そろそろ田植えの時期 | 悠釣亭のつぶやき

そろそろ田植えの時期

ワシの散歩道は田んぼが広がる地域の農道部分が多い。
んで、毎日のように田圃の様子が分かるわけだが、最近、
一部の田圃に水が入るようになった。
そろそろ田植えの時期かな(この記事は5日前の事です)。




この辺りは毎年連休中に田植えが行われるんだが、それは
八十八夜の別れ霜の後という事もあるし、昔は、農家の次男坊
などが会社勤めをしていて、連休中に人手として駆り出された
からなんだろう。

早い田圃ではすでに代掻きも始まっていて、今は機械化されて
いるから、大きな面積を一人で田掻き出来るようになってる。
隣の田圃はまだ水を張ってないが、家では苗作りが始まって
いる事だろう。





どんなふうにして水が張れるようになってるんかと興味が湧いた
ので、暇に任せて、水路を探索してみた。

近くの大きな川がその大元なのは分かっていたんだが、水路の
始まりはこの頭首工。
小さなダムというか堰堤というか。




川の半分に門があって仕切り板が下せるようになってる。
で、他の半分はやや高い堰堤になってる。
だから、仕切り板を降ろすと水位が上がるんだが、上がり過ぎた
水位の水は右の堰堤から下流に流出出来るようになってる訳だ。

で、高くなった水位の横に用水の取り入れ口が設置されていて、
ドンドンと横の水路の方に水が導かれる。
この水路が田圃の地域に沿って下流の方へと流れて行き、
ずっと下流の最後にはまた元の川に合流するという仕掛け。





で、この用水路には、ところどころに小さな水門が設置されて
いるんだな。
ここも同じように、用水路の半分に仕切り板を降ろすと水位が
上がって、田圃に通じるもっと小さな用水路に水が導かれる。





これが一番細い用水路で、田圃の横を流れ下って行く。
田圃に水を入れる時は、この用水路に大きめの石を投入する。
すると、また水位が上がって横の取水口から水が田圃に流入
するって寸法なんだな。
下の写真に大きめの石と白い取水口が見える。




水が不要になれば、石を除ければ、水位が下がって、白い
取水口は水の上に露出するから、田圃の方には水が流れ込む
ことはなくなる。


田圃は水平面だから、広い面積に平均に水が張られるが、
水位を一定に保つ必要があるな。
そのために田圃の下流側には一部切り欠きがあって、パイプで
土が流れないように補強してある。




ここではまだ水位が低いのでパイプから流出はしてないが、
水位はパイプの下端までしか上がらないという事になるな。
それを超えるとこの排水溝からドンドンと水が流出するって寸法。


ま、長年の試行錯誤の結果なんだろうけれど、実に上手く
出来てるなぁ。
はじめの頭首工の水門を下げる時に電力を使うだけで、他は
一切、人力と自然配置で賄うから、ほとんどエネルギーは
要らないな。

また、水位は上がるけど、流れを止める訳ではなく、極く少量の
水を引き抜いた残りは下流に全部流れるし、田圃を潤した後の
水も、すべてが元の川へと帰って行く。
農業と土木の見事な集大成というしかない。


幾つか疑問があったんで、近くにいた農家の人に話を聞いた。
悠「夏には田圃の水温が上がると思うが如何にせん?」
農「水の流入出を管理しておる」
悠「用水は行政の作と思われるが、掛かりは如何に?」
農「水使用量を年間ン万円取られちょる」
悠「昨今の農業や如何に?」
農「後継者不足で悩んじょる。どこも高齢化して跡継ぎがおらん。
  このままでは外人雇うべきか」
悠「日本人でやれんか?」
農「米価は安いまま、肥料、除草剤、燃料、諸々の値段は
  数年前の倍以上。利が薄いから若いもんはやらんな。
  辞めても土地税金は払わにゃならんから、辞めるわけにも
  行かんので、外人助っ人しかないかもな」


政府は日本の農業を持続性あるものにする気はないようで、
自給率が低くなるのは至極当然の事のようだ。
一朝事あれば、コメ農家が居ないととんでもないことになりそう
なんだけどねぇ。
これが日本国の縮図と言えるのかも知れないな。