実質賃金の下落 | 悠釣亭のつぶやき

実質賃金の下落

実質賃金とは、労働者が実際に受け取った給与である名目賃金
から、消費者物価指数に基づく物価変動の影響を差し引いて
算出したもの。
給与が上がってもそれ以上に物価が上がれば上昇率はマイナス
という事になる。


厚生労働省が発表した4月の毎月勤労統計によると、4月の
現金給与総額、すなわち名目賃金は、前年同月比で2.1%の
増加となっている。
春闘の高い賃上げ妥結を受けて、大企業を中心に実際に4月から
給与が引き挙げられた結果名目賃金は上昇した。

しかし、消費者物価が2.9%上昇したことから、実質賃金は
前年同月比で0.7%の減少となった。
実質賃金のマイナスは実に25か月連続となった。


ただ、中小企業の多くは大企業の妥結状況を見ながら自社の
賃上げ率を決める傾向があるので、5月から夏にかけて順次、
給与の引き上げが実施され、実質賃金の上昇が期待できる。

一方、物価の方は一時期ほどではないが値上げが続いており、
6月以降はエネルギー補助金が順次打ち切られる予定なので、
電気、ガス料金が上がり、ガソリン価格も上がるんだろう。
そうなると、実質賃金の下落は今後も続きそうだ。


政府はなりふり構わず、春闘での賃上げを声高に経営者に呼び
掛けた結果、経営者たちも応えて、5%以上の賃上げを実施した
というが、何でこんなに名目賃金は上がってないのか?

それは大企業しか呼応してないからなんだな。
労働組合組織率は、今や、全労働者のたった16%にしか過ぎない。
ちょっと計算してみた。
大企業が5%上げ、残りの84%の中小企業の半分が3%の賃上げ
をしたとすれば、5×0.16+3×0.84×0.5=2.06となって
名目上昇 2.1% とよく合う。

仮にその残りの企業が5月以降に、1%の賃上げを行なうとすれば、
1×0.84×0.5=0.42 となって、全労働者では 2.48% の
名目賃金上昇になる。
それでも直近の物価上昇率3%には太刀打ちできない。

増してや、エネルギー、食糧の値上げは今後も続くし、円安に
ともなう原材料、輸入物価の上昇も収まることはない。
こんな感じで、物価はとめどもなく上がって行く事になるんだろう。





もう一つ大きいのが、消費税なんだな。
これは単に物価を上昇させるだけでなく、企業収益を圧迫して
賃金抑制の引き金にもなるんだな。
消費税分をどこかで稼ぎ出さなきゃならんからね。
その結果が見事に賃金に反映されてる。




消費者側は実質的に物価値上げになるし、労働者にとっても賃金
下落をもたらす。
消費税の悪法たるゆえんだな。
消費税を減らすと社会保障が成り立たぬというデマキャンペーン
に惑わされて、「仕方ないな」と思った国民は多いんだろうけど、
消費税は全額社会保障に使うと言った大ウソが今や暴露されて
いて、実際には12%程しか使ってなかったって許せるんか?


世界を見るとどうなってるんかいな?
欧米は日本以上のインフレに悩まされているけど、賃金の上昇が
それ以上になってる結果、実質賃金はプラスで推移している国が
多数を占める。
OECD各国の統計と比較すると歴然で、日本だけがマイナスである。




これを見ても、政府が今までの政策が悪かったんだから修正しよう
と動かないのはどうしたものか?
何をどうして良いのか分からんので、経営者達にお願いして賃上げ
してもらおうって、あまりにも情けないと思わないのか?
無能な政府のもとで国民が苦しんでいても、何とも思わないのか?。
かくして、世界の国々との格差が広がるばかり。