生活は与えられるもの? | 悠釣亭のつぶやき

生活は与えられるもの?

今、フランスではマクロン大統領が解散を行ない、国民議会選挙
(下院、577議席)の第1回投票が行われた
今回の投票では過半数か、あるいは有権者の25%を超える
得票が得られたのは76選挙区に留まったが、注目すべきは
極右政党と言われる「国民連合」(RN)が37議席を獲得した事。

RNは得票率では33.1%で首位、マクロン氏率いる中道与党
連合は20.7%と3位で獲得議席は僅かに2議席だった。
7日に行われる第2回投票に向けて、反RNで候補を統一する
など、与党側の対応が盛んに行われている。
今の情勢では政権交代となる可能性が非常に高い。

マクロン氏の政策は富裕層の優遇、移民受け入れ、ガソリン税
増税、年金支給年齢の後送りなど、経済立て直しのために国民に
痛みを強いる政策だったことに反発した国民がRNへの支持に
大きく傾いたようだ。
今回の投票率は66.7%で、1997年以降、最高を記録した
という。


一方で、英国では保守党が惨敗し、労働党が議席数を2倍に
増やすという快挙の末、14年ぶりにちょっとだけ左に振れた。
これも既存政治に対する反発の結果と言えそうだ。


遠い国のお話しではあるが、欧州では中道的な政党の凋落が
各国で起こっている。
イタリアは既に極右政党が政権を取っているし、ドイツでも勢力を
強めている。

急激な移民受け入れや高いインフレ率などが国民生活を圧迫
しているのが最大の原因だろうけれど、既定の政治に国民が
Noを突き付けているという事だ。

フランスは元々、国民が立ち上がって王制を倒した国。
自分たちの主張を強く表に出して戦うという国柄でもある。
自分たちの生活は自分達が作るという強い意志を感じる。

ま、歴史に鑑みれば、ナチスの台頭時の臭いもしないではないが、
既成政党に反旗を掲げ、仲間を集めて自分たちの主張を通そう
という強い意志は感じるな。


振り返って、我が日本国を見ると、社会情勢はあまり変わらない
というか、もっと酷い状態だとも言える。
欧州ほどではないにしても移民の受け入れは進む一方だし、
実質賃金は2年以上も下がりっ放しだし、物価高騰は激しいし、
2極化が進む一方だし、結婚も出来ない若者が増えてもいる。

フランス同様に富裕層への優遇はあるし、ガソリン税は据え置き、
年金受給年齢はとっくに後ろ送りされてる。
消費税を上げて法人税を下げるし、森林税やインボイス増税など
密かな増税も進んだ。
票が得られるならパーティでも何でもやり、得た金の使い道も
明かさない。
票になるなら似非宗教にだって近寄る。


それでも国民は何も言わず、黙々と生活を営んでいる。
暴動はともかくとしても、選挙があっても有権者の半数は投票
にも行かない。
今の状況を善しとしているのかも知れんけど、自ら生活を変えよう
という強い意志は無いんだろうか?


古来、日本の庶民は生活はお上から与えられた与件と思ってる
節があると思う。
4公6民と言われれば黙って納税したし、5公5民と言われても
然りだった。
6公4民となって、食えなくなって初めて筵旗を上げる程度だった
かな。

お上に盾突くのはご法度で死罪という時代が長く続いた結果か、
このままではいよいよ餓死してしまうという所までは我慢してきた。
庶民が自ら生活を変えようという気持ち、というか、考えも無かった
ように思える。


その結果なんだろうか。
大きな変革は外からしか来なかったな。
元寇、黒船、B29などによってのみ、大きな社会変革が起こった。
外部からの危機に対して、お上などが率先して初めて、国として
一丸となった訳だ。
それとて、庶民のパワーでは決してなかった。

恐らく、今後も、同じ状況は続くんだろう。
飢え死にさえしなければ、生活が少々苦しいのは我慢あるのみで、
自らの行動でそれを変えようという考えがないんだから。

同じ7日に都知事選が行われるが、誰が選ばれても自分には
関係が無いという人は多いんだろうね。
ワシには投票権が無いから、静かに投票率を見てるだけだけど。