M.バタフライ。 | ゆかりのブログ。

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舞台の感想や日々のこと。
備忘録。

 
 
 
昨日観てきました。
 
チョコの日澤さんが演出。
 
内野聖陽さんと岡本圭人くん。
 
 
 
 
中国、北京に駐在経験のあるフランス人外交官ルネ・ガリマールは、国家機密情報漏洩により投獄されている。
なぜ彼は、そんな大罪を犯すに至ったのか。
オペラ『蝶々夫人』と対比させながら、彼が自らの物語として、その「正しさ」を説いていくうちに、ことの全貌が見えてくる。
 
時は1960年代、文化大革命前夜の中国・北京。
駐在フランス人外交官のルネ・ガリマールは、社交の場でオペラ『蝶々夫人』を披露した京劇のスター女優ソン・リリンに出会う。
「東洋人らしい」慎み深さと奥ゆかしい色香を湛えたソンに、瞬く間に魅了され恋に堕ちていくルネ。
やがて男女の仲になり人目を忍びつつも20年に渡り関係が続くが……
 
その実、ソンは毛沢東のスパイであり、男だった―――。
 
 
 
 
 
 
 
 
※以下、内容触れます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ネットで内容はググったけど、観劇前にこの本(戯曲を小説にしたもの)を読んでから行こうと思って。
 
でも図書館で借りるタイミングを間違えて、最初の50ページぐらいしか読めないまま観に行っちゃった。
 
 
 
 
昨日帰ってきてから読んだけど、文章がまわりくどくてあんまり頭に入ってこなかったなアセアセ
 
 
 
 
 

監獄の中から観客に話しかけるルネ。

 
ソン・リリンとの出会いからの回想っていうことになるのかしら?
 
オペラの『蝶々夫人』に擬えて。
 
蝶々夫人って名前は知ってるけど、内容は今回初めて知った。
 
なるほどねぇ。
 
西洋が東洋を見下してる感じとか女性蔑視とか。
 
西洋の男性が東洋の女性に持つ幻想というか。
 
当たり前だけどルネもリリンも日本人が演じているのでね、そこまで格差というのは感じなかったけど。
 
リリン役の岡本圭人くん、とてもよかったですね。
 
きれいキラキラ
 
いろんなお衣装で登場するので、圭人くんご本人は大変だと思うけど、観ているこちらはとても楽しい。
 
京劇の場面の刀さばきも美しく。
 
朝早くルネに電話してきて、「おひさまが出てくるまで待ちました」っていうセリフのかわいさよ。
 
そんなリリンに惹かれいくルネ。
 
ところどころに入る「予言的」っていうセリフがいいですね。
 
結末が分かってると、そのセリフの意味がよく分かる。
 
ある時ルネに「裸を見せろ」と言われて、「私妊娠してるの」って言うリリン。
 
そのあとチン同志に「赤ん坊が必要」って何度も言うところも好き。
 
ちなみにチン同志は占部さんが演じていて、私は最初チン同志は男性なのかと思ってて。
 
圭人くんが女性を(というか、実際は女性になりすました男性だけど)を演じて、占部さんは男性を演じるっておもしろいなとか思ってたら、チン同志は女性だったアセアセ
 
リリンを粛正?するところのチン同志もよかったですね。
 
フランスに帰国したルネに会いに来るリリン。
 
そして逮捕。
 
ここの二幕目の途中で入る休憩?が斬新だった。
 
着物姿のリリンが客席に向かって「この着替えには5分ほどかかります。その間に足を伸ばすとか、お茶を飲むとかしてみてはどうでしょう?」って。
 
ちょっとびっくりしちゃった。
 
客席がちょっと明るくなって、みんな身体を伸ばしたり、飲み物飲んだり。
 
その間、圭人くん演じるリリンは舞台上で髪のセットとお着換え。
 
ここおもしろかったですね。
 
着替えたリリンはスーツ姿。
 
これまたかっこいいのよ。シュッとしてて。
 
裁判長とのやり取り。
 
声の高さ、話し方や仕草も男性で。
 
そのあとのルネとリリンの場面。
 
リリンはルネに事実に目を向けるよう裸を見せる。
 
すごいね。ここもビックリ。
 
圭人くん舞台上で全部脱いじゃう。
(もちろん客席から見えるのは後ろ姿だけど)
 
ルネの本当は分かってたけど認めたくない気持ちとか。
 
ルネもリリンも切ないね。
 
そして監獄。
 
ルネはずっと話しながら顔を白く塗って、瞼を赤く、かつらも被って着物を着る。
 
「私をとらえて離さないのは東洋の幻影なのです」
 
これは蝶々夫人のような、男性に額ずく女性。
 
男性のために自分が犠牲になることを厭わない女性。
 
「私の名はルネ・ガリマール、またムッシュ・バタフライの名でも知られています」
 
なるほどねー。
 
自分がリリンというバタフライ(蝶々夫人)を見つけたと思ってたのに、実は自分がリリンのバタフライになってたってことねびっくり
 
そうだよね、リリンのために離婚もして、情報を流して。
 
しかもリリンは男だった。
 
「生きて恥をさらすよりは名誉ある死を」
 
そしてルネは自分を刺す。
 
そのあとのラストシーン。
 
いちばん高いところでタバコを吹かすリリン。
 
そして舞台の端っこで音楽を聴いているルネ。
 
いや、劇中何度も「これは僕の想像だ」ってルネが言ってたから、このラストシーンが現実ってことなのかな??
 
それとも、このルネのモデルになった方は、自殺未遂をしたけど助かって生きてるから、その助かったあとのことを表現してるのか…
 
それにしてもスッとした終わり方で、切なさというか哀愁というか、寂しさがすごかった。
 
 
 
 
 
いや、やっぱり内野さんすごかったです。
 
ほぼ出ずっぱりでセリフ量もすごいし、あのちょっと弱い感じというか、情けなさというか、そういう演技もすごかった。
 
でもかっこよかった。←
 
岡本圭人くんもすごかったです。
 
あのリリンの時とムッシュ・ソンの時の印象の違いがすごい。
 
 
 
 
 
最初の監獄から始まるところは『蜘蛛女』を、最初リリンがルネに「中国人を人体実験に使ってた」っていうセリフは『遺産』を、日澤さんが演出した舞台を思い出しちゃいました。
 
今回の舞台、正直私はあんまり好きではないけど、キャストさんたちがみんなとてもよかったです。
 
内野さん見られてよかったにっこり