久しぶりの更新です。
理科で、図形の性質を利用する問題がたまに出題されます。
光、天体あたりが多いですが、てこやふりこで登場することもあります。
長くなってしまったので2回に分けることにしました。
今回は相似編、単元は光です。
よく出る問題を集めていたら光の性質の直進・反射・屈折からすべて出題されていました。
見ていきましょう!
①相似(基本)鏡(光の反射)~自分を見る~
いちばんの頻出はこれでしょう!
問1 身長150㎝のクマくんが鏡から1m離れたところに立っています。全身を自分で見るには、最低何㎝の鏡が必要でしょうか?
「75㎝!簡単すぎ!」
正解!これは身長の半分あればよい、と覚えている受験生も多いでしょう。図をかくと次のようになります。
相似ですね。
ポイントは見られるものの像を鏡を軸とした線対称の位置にかくことです!
「でも、僕の鏡6㎝くらいあって、僕の身長の半分より長いんだけど、全身は見えなかったよ」
よく確認してくれました!そうなんです!
この鏡、ただ身長の半分の長さがあればいい、というものではないのです。
問2 問1で鏡は床から何㎝~何㎝の高さに置けばよいでしょうか?ただし、クマくんの目の高さは140㎝とします。
目の高さの半分の70㎝のところから鏡を置かないと全身は見えません。
2つの相似形が出てきて少し図形の問題っぽくなってきましたね。
さらにレベルアップしてみましょう!
②相似(標準~応用)鏡(光の反射)~自分以外の物体を見る~
問3 身長150㎝のクマくんが鏡から1m離れたところに立っています。クマくんの2m後ろには、高さ2.4mの木があります。木全体を見るのに必要な鏡の長さは何㎝でしょうか?
典型的な相似の問題でした!
「③=240㎝にしちゃった!」
よくあるミスだね。算数でもよく出てくるでしょ?
「算数のときは間違えないんだけどなー」
ウサギさんのような発言はよく聞きます。後ほど検証したいと思います。
いったん応用問題に進みます。
問4 クマくんが鏡からさらに離れていくと、
①クマくんが自分の全身を見るのに必要な鏡の長さ
②クマくんが木全体を見るのに必要な鏡の長さはどのように変化するでしょうか?
ア.大きくなる イ.小さくなる ウ.変わらない
「ふふふー、こういうのはね、たいてい『変わらない』なんだよ」
「えーそうかな?」
図をかいて確認してみましょう!
①はカエルくんのