ガザ停戦は困難? | 悠釣亭のつぶやき

ガザ停戦は困難?

3万5千人以上もの死者を出しながら、未だに継続している
イスラエルによるガザ侵攻は終わる気配が無い。
仲介に入ったエジプトやカタールが精力的に活動しているが、
停戦合意には至っていない。


イスラエルはハマスが人質を解放し、組織的抵抗を辞めるなら
応じるというが、ハマスは停戦が先で、その後に人質解放の
交渉に応じるという。
互いに戦闘を辞めようという積極的な意思が無い。

イスラエルによる報復攻撃で多数の死傷者が出ている現状は
明らかにイスラエル側のやり過ぎ、過剰防衛ではあるんだが、
今回の紛争の起点は10月7日のハマスによるイスラエル襲撃
であることが時に忘れ去られるのも問題だ。

もちろん、イスラエルによるこれまでの領土拡張や、今も続く
西岸地区への違法入植はあろうけれど、だからと言って、
いきなり武力攻撃で多くの民間人を含む1,200人もの人を
殺害し、200人以上の人質を取るという暴挙を見過ごしては
ならない。

暴力組織が悪事を働くからと言って、そこに乗り込んで組員を
殺害し人質を取ったら、その暴力組織がどういう報復をするか
と考えると分かりやすいように思う。


この問題の本質はイスラエルの生存権の問題である。
イスラエルが消滅すべきだと考えるならば、ハマスの行為は
正当化されるんだろう。

しかし、過去の様々な経緯もあり、共存が確認合意され、
建国以来75年もそこに存在する、世界の多くが承認している
国家を消滅させることが許されてよいのか?
そこに住む多くの国民をどうするというのか?
当時のアラブ諸国もパレスティナでの2国共存を認めたのでは
ないのか。


イスラエルは一度でも戦争に負ければ国家が消滅することを
十分な危機感で自覚している。
だとすれば、イスラエルを消滅させようとする勢力が実際に
行動を起こせば、徹底的に叩くのは当然と言える。
もちろん過剰防衛が国際法上も許されるはずはないのだが。

だから、ハマスが戦闘を辞め人質を解放するまではこの紛争は
終わる事が無いのではないか。
イスラエルが脅威を放置して停戦に応じるとはとても思えない
んだが。
応じたとしても、少しでも気配があれば再び紛争が燃え上がる
事は確実だろう。


何度も何度も同じことを繰り返すパレスティナ問題だが、
国連をはじめ、アラブ諸国や、イスラエルと共存することを是と
する国々が生存権を保証し、領土拡張や違法な入植を辞め
させ、一方で、イスラエルに対する違法な攻撃が行われない事
を監視するような仕組みが出来ない限り、今後も同じ事が
何度も起こる事は容易に想像出来るのが悲しい。

ここでも国連は無力だし、大国の思惑で簡単には事が止まない
のも露呈された。
停戦が実現したとしても事の本質は何も変わらないだろう。