沖縄の思い出_マングローブ | 悠釣亭のつぶやき

沖縄の思い出_マングローブ

今回は沖縄の植物のお話です。
沖縄は亜熱帯気候なので、本土とは植生がかなり異なってます。
例えば、ハイビスカスですが、沖縄では中央分離帯に普通に植わって
ますが、本土では西湘でも地植えでは育ちません。
ブーゲンビリアは地植えで育つんですけどね。

他にも、アダンやガジュマルなど特有のものやゴムの木の大木なんか
本土では温室以外では無理ですな。
マンゴーやドラゴンフルーツ、パイナップルなどが地植えで育つのも
素晴らしい。


今回は沖縄を代表する植生の一つ、マングローブについて思い出話
を書いてみたいと思います。
マングローブって言うけど、マングローブの木と言うのがある訳じゃ
ないです。
汽水域で潮の干満で半干潟になるような場所に繁茂する植生の事を
言います。

沖縄のマングローブを形成するのは主にヒルギという木です。

 


 

名護の東、大宜味村に慶佐次公園(げさしこうえん)と言う場所が
あります。
ここは沖縄本島で最大級のマングローブの自生地として有名です。
ヒルギの木々は海水から水分を吸収する太い根が蛸の足のように
伸びることから、別名、蛸の木とも言われてます。
木から落ちる葉などが栄養源となり、その林の中には多くの魚や動物
が生息できるようになってる訳です。




公園にある説明文によるとマングローブの生態は驚異というか、
実にうまく出来てるんですな。
これほどまでに森が広がり繁茂するのがよく分かります。

ヒルギは夏頃に花が咲きます。
花はあまり目立たないもので、こんな形をしてます。
これ自身が蛸みたいですが、真ん中に若い実が出来始めてます。



 

完熟するとこんな実になります。

 


 

花が終わり、実が熟すとちょっとした風などで実は木を離れます。
ちょうど豆の鞘のような形は太い方を 下に落下するようになっていて、
下の土は川に堆積した柔らかい土なので、スパッと突き刺さります。
突き刺さったところで芽を出し、木に成長するって訳なんですな。
こんな感じに。





ヒルギの生育地は満潮時には水没するような場所なので、下が
満潮のときはこの鞘状の実が海水中に落ちますね。
すると、ちょうど棒浮きのような形で、浮きつ沈みつ、 流されて行く
んですなく。
そのうち、潮が引くにつれて、どこかに漂着し、その場所の柔らかい土
に根を下ろす。
こうしてマングローブ林が拡大してゆくという訳です。

不思議なのは、こんなに塩分が多い場所で生育できるのかという事
なんですが、いくつか秘密があるようです。
まず、根が塩分を濾過して薄める働きをする。
そして、蛸の足状の根は気根になっていて、空中から水分補給する。
最後に、溜まった塩分を枯葉に集めて落葉除去する。
どうです、うまく出来てるで しょう。

マングローブ林は栄養分が豊富なので、プランクトンが生育し、それを
食べる小魚やカニ類が生息し、もっと大きな魚も寄ります。
鳥も多いです。
それらの生活を支え、共存しているわけですな。


適応できる植物だけが生き残って繁殖するって事なんでしょうが、
沖縄の自然を眺めると、まさにそんな天然自然の偉大さが分かる
気がしますな。