舞い上がれ!とパイロット | 悠釣亭のつぶやき

舞い上がれ!とパイロット

朝ドラ「舞い上がれ!」を見て思うんだが、主人公がジェット機の
パイロットになりたいって所から、中盤のパイロットになるための
ドラマが展開されるようだ。
結局はパイロットになってジェット機を飛ばすことになるってのが
筋書きなんだろうけれど、あまりにも安易で、チャンと見られそうも
ない気がしている。


パイロットになりたい人は多いんだろう。
ワシ等の若い頃は憧れの職業のトップクラスだったしなぁ。
デッカイ飛行機を飛ばして、沢山の客を乗せ、高空を高速で
移動するなんて、考えただけでもワクワクするもんだ。
新幹線の運転手とは趣が違うしね。

では、パイロットに成れるんか?
1,000人に999人は成れないというのが結論だろう。
ワシは、何回も民間航空機を飛ばす現場に行った事があるが、
999人の一部を何度も目の当たりにしている。

ワシ等は彼らを航空浪人と心の中で感じていたが、それでも
皆さん優秀で、航空の世界に居続けたいという人が沢山居た。
民間機(撮影や測量など)の操縦士、飛行学校の教官、民間機の
整備士になったり、航空管制の仕事をしたりと様々だが、多くが
パイロットに成りたかった人達。


操縦技術は時間とカネを掛ければ、誰でもそこそこのレベルに
到達できると思う。
問題はその上での知力や体力なんだろうか。

航空機そのものに対する理解はもちろん、気象、英語、無線施設、
航法、航空管制、各種情報処理、国際法規、云々かんぬん。
膨大な知識を普通に使えるレベルにまで高める必要がある。

天性の空間識、先読みの上手さ、冷静な処置、リーダーシップ、
情報理解等の先天的なものは誰でもが持っているわけじゃない。
思い込みの少ない事なんかも特性かも知れない。


体力面でも、まずは視力が人並み以上である事は必須。
病気が無い事はもちろん、いつも最高の状態で維持できる気力や
自己管理能力も必須。
その上で、気圧順応性、耐G能力、耐異常体勢、耐パニック性
等々、これもほとんど天性とも言える身体能力が必要だ。

これらの能力が抜きんでた人だけが選ばれる仕組みがあるから、
候補者達が次々と脱落して行く訳である。
どれ一つでも規格を外れたら一発アウトになるように出来てる。
結果として、999人が地上職や別の道へと転身して行かざるを
得ない事になる。


朝ドラなら、簡単に、選ばれた人が描けるんだろう。
選ばれずに別の道を歩む大多数を描いてもドラマにはならん
からね。
なまじそういう世界を知ってると、楽な気持ちで朝ドラも見れん
ようになってまうのは悲しいサガと言うべきか。