このような世界的に大変な時期に呑気な話題で恐縮ですが、「素朴な疑問を大切にして、論理的に考えてみよう」シリーズ第3弾


 前回は、一方的な情報として受け取る「占い」の類を、「血液型」を例にして、なぜ当たっているように思えてしまうのか、という観点で考えてみましたが、今回は、対話を前提とする「占い師」について同じように考えてみようと思います。題して、
  <優れた占い師はカウンセラーである>

 

 占い師の本質は、その人の過去や未来を「言い当てる」ことではなく、カウンセリングやコーチング、コンサルティングする事によって、より良い状態に導く事にある(べきである)、というのが結論です。

 

 占いの方法は数え切れない程ありますが、

  統計的な要素で信憑性を匂わせる手相、人相でも、

  太古の天文学からの亜流のような占星術の類も、

  自然に近く暮らしていた時代にはきちんとした理由があったと思われる風水(水洗や下水も完備していなかった時代には、風通しの悪い所に水回りを置かないとかいう事に意味があったと思うけど、事情が変った今になって、「西に~はダメ」、とか「東に黄色い物を置くと金運が上がる」とかにこじ付けてしまうのはどうなの?)も、

  どう見ても偶然性(確率?)が左右するとしか思えないトランプ、タロットの類(潜在意識がカードを選んでいるのだ、と解釈してみても無理があるでしょう?)でも、

  怪しさしか感じない水晶玉も、

  冗談かと思えるようなコーヒー占いみたいなものまで、

 取っ掛かりは何でも良くて、要はそれを元に占い師がどのように解釈して、相手の要求に答えられるようにどのように伝えられるか(同じカードが出ても、相手の事情によって解釈や伝え方を変える)、という事が、対話前提での占いの重要な要素だと思います。

 

 ここでは、「ちょっと勉強して始めました」的な「にわか占い師」(それなら自分で一人占いをしても変わらない)ではなく、「この人私の事良くわかってる」「説得力がある」と感じられるような熟練の占い師の事を考えていきます。

 

 占い師の話術の代表的なテクニックに、
 <コールド・リーディング>というものがあります。


 相手の外観を注意深く観察したり、特有の話術を使った何気ない会話から、相手の情報を掴んで、あたかも「心が読める」とか「過去や未来が見える」というように信じ込ませる技術の事です。

 *前回同様、細かく話すと長くなるので、興味のある方はnetで検索したり、本を読んだりしてみてください。知っている方はスルーして下さい。
 ちなみに、これと逆に、様々な方法で事前に相手のことを調べておいて、あたかも超能力のように見せかけるのは「ホット・リーディング」と呼ばれ、超能力者と称する人達には「コールド・リーディング」と組み合わせて使われる事も多いと言われています。

 

 なんにせよ、まずは信頼を深めることが大切で、病気だって、お医者さんを信頼してないと治らないと言いますよね。

 占い師に見てもらう人は、なんらかの悩みを抱え、それを相談したいと思っています(自分では迷って決断できないか、本当は心の底では決まっているのに、だれかに背中を押してもらいたがっている、という方が正しいかもしれません)。座っただけで、その悩みが何なのか当てられたら、「この占い師は当たる」と信頼が生まれますよね。
 (「今日はこの悩みを相談に来ました」と先に明かされてしまった場合は当然別のステップのテクニックに移る訳ですね)

 

 人の悩みは、大別して「人間関係」「お金」「夢・目標」「健康」の4つのカテゴリーに当てはまる(アドラーの心理学では、突き詰めればすべて対人関係上の問題であると考えますが)ので、まずは相手の悩みが、そのどれに該当するかを探っていきます。仕事の悩みでも、原因は給料(お金)だったり上司や部下との「人間関係」だったりする訳です。

 

 前回の「バーナム効果」にも通じますが、誰にでも当てはまる事を曖昧な表現で、探られている事を悟られないように聞いて行く。聞かれて答えているのに、自分が言う前に当てられたように思い込ませる。

 さりげなく、「最近経済的な問題を抱えている?」(そもそも質問なのか当てたのかも曖昧な言い方)と探りを入れて(全く問題が思い当たらない人は少ないでしょう?)、「そうなんです、実は~」となればそのまま、反応が鈍く、話したい悩みが違いそうならさらりと上手く他の話題に誘導する。そのような高等テクニックを駆使していくと、冷静に(例えば全て録音しておいて後でじっくり聞いてみるとかして)全ての会話を思い出せば、見当違いな事も言われているのに、終わった時は「すごく当たってた」と思い込んでしまう。

 この辺りは、前回お話しした「確証バイアス」が働いて都合の悪い部分は忘れ、「予言の自己成就」効果によって、更に言われた方向へ向かって行く、といった色々な心理学的作用を効果的に利用しています。

 

 今のは会話に焦点を当てた例ですが、その人の見た目や仕草、ちょっとした質問への反応も細かく観察して推測していきます。DaiGo(最近ではJohn Lennonとも遠い親戚だと判明した「ウィーッシュ」のDAIGOじゃない、メンタリストの方)のテクニックも、マジシャンが相手に特定のカードを選ばせてしまえる(ように見せる)のも(ホット・リーディングのような嘘がない前提ですが)、シャーロック・ホームズが些細な事実から推理していくのも、同じような方法論と熟練の技だと思います。(あれだけ緻密で論理的な推理をしていくホームズを生み出したコナン・ドイルが、なぜか妖精の写真を本物、と判断してしまった(→コティングリー妖精事件)のも「確証バイアス」のせいでしょうか?)

 この辺り、相手の信用を得る、という(悪い使い方ではなく)事では、実は無意識に使って、上手な営業トークをしている熟練の営業マンも多いのではないかと思います。良い方向に利用していけば、人間関係を良くしたり、自分をコントロールして行く事にも応用できるかもしれません。

 

 占いというものを考える時、「当てる」と言うことの裏にはこういった様々なテクニックがあると言う事を理解した上で、結果的に、優れた心理カウンセラーのアドバイスと同じように自分に有益な効果が得られるのであれば、それには意義がある(特に昔は)と肯定的に捉えることは出来ると思います。(ただし前回もお話しした通り、どのような結果になっても、くれぐれも人のせいにして後悔しないよう注意しましょう。)

 

 要は、悪意を持ったり金儲けの為だけに行うのは論外だが、上手に使って人を幸せにできるなら、良い技術になる、という事で、最初に掲げた「優れた占い師は、カウンセラーである(べきである)」という結論で結びたいと思います。

 使い方によって「善」にも「悪」にもなる、暗黒面に堕ちないよう気を付けなければ大変な事になる、そうこれは、まるでForceのヨーダ!!

 お後がよろしいようで。