態。
護国神社や繁華街には傷痍軍人が物乞いしている姿も暫くは
見られた時代だな。

衛生状態も悪く、医療も貧弱だったから、結核などの感染症で
多くが亡くなった。
栄養のアンバランスもあったんだろうが、平均年齢が55、6歳と
今じゃ考えられないほど短かかったな。


必死に働いて、食い物を調達する暮しでも、国の復興という
大事業があったからか、庶民は真面目で、勤勉だったように思う。
朝鮮戦争が風景を一変させ、成金が出るようになったが、
それでも庶民はそういう者をバカにし、質素倹約に励んだ。
もちろん、犯罪者はそれなりに居たし、軍隊上がりの荒っぽい
者も多かったから、傷害事件は多かったけどな。


1950~60年の時代(今の65~75歳)は冒頭の時代への
遷移期間だったのかなぁ。
「もはや戦後ではない」という経済白書の言葉が1956年に
発出されたし、GDPも戦前を越えた頃だな。
苦しくて貧乏な時代から徐々に解放された時代だった。


そして、1980年以降へと移って行くにつれ、イケイケムードが
萎み始める。
ワシは日本国が調子に乗り過ぎて、世界から顰蹙とやっかみを
受けた結果がバブル崩壊につながったと思ってるが、それを
もたらしたのが1950~60年頃の生まれ(65~75歳)の世代
だったのかな。

バブル崩壊後(1990年~)の世代はホントに可哀そうとしか
言いようがない。
最近になって少しは持ち直してきてるのかも知れんが、長い間
所得は上がらず、負担は増える一方、学歴社会が昂進し、
子供の頃から勉強々々、兄弟が少ないから取り分は多いが
人との付き合いが下手、喧嘩の仕方も知らない、ほんの一握り
だけが、スポーツ、音楽、演劇などの世界で頭角を現すが、
多くは埋没しているような感じ。

格差が拡大してきているから、少数のそこそこの暮しが出来る
人達と多数の生活困難者が混在する。
それは国の政策によるところが大きいんだが、何でもある時代に
育った無気力感というか、進取の気性に乏しい世代が多くなった
ことも否めないんじゃないのかな。


そして、一番気掛りなのは今後の世相なんだな。
「戦争のことを少しでも体験した人達が多ければ戦争は起こら
ない」と言った政治家が居たが、それは一理ある。
原爆の悲惨さや空襲の恐ろしさなどは話を聞くだけじゃ、真に
理解はできないし、国民生活の困窮なんぞも分かるはずがない。

戦争の話になると、勇ましい話ばかりが前面に立ち、勝つことだけ
しか考えない。
アニメの世界ですら、闘争が主流になってきている。
如何にして戦争にならぬようにするか、外交に力を持たせるには
何が必要か、ナショナリズムにどう理性を付与するか、ジャーナ
リズムの在り方など、戦争を防ぐ方法の深掘りは置いてけぼりに
なってしまってる。

勇ましい話が大好きで、危機感を煽り、高価な武器があれば良し
とする、それなのに国を守ろうという気概などほとんどない。
一朝事あれば、国民の防護、抗堪性、継戦能力、国民の団結など
戦力以外の力がものを言うんだがね。


ここ10年で、戦中戦後のことを少しでも体験した世代が居なくなる。
バブル時代以降の何でも手に入った世代が中堅となり、崩壊後の
経済的に難しい時代を生きた世代が主体となる。

イケイケドンドンでは破綻するし、何でも悲観的でも破綻する。
ジャーナリズムは迎合的で、世論を導く力は激減している。
どんな舵取りがされるのか、どんな世論が主流になるのか。
思考が即時に拡散する世の中だからこそ、冷静な議論と論理的
思考が重要になるんだが、時間を掛けて平和を築き上げる努力が
どこまで力を得るのかなぁと、とても不安になるな。