1950年代、敗戦前の若手エリート官僚が久しぶりに集い久闊を叙す。
やがて酒が進むうちに話は二人の故人に収斂する。
一人は首相近衛文麿。
近衛を知る参加者が近衛を演じ、近衛の最大の失策、日中戦争長期化の経緯が語られる。
もう一人は外相松岡洋右。
また別の一人が松岡を演じ、アメリカの警戒レベルを引き上げた三国同盟締結の経緯が語られる。
更に語られる「帰還不能点」南部仏印進駐。
大日本帝国を破滅させた文官たちの物語。
※以下、内容触れます。
約1年半ぶりの再演。
みんなでワイワイと劇中劇をしていくところは、なんだかやっぱりモヤモヤしちゃった。
今日舞台を観てて突然思ったんだけど、一般人は蚊帳の外ということなんじゃないかと。
『現在』である居酒屋さんでの会話でも、劇中劇で再現される『当時』も。
一般人の代表(?)が道子さんってことかな
一般の人たちは、上の人たちに振り回されたっていう印象がどうしてもしちゃう。
振り回されたというか、扇動されたというか。
それと同調圧力。
話の流れは前回と変わったところはないように思えるんだけど、前回よりも私は今回の方がスッキリとした印象に思えた。
そのせいなのか、最後の模擬内閣の場面にすごくグッときてしまった。
どうしたら日米開戦を避けられるか、そのために各々どう動くかをみんなで話し合いするところ。
「戦争はもうコリゴリだ。これは国民が共有している」
「もうこんなことは起きない。我々はそこまで愚かではない」
当時はそうだったのかもしれないけど、今はどうなんだと考えると怖い。
いろんな意味で。
今はまだ意見を言えるだけマシなのか。
「しょうがない」と普段から少なからず思っている人が(これは人間なら全員当てはまると思う)、例えば国の方向性を決めるような重要な立場になったとして、その普段から染みついてる「しょうがないよね」っていう気持ちをまったくの0に持っていけるものか。
いや、できるわけがない。
当時だって今だって、できるわけがない。
とかね、いろいろ考えさせられました。
キャストさんもみんなよかったです。
今回、浅井さんはウエストの『追憶のアリラン』にご出演なので、吉良さん役は照井さんに。
舞台上の照井さん初めて見た。
オカノウエ聴いてて優しい声だなと思ってたので、最初の模擬内閣の場面とか劇中劇のところとか、あの差がよかったです。
あと、戦後の吉良さんを想像させるようなあの一場面。
そして今回すごくいいなと思ったのが重成殿…じゃなかった、木藤さん。
(木藤さん役の村上さんは大河ドラマで時政の婿・重成殿を演じてた。橋を架けた人)
今回は表情がよく見える席だったからかもしれない。
劇中劇で役を指名された時とか、その最中の嫌そうな表情とてもよかったです。
「私のながーーーい官僚生活では」っていうところ好き。
あの時木藤さんと一緒に久米さんも一緒に首動かすのも。
そして西尾さんが素敵。
今回、席は2列目だと思ってたら最前列だった。
しかも目の前に西尾さんがいることが多かったので得した気分。←
西尾さん演じる泉野さんが頬杖ついて眺めてる時とか、最後の場面で岡田さんたちを見ている時の横顔が綺麗。
庄野さんとの漫才?もおもしろかったし。
「惚けてる場合じゃありませんよ」が好き。
劇中劇で言い合いになって、身体がどんどん倒れていくのもちょっと笑っちゃったし、急に泣いちゃうのも。
岡田さんに詰められる場面。
自分が東條を演じてるのに、思わず城さんに向かって「陸軍さんが」って言っちゃって、城さんに訂正されて言い直したところも好き。
やっぱりかわいいんだな
岡田さんを演じる岡本さんもよかった。
「責任…責任ですか?」からのあの剣幕。
広島で見たもの。
保身と後悔。
山崎さんのところもとてもよかったし。
「私たちのせいで何の罪もない人たちが大勢死んだ」っていうセリフとか、悲しかった。
キャストさんはほんとみんな上手で。
柳葉魚さんも東谷さんも、ほんと全員良い。
急遽決まったアフターアクト、西尾さんのも岡本さんのも見られない……
残念。。。
西尾さん、パンじゃなくてまた別のことをやったのかなー?
観たかったァァア
岡田一郎
岡本 篤
久米拓二
今里 真
千田 高
東谷英人
城 政明
粟野史浩
市川 仁
青木柳葉魚
泉野俊寛
西尾友樹
吉良孝一
照井健仁
庄子 豊
緒方 晋
木藤芳男
村上誠基
山崎道子
黒沢あすか
声
近藤フク
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