昨日はこれを観に行ってきました。
『藪原検校』
とある按摩・盲太夫が語る、稀代の悪党の一代記…
江戸時代の中頃、日本三景の一つ・松島は塩釜の漁港に一人の男児が生まれた。
親の因果が子に報い…を地でいくこの子は、生まれた時から目が見えない。
盲目の身に生きる術を得るべく塩釜の座頭・琴の市に預けられ、もらった名前が杉の市。
父ゆずりの曲がった性根と母ゆずりの醜さ。
有難くもない天賦のためか、杉の市は殺しと欲にまみれた栄華への道を上り始める……。
※以下、内容触れます。
猿之助さんを見に行きたかったんだけど、健くん、松雪さん、慈英さんも見たい!
でも行こうかどうしようか迷ってて。
そしたら演出が杉原さんだと知りまして。
猿之助さん×杉原さんなら間違いない!と思って(何せスーパー歌舞伎オグリがものすごくよかった)、遅ればせながらチケット取りまして。
いちばん後ろの席だったけど、パルコ劇場見やすかったです。
キャストさんの細かい表情までは見えなかったけど。
まわりのセットがスプレーアートばかりの廃墟っていう感じで(江戸時代の話なのに)、もうこの時点でわくわく。
最初の入りがものすごくかっこよかった
奥から慈英さん演じる盲太夫が杖をつきながらやってきて。
客席を見回して、息を吸い込み、床を杖で突く。
と同時に暗転、慈英さんにだけピンスポット。
これ素敵だった。
慈英さんの盲太夫はストーリーテラー。
上手側にギターリストの方と一緒に座って、ずっと舞台上。
猿之助さん演じる杉の市の一生を語る。
とてもおもしろかった!
最初は杉の市が生まれる前から。
健くん演じる七兵衛さんが、生まれてくる子どものために座頭を殺してお金を奪う。
ここの「かねはふねー」の歌好き。
座頭さんのスキャット(?)もおもしろかったし。
やがて生まれてきた子どもは目が見えなくて。
七兵衛さん、因果応報というかなんというか…
成長した杉の市、琴の市に弟子入り。
琴の市の奥さん・お市さんを演じる松雪さんが初めて舞台上に現れた時、あまりにも美しすぎて『わぁ!』ってなった
綺麗ー
猿之助さんはさすがだし。
松雪さん演じるお市さんの部屋でゴタゴタするところ、屏風(?)に倒れ込む杉の市おもしろかった(笑)。
琴の市が網元の座敷で浄瑠璃を語る場面。
琴の市が語り終わり、次が杉の市。
場所を変わるとき、琴の市に向かって「さっきシュークリームの差し入れがあったけど、早いもん勝ちでしたよ」とか言う杉の市(笑)。
猿之助さんのアドリブかな?(笑)
ここで杉の市が語る『源平合戦壇ノ浦の戦い』ならぬ『黒白餅合戦囲炉裏ヶ浦の戦い』。
ここがすごかったよ!
ものすごい長セリフ。
猿之助さん、一度も噛んだり詰まったりしない。
猿之助さんに限らないけど、歌舞伎役者さんでセリフを噛んだり詰まったりしてる人を私は見たことがない。
そんな長いセリフの途中で「次はお能でいきましょう」とか「演歌風で」とか言って、口調を変えるのもおもしろかった。
この語り終わりでの慈英さん(盲太夫)の盛り上げ方も良き!
楽しい♬
そこにやってきた佐久間検校と結解。
佐久間検校が難しい言葉言うたびに註釈言ってくれる盲太夫さんおもしろかった。
ここで結解を殺してしまい、逃げてきた実家で誤ってお母さんを刺してしまい。
ここのお母さんと杉の市の場面よかったな。
そして琴の市はお市さんに杉の市を殺すよう言って簪を渡すけど、お市さんはそれで琴の市を刺して。
息も絶え絶えの琴の市にお市さんは刺され。
そこに入ってきた杉の市、二人の死を知って江戸に行くことに。
途中で痛みに苦しむ武士が。
「按摩鍼灸もちょっとできますから」と言いつつ、鍼でその武士を殺して財布を奪う。
ついでに錆びた短刀も奪い、江戸に向かう。
ここで一幕終了、休憩。
二幕目は日本橋から。
盲太夫さんが当時の日本橋の説明を。
囚人の晒し場の説明した時、囚人に扮した女性が叫んで、盲太夫さん「今なんて?なんて言ったの?」って言ったのおもしろかった(笑)。
江戸に着いて、奪った短刀の錆びを落としてほしいと研屋に行く杉の市。
師匠を探しているので誰かいい人はいないかと聞いたら、上がってきた名前が塙保己市。
ここのやりとりもおもしろかった。
そうこう話していると、杉の市が持って行った刀の出所が明らかに。
「盗んだか奪ったんだろ」と言われ、研屋を殺しちゃう。
ここで盲太夫さんが杉の市の心の声を代弁するのもちょっと笑った。
杉の市は保己市のところへ。
健くんはこの舞台で六役も演じてるけど、私はこの保己市がいちばん好きだな。
とても穏やか。
上手にいるギターリストに「音楽、お願いします」って言ったのもおもしろかったし、そこから歌うのがまさかのラップ!
