台湾新総統就任 | 悠釣亭のつぶやき

台湾新総統就任

20日、1月の台湾総統選で当選した民主進歩党の頼清徳
主席(64)が新総統として就任した。
中国は氏を独立派として非難しているが、氏は現状維持を
強く主張している。
就任の日にも中国は戦闘機を飛ばして嫌がらせを行なった。


一方、氏は就任演説で、「中国の軍事行動や(武力攻撃に
至らない)グレーゾーン事態を利用した脅迫もまた、世界の
平和と安定に対する最大の戦略的な挑戦とみなされている」
と指摘した。

その通りなんだが、中国は「一つの中国」を主張し、台湾は
中国の一部だと言い張る。
そして、独立の動きがあれば、武力行使も辞さないという。
そして、演習と称して、武力をちらつかせる。

ワシから見れば、言いがかりも甚だしいと思うのは、下記
「台湾有事」に書いた通り。
経済に目が眩んだ世界の馴れ合いがもたらした幻影に過ぎ
ないし、こういう妥協が歴史的に何をもたらしてきたかを
もっと真摯に考えるべきだとも思う。


一方、中国外務省報道官は「強調するが、台湾独立は死に
至る一本道だ」、「どのような看板や旗印を掲げて台湾独立を
推進しても、失敗するに決まっている」と強くけん制した。
また、20日、中国の呉江浩駐日大使は、日本が「台湾独立」や
「中国分裂」に加担すれば「民衆が火の中に連れ込まれる
ことになる」と警告した。
強気一辺倒という事は実現が困難という事の裏返しでもある。

実際に台湾有事が起こる可能性は相当に低いし、新総統が
現状維持を貫く限りにおいては、両岸関係は嫌がらせの域を
出ないんだろう。
武力侵攻ともなれば、傾きつつある中国経済が一気に破綻に
向かう事くらい、政権は百も承知だろう。

だから、中国は親中勢力には飴を舐めさせ、中国と統合すれば
こんなに良い事があるよとアピールし、独立志向の勢力には
「武力行使も辞さない」と脅し、嫌がらせを続け、対話も無く、
国内世論を統合に向けさせようと躍起になっている。

もちろん、武力行使の可能性はゼロではないし、油断すれば
付け込むのがかの国の習性だし、その能力もある。
戦闘機を飛ばしたり、サイバー攻撃は日常的にやっている。
また、偶発的な衝突が起こらないとも言えない。


とにかく新政権は現状維持に努めるべきだと思う。
そして、民主国家はこぞって台湾を支援すべきだし、実力行使
には断固たる対応を取ると言い続けるべきだろう。

ちょっとでも迎合的な態度を取れば、必ず香港の二の舞を
演じることになるし、米国や周辺国も放置できなくなる。
時間は中国に不利に働いていると思えるから、国家破綻に
至らずとも、経済の更なる悪化や内部紛争が起これば、現状は
一気に改善するのが明白。
当面は我慢の政策を継続するしかなさそうだ。