●人生のほとんどを洞窟で過ごした男の物語♪
こんにちは、ハッピアッツァの三宅節郎(せつろう)です^^
今回は、久しぶりに、弊社代表の大下からの情報となります。
それは、大下と弊社のスタッフもお気に入りの、
[本山よろずや本舗]サイト
に掲載された記事なのですが、
『洞窟オジさん』 (加村一馬著、小学館文庫)
という書籍のご紹介となります。
この本は、ドラマ化され2015年にBSで放送され、70回文化庁芸術祭テレビ・ドラマ部門で優勝賞受賞されたのだそうです。
アマゾンの内容紹介には、次のように記載されておりました。
人生のほとんどを洞窟で過ごした男の物語
加村一馬、昭和21年8月31日生まれ。群馬県大間々町(現:さくら市)出身。68才。
昭和35年、当時13才だった少年は「両親から逃げたくて」愛犬シロを連れて家出した。以来、彼はたったひとりで誰にも知られることなく、足尾鉱山の洞窟、富士の樹海などの山野で暮らし、イノシシやシカ、ヘビにネズミ、コウモリ、野ウサギなどを食らい命をつないできた。発見された時、少年は57才になっていた--
2004年5月に刊行され、大きな話題を呼んだ『洞窟オジさん 荒野の43年』(小社刊)。あれから11年、社会復帰を果たした「オジさん」は、群馬県の障害者支援施設に住み込みで働いていた。彼はなぜそこで生きることになったのか。そして、「自分のため」ではなく「他人のため」に生きる喜びを知った「オジさん」は何を語るのか。
トラブル続きの集団生活、「天使のような」女性との出会い、ブルーベリー栽培への挑戦、初めての入院生活…。12万字を越える加筆で奇跡の文庫化!!
以下は、書籍の内容ということで、[本山よろずや本舗]サイトの記載(一部)のご紹介となります。
・・・<『洞窟オジさん』、p20~p28から抜粋開始>・・・
「こんな家、出て行ってやる! もう、父ちゃんも母ちゃんも顔を見たくない!」
夏の終わりのある日のことだった。その朝、いつものように親父もお袋も仕事に出かけていった。きょうだいたちも学校に行き、家には誰もいなかった。10時頃だったと思う。台所に置いてあった竹と藤のつるで編んだ籠を覗くと、さつま芋を乾燥させた干し芋がいっぱい入っていた。それを丸ごと通学カバンに詰め込んだ。4合瓶入りのしょうゆ、紙袋に入った塩1袋、鉈(なた)と小刀のようなナイフ、砥ぎ石、大きな500本入りのマッチも押し込んだ。そして大きなスコップを手に、Yシャツの上に学生服、ジャンパーを羽織って家を出た。
そのときだ。2番目の兄が数年前にもらってきた犬のシロが悲しそうな目をして鳴いた。おれは一緒に連れていきたかった。シロは誰からも相手にされなかったおれの唯一の友達だったんだ。シロがいれば心強いとも思った。でも、2番目の兄はおれにいつも優しくしてくれた。連れていくわけにはいかなかった。
「シロ、元気でな」
そう声をかけるのが精いっぱいだった。いざ覚悟を決めると、こんな家には二度と戻らない。死んでも戻るもんか。のたれ死んでもいい! こんな家にいるよりはましだ! そんな思いがどんどん強くなっていた。
・・・(中略)・・・
愛犬シロ
家を出たおれは、国鉄が走る線路まで一目散に走った。近所の人にも誰にも見つかりたくなかった。
おれの家族が「渡良瀬(わたらせ)鉄道}と呼んでいた国鉄足尾線を線路伝いにどこまでも歩いた。行くあてなんかない。それでも、どこまでもどこまでも休みなく歩き続けた。
どうしよう、どこへ行こう。誰にも会いたくない。会って連れ戻されたらまた怒られる。殴られる。棒で叩かれる。墓石に縛り付けられる……。
そうだ、足尾銅山に行こう! この線路伝いにひたすら北へ北へと進めば足尾銅山につながっている。小学校の社会科で足尾銅山のことを習ってから、1度は行ってみたいと思っていた場所だ。それに足尾銅山はほとんど廃鉱となり、人の目も少ないという。足尾銅山まで行けば、きっと誰にも見つからないはずだ。
歩いている途中、見つけた山柿を採っては食べ、日が落ちてもまだ歩き続けた。途中、さすがにくたびれて線路脇に腰を下ろし、何かにもたれて寝た。生まれて初めての野宿だった。
家を出て2日目のこと。ひたすら足尾銅山に向かって歩き続けていたときだった。遠くから、突然、「ワンワン」と犬の鳴き声が聞こえてきた。聞き覚えのある鳴き声だった。後ろを振り返ると、おれの目にシロの姿が飛び込んできた!
2番目の兄が、赤ちゃんだった秋田犬の雑種をどこかでもらってきたときから、おれがいちばんかわいがっていた。兄の犬だったけどおれにいちばん懐(なつ)いていた。
賢い犬だったから、おれが戻らないことを心配して、においをたどって追いかけて来てくれたのか? でもまさか、あんなに太いロープで犬小屋につながれていたのに……。ロープは噛み切ったんだろうか? それも、1日遅れで? そんなに速く走れるものなのか? いや間違いない、シロだ!
うれしかった。本当にうれしかった。死んでもいいと思って歩き続けてきたおれだけど、シロと一緒に人目につかない場所で暮らしたいと思うようになった。おれはシロを抱き寄せて「おれとおまえはいつも一緒だ」と言いながら、ボロボロと泣いた。
それから何日歩いただろうか。途中、腹が減ったら干し芋を食べた。シロにもずいぶん食べさせた。欲しがるだけ与えた。たぶんおれよりもたくさん食べたんじゃないかな。
シロが合流してから、おれたちは一睡もしなかった。おそらく4日か5日は歩き続けたと思う。のどが渇いても飲み物を買うお金はない。道ばたで小川を見つければ、駆けて行ってのどを潤した。線路と平行に走る道には、ハイキングにでも行くのだろうか、何組かの家族連れや登山者風の人がいた。だけど学生服に通学カバンをかけ、犬を連れて線路伝いに歩いているおれが、まさか家出しているとは誰も思わなかったようだ。誰からも声をかけられることはなかった。
この後も、本当に面白いストーリーが続きますが、よろしければ[本山よろずや本舗]サイトでご覧下さい。
http://motoyama.world.coocan.jp/info_14.htm#info_1403
それでは、今日も「愛と光と忍耐」で、張り切って参りましょう!!
ありがとうございました^^