相容れない考え方のふたり、杉の市は結局保己市ではなく藪原検校に弟子入り。
借金の取り立てで出世していく杉の市。
とうとうやくざ者に頼んで藪原検校を殺すことに。
そこにやってきたお市さん。
塩釜で死んだと思ったけど、一命をとりとめて、杉の市を追いかけて江戸に来たと。
そんなお市さんを川に突き落とす杉の市。
「覚えておおき!」と叫びながら、流されていくお市さん。
その後、計画通りに藪原検校を殺し、それを頼んだやくざ者のことも殺し。
ここの検証がおもしろかった。
たとえ二言でも、あるとないとで全然違うっていうのが。
そして杉の市は二代目藪原検校を襲名することに。
襲名披露に行けないことを詫びに保己市がやってくる。
ここのふたりもよかったな。
全然考え方が違うけど、通じたところもあって。
そしてここでの保己市のセリフにはとても考えさせられるものがある。
そのあと、襲名披露のために出かける杉の市。
そこに現れるお市さん。
またもや一命をとりとめてた。
ここまでくると、お市さんの執念が怖い。
「もう私を殺しちゃいやだよ」っていうセリフが怖い。
杉の市「おまえが邪魔なんだよ!」と叫びながらお市さんを刺し殺す。
でもそれをまわりにいた人たちに見られたってことに気付いた杉の市。
「金はいくらでもあるから黙っててくれ」って頼むところはなんだかかわいそうになっちゃう。
悪いのは完全に杉の市の方なのにね、なんでだろう。
松平定信と保己市が会う場面。
ここでのこの二人の会話も考えさせられる。
定信が言ったように、保己市が杉の市を憎んでいるような口調。
ここでの保己市の言ったセリフは、もうちょっと考えたい。
「末期そば」含め。
「末期の水」じゃなくて「そば」?
何か含まれてると思うんだけどなぁ。
目明きと対等な立場になるために、杉の市はお金、保己市は学問に執着する。
でも元は同じなんだよなー。
最後は杉の市の刑の執行。
定信さん、保己市の案を受け入れたんだね。
盲太夫さんが杉の市の享年を言って終了。
舞台、とてもおもしろかったです。
もう無理だけど、前の席でもう1回観たい!
カーテンコールで袖にはける時、猿之助さんが健くんの肩を抱いて、トントンしてるのかわいかった(笑)。
何かお話ししてるように見えたけど
猿之助さんの長セリフとかもすごかったけど、慈英さんもずっと出ずっぱりでずっとお話ししてたのもすごかった。
慈英さんのセリフでおどける猿之助さんもかわいかったな(笑)。
慈英さん、また小劇場にも出てほしいなぁ!
健くん保己市がラップ歌う時とか、慈英さんも一緒に歌うのよかった
健くんもとてもよかったです
松雪さんも綺麗。
あんなに綺麗だから、お市さんの執念に凄味が増すよね。
そして猿之助さんはさすがでした。
オーラが違う。
素敵でした。
歌舞伎もまた観に行こう
観劇前に図書館で戯曲を借りる。
やっぱり小説じゃないと頭に入ってこない。
この間観に行ったチョコさんの時もそうだったけど、Wikipediaみたいな解説というか、そういう本も頭に入ってこないし、戯曲も入ってこない。
そういう解説的な本とか戯曲は、なんかね、(個人的感覚として)のっぺりしてるというか、平坦というか。
自分の中で「物語」として立ち上がってこないのよね。
ポンコツ脳……
でもね、舞台を観て視覚と聴覚が補完されたら読める。
ということで、観劇後に読んでみる。
私はてっきりギターリストの方が上手側に控えてるのとか、舞台に張られてるロープとか、歌を歌うのとかは杉原さんの演出だと思ってたけど、戯曲にそう書いてあるのね!
まずそれにびっくり。
歌のメロディーも初めからあるのかな?
でも健くんのラップは違うよね??
ある歌の歌詞は、頭文字が1から10までの数え歌になっててびっくり。
舞台上に張られたロープは「盲人たちの命綱のつもり」とか、佐久間検校と結解が杉の市を殺そうとするところで盲太夫の註釈が入るのは、盲太夫が杉の市を助けるためとか。
戯曲読んで『ほう!』ってなることたくさん。
そして猿之助さんの長セリフ。
約11ページ分もあったよ
これを一度も噛まず詰まらず。
すごい
あー、藪原検校じゃなくても、また猿之助さん見に行きたい。
慈英さんのミュージカルも行ってみたいなー。
ということで、渋谷に行ったので。
月刊ゴツプロ2月号で知束さんがおすすめしてたお店に行って、お弁当買って帰った
おいしかったです
コロナ落ち着いたらお店で食べたいね!
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