ギックリ腰と対策(2) | 悠釣亭のつぶやき

ギックリ腰と対策(2)

Ⅰ.日常生活編
ギックリ腰の発症の原因は色々あるようだが、主なものは脊椎が
少し変形して、周辺の神経を圧迫することによって、強い痛みを
伴なった炎症が起こる事による。


生物学的に言って、人間の脊椎は正常な状態だと緩いS字型(∫)
をしており、その上に頭が、一番下に骨盤が取付いている。
頭の重さは体重の20%近くもあり背骨を圧迫し続けている。
また、上体の重さが骨盤を通して下部脊椎と座骨を押し下げる
ように働いているわけだ。

だから、人間が2足歩行をする限り、脊椎は圧迫され続ける。
そして、脊椎が緩いS字型を保っているのは脊椎周りの筋肉と
腹筋、背筋、および側腹筋の伸縮によっている。


脊椎に変な曲げ荷重が入った時、これを支えきれなくなると、
骨同士が少しズレて、周りの神経を圧迫するのが激甚発症で、
いわゆるギックリ腰という訳である。

ならば、日常的にやれる、やるべきことは2つ。
①脊椎をいつも正常な状態に維持する。
②正常な状態を保つために関連する筋肉を強化する(別途記述)。


で、①を実行するのが日常生活の重要点である。
そのために、まずは要らぬ精神的ストレスを掛けぬことで、ストレス
は多くの場合筋肉の収縮を伴って、肩こりや背中痛を起こしやすい。
日常から筋肉を緩めるべく、過度なストレスを貯めない事が肝要。

そのためには規則正しい生活が必須。
健康の3要素、バランスのとれた食事、十分な睡眠、適度な運動
が良いんだが、忙しい現代人には完全に実行するのが難しいから、
とにかくそう心掛けるだけでも大いに良くなると言うしかないのかな。


次に重要なのが姿勢。
脊椎を緩いS字型に保つことを日常的に意識すべきだ。
例えば椅子に座る時は深く腰掛け、頭を後ろに引いた状態に
すべし。
PCにかがみ込むなんてもっての外で、一番悪い姿勢。
脚を組むのは最悪だし、片座りというか、片肘を机に付いたような
姿勢も良くないな。

車に乗る時も深く座り、出来れば腰骨の部分にクッションを入れ
て、S字型を保つべき。
昔のクラッチ操作が必要な車は両足を上げるので、特に腰に悪い。
オートマ車でも片足操作時に踵をなるべく浮かさないようにすべし。


胡坐をかくのは避けるべきだが、避けられぬ時はヨガ座り(脚を
身体に近づけ、背筋を伸ばす)にすべし。
正座は良いが背骨を真っ直ぐに立てるべきで、横座りは絶対ダメ。

体育座りは背骨に大きな曲げモーメントを掛けるため、良くない。
なぜ学校でこれをやるのか理解に苦しむが、せめて、片膝立ちか、
尻を落とさない正座にすべきだ。

横になって肘枕でテレビを見る人が居るが、腰痛や首痛になりたい
ためなのかと疑うばかり。
ソファーは硬目が良いが、柔らかい場合はなるべく深く座る事。

寝具は柔らかいのは良くなく、特に腰が落ちるような深く柔らかい
のは避けるべし。
高価な寝具は圧力が平均するようになってるので良いんだが、
高い寝具は必要なく、煎餅布団のやや厚手程度で十分だし、
それがベストに思う。
寝姿が特に問題にならないのは、自然に寝返りなどで調整してる
からなんだろう。


重量物を持ち上げた時にギックリ腰になったという人が多いが、
体重の10%超の重さの物を持ち上げる時などは意外に平気。
チャンと脚を曲げ、腰を落とすから。

むしろ、数kgの軽いものを無意識に持ち上げる方が良くない。
車の中のものを取ろうとした時などは上体の重さがモロに腰に
掛かるからね。
物をなるべく体側に寄せる事と、出来れば反対の手を膝に突っ張る
とか、反対の手でドアのかまちを掴むのが良い。

脚立に乗って高い場所から物を降ろすのも要注意。
背筋を真っ直ぐにして、緩いS時になってる事を意識して、物を
体側に近く持つことが肝要だ。

 

筋力がよほど弱いと、S字が崩れたらすぐに脊椎が変形するが、
普通はそんなことは無く、異常姿勢を長い時間続けることで、

筋力があっても、少しずつズレて行くんだと思う。
だからこそ、日常的に適正な姿勢を維持するのが重要なのだ。


もう一つ重要なのが保温。

腰回りの筋肉を柔らかくするのと、代謝を促進するためですな。
腰痛を発症する時期が6月や11月に多いのは、季節の変わり目の
気温差を正しく調整できてないのが大きい。

衣替えの時期には早めに暖かいものに変え、遅めに涼しいものに
変えるのがちょうど良いくらい。
若い時ならともかくも、臍出しルックは厳禁だし、冬場のスカートも
辞めた方が良いんだが。
やり過ぎて汗をかき、その後冷えるのも良くないので程々に暖かく。

生活療法を受けてた時は、夏でもビールは飲むな、石やプラ製の
椅子は冷えるからダメ、椅子に座って脚を組むな、適度な熱燗は
良いが飲み過ぎると背骨が緩んで曲がると言われたもんだ。

Ⅴ.発症対策編で詳しく述べるが、前駆現象が起こった時などは
速効で保温する方法があるので、初めの数年は5月末~7月始め、
10月末~12月始めの間はこれを着用するのがとても有効だ。


いろいろ書いても結局は怠惰な生活をしないようにという在り来たり
の表現になるんだが、要するに、緩いS字型を保つことを意識する
ことと、適度の保温に気を付けることに尽きる。

これを意識し続ければ、普通に出来るようになる。
そして、後述の筋力が付けば、あまり厳密にやる必要は無くなるし、
少し緩んだなと思えば体操で正常に戻せる。
次の稿で体操を取り上げる。