コロナ経済対策(その3) | 悠釣亭のつぶやき

コロナ経済対策(その3)

前稿で今回の経済政策が如何に即効性に欠け、効果が限定的で、
一過性かを簡単に述べた。
対策を見て行くと、その上に、不合理な点がある事にも気づく。
幾つか具体的な点を述べる。


GoToトラベルは前回の不都合(高額の旅館、ホテルに客が集中)を
踏まえて、平日の割引を強化し、中小旅館等への支援を強化する。
これ自体は良い方向なんだろうけど、基本的な所が欠けてる気がする。

旅行が出来る人はそこそこ裕福で、時間がある人達だという事。
結局、旅行なんてものにカネを回せない低所得者層は指を咥えて
見てるだけ。
富裕層優遇の施策としか言えないな。

海外からの旅客は世界的にコロナが収束しない限り回復しない事。
今回、入国者数の制限を大幅に緩和する方向だが、この実験が
どう出るかは未知数。
ワクチンパスを当てにするようだが、ワクチン打ってても感染はするし、
それが未接種者に蔓延すれば、重症者も増えかねない。
恐らく、次の感染拡大は海外からのウィルス持ち込みから始まる。


GoToイートやお買い得クーポンの販売が盛んで、需要喚起に努めて
いるのは歓迎だ。
しかし、販売窓口に行くと、列をなしているのは年寄りばっか。
若者たちはキャッシュレス化が進んでるから、他の割引を使ってる。

高齢者の目的は日常の買い物の為で、この秋の物価高騰を少しでも
緩和できるならと、生活費に充てるものを割引購入しようとしているだけ。
ガソリンとて、そもそも高いサービス付きスタンドでしか使えない。
新たな需要を喚起するには弱すぎるな。


賃上げを行う企業への税制支援があるが、これも偏りがあるな。
労働分配率を上げた企業に対して減税するというが、賃上げは本来
業績が良くなきゃ出来ないんだから、結果的に、業績の良い企業は
減税、そうでない企業は恩恵無しって事になって本末転倒著しい。
まだ、内部留保に課税する方がよほどマシな気がするな。


テレワークの定着はさんざん言われてきた。
コロナ禍中で、テレワーク出来るところは大分進んだと思う。
これ以上は企業努力が主になる筈で、支援しかできることは無い。

当時から違和感があったんだが、出社7割削減って、製造業で
どうすれば出来るんか聞かせて欲しいもんだ。
店頭販売やコンビニやファミレスでテレワークって何?
まさかロボットが食事運んだり、チンしたりしてくれるん?
それは人員削減でテレワークではないって?
ま、経営者の皆さんは、それが効率化につながるんなら、必死で
やりますって。


自動車の電動化推進は今現在必要な事なんだろうね。
自動車そのものの開発については世界から取り残されつつあるから、
十分な支援をしないと、自動車産業そのものの存亡に関わるからね。
温暖化ガス対策にもなるしね。

ところで、全国いたるところに充電スタンドを作ってくれるんでしょうね。
今のEVじゃ、観光で一日地方を駆け巡るってなことは自殺行為でっせ。
大容量電池の開発支援も必要じゃろ。
将来的には水素化に、もっと注力すべきとも思う。


労働移動の円滑化と再教育を掲げているが、具体的にどうやるん。
デジタル人材や医療介護の人材不足は深刻だが、まさか政府機関での
教育はあるまいし、また人材派遣業や教育産業だけにカネが回るん?
コロナ失業した人達の生活支援と合わせて、就業支援とそのための教育
ってんなら、とても分かりやすいんだけどねぇ。


まだまだ色々違和感はあるけど、具体策がどう進むかは現時点では
分からない。
ただ、通底してるように思うのは、「庶民、特に低所得者層の生活や
中小企業者の苦痛がまったく分かってない人が作った」ってこと。

政府か方針を示して、地方自治体主体で横並びとか、企業団体主体で
具体策を進めるようなやり方でないと、真に生活者に恩恵のある対策に
ならないように思える。


Ref.
コロナ経済対策(その2)
https://ameblo.jp/yct/entry-12711803556.html