◆ 貴くして奉ずる、賤しくして侮る ◆ | ★ 文芸で楽しく生きよう エレガントに人生を輝かそう

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~ 引き寄せ文芸  “ 世界のBUNGOたれ ” ~

【中国古典を詠み解く引き寄せ短歌シリーズ】第79回です。

《菜根譚》からご紹介します。



【書き下し文】

『 我、貴(とうと)くして人これを奉ずるは、此の峩冠大帯(がかんだいたい)を奉ずるなり。我、賤(いや)しくして人これを侮るは、此の布衣草履(ふいそうり)を侮るなり。

然(しか)らば則ち原(もと)より我を奉ずるにあらず、我、胡(なん)ぞ喜びを為さん。原(もと)より我を侮るにあらず、我、胡(なん)ぞ怒りを為さん。』

《 前集 169 》


【訳文】

「高位高官のために人が我を尊敬するのは、わが身につけた高い冠や大きな帯のためである。身分が低いと人が我を軽蔑するのは、わが身につけた木綿の衣服や藁の靴のためである。
そうだとすると、もともと人が我自身を尊敬するのではないから、どうして喜んでいられようか。もともと人が我自身を軽蔑するのではないから、どうして腹をたてていられようか。」

参考文献:岩波文庫《菜根譚》、講談社学術文庫《菜根譚》


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今回の一節で、ある話を思い出しました。

ある人が自治会長を務めている時に、用事で役所に行くと、職員から丁重にあいさつをされていました。

しかし、自治会長を辞めたとたんに、同じ顔見知りの職員はあいさつすらもしなくなったというのです。

当時、自治会長をやられていた方が憤慨しながら私に話していました。

このことは、役所の職員がその人自身にではなく、「自治会長」にあいさつをしていたということでしょう。

今回の一節は、役職や身なりなどの外見でその人を判断するなと説いています。

また、役職のある人への戒めにもなる言葉です。


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 人格は
 位だけでは
 高まらず
 身なりだけでは
 判断できず


 冠を
 外した時に
 本当の
 人間性が
 現れてくる


 その人を
 外見だけで
 判断し
 その尊さが
 見えぬ愚かさ


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