浮力の記事※浮力はなぜ難しいのか~スルスル解ける解き方紹介~がよく読まれているようなので、続きを書こうと思います。

 

前回の浮力の記事には台はかりを登場させませんでした。わざとです。浮力の基本を理解するにあたり、台はかりのこともいっぺんに考えると混同することがあるため、私は実際の授業で扱うときも台はかり以外をマスターさせることを優先しています。

ぜひ、前回の浮力の記事を先にお読みください。

 

なぜいっぺんに扱わないか?力のかかっている物体が異なるからです。

典型的な問題から始めてみましょう。

 

問1 100gのビーカーに200gの水を入れ、台はかりにのせました。

そして、ばねはかりにつるした40㎤で100gのおもりをビーカーの水の中に入れました。

ばねはかりと台はかりの値はそれぞれ何gになりますか?

ばねはかりの方は全くの復習です。型をかいて埋めていってください。

60gでしたね。

 

さて、台はかり!とりあえず、ビーカーと水の重さがかかることは分かると思います。(300g)

ここに、図のようにおもりが入ってくると…?

ハムスター「これ解けるよ!」

ハムスターくんどうぞ!

ハムスター「ビーカーと水とおもりの合計が400gで、ばねはかりが60gで上から支えているから、

400-60=340g!」

正解!ビーカー、水、おもりという重さのあるものをひとかたまりにして、ばねはかりと台はかりとの2つで支える、という考え方です。

王道の考え方ですね。

 

さて、別解もあるのです。浮力を出しているのは誰(何)でしょう?

カエル水!

そうです。水がおもりを押しています。すると、水はおもりから押し返されるのです。

※中学校で習う「作用反作用の法則」です。中学受験の段階では知らなくてもよいですが、説明付きで入試に出ることはあります。渋渋あたりでよく見かけます。

40gの浮力で上向きに押したので40gの力でおもりから下向きに押し返されます。なので、台はかりにかかる力は300+40=340gになります。

この、反作用の考え方が分かりにくいという生徒には、簡単バージョンもあります。

 

まとめると

台はかりにかかる力=ビーカー+水+浮力(分の反作用の力)

になります。

カエル「浮力分足せばいいってこと?」

そうです。

ここで注意したいのはこの下向きの力の矢印です。私はこの矢印をかかなくてもよい、と指導しています。なぜなら、「ばねはかり、重さ、浮力」はおもりにかかる力ですが、この下向きの力はおもりにかかる力ではないからです。これを近くにかくと、1つの物体で成り立っている力のつり合いが分かりにくくなってしまうのです。力のつり合い(上向きの力の合計=下向きの力の合計)は必ず1つの物体(この場合はおもり)で成り立っています。

うさぎ「でも、忘れると嫌だし、かきこみたいな」

かきこむこと自体はもちろんいいことです。その場合はおもりにかかる力とは別の位置に

かきましょう!

うさぎ「先生の言いたいことは分かったんだけど…ハムスターくんの考え方の方が分かりやすい気が…」

そうなんです。ただ、こんな問題もあるんです。

 

問2 水の入ったビーカーを台はかりにのせると300gでした。この水の中にひもにつるしたおもりを入れると350gを示しました。おもりの体積は何㎤ですか?

ハムスター「おもりの重さが出てないから『ひもと台はかりで支える』が使えない」

そうなんです。この場合は

台はかりにかかる力=ビーカー+水+浮力分の力※厳密には浮力ではなく浮力の反作用の力なのでこの表現にしています。解くときにはこだわらなくてよいと思います。

から浮力を求めるのがよいでしょう。

浮力が分かれば体積が分かりますね。

50㎤でした。

 

前回の浮力の記事と合わせてまとめると浮力は以下から求められます。

液体中の体積が分かっている→液体中の体積×液体の密度

力のつり合い(上向きの力の合計=下向きの力の合計)

台はかり=ビーカー+水+浮力(分の反作用の力)

これでほぼ完璧に浮力の問題は解けます。

 

さて、以下のような問題はどうでしょうか。

問3 100gのビーカーに200gの水を入れ、台はかりにのせました。そこに重さ100g、体積40㎤のおもりを入れると図のように沈みました。台はかりは何gを示しますか?また、おもりにかかる浮力は何gですか?

台はかりの値はハムスターハムスターくんの考え方がよいでしょう。

ビーカー、水、おもりの重さがすべて台はかりにかかりますから

100+200+100=400gです。

さて、浮力はどうでしょう?

うさぎ「沈んでるから浮力は0?」

カエル「台はかりが100g増えてるから100!」

ハムスター「40㎤だから40!」

難しくなってきましたね。きちんと考えていきましょう。

おもりにかかる力を考えます。水中の体積が40㎤なので、浮力は40gのはずです。

それでは重さ100gを支えられませんが、残りの重さは下から台はかりが支えてくれているのです。

ここから台はかりにかかる力を考えると

ビーカー、水、浮力に加え、おもりを支えている力が加わるので400gになりました。

この考え方は難しいと思います。

 

ビーカー、水、おもりの重さを上(ばねはかり)と下(台はかり)で支える

浮力分の力は下(台ばかり)にかかる

の両方を知っておき、両方で考えてみれば、どちらかで答えが出ます。

ぜひ使いこなして、浮力を得点源にしてください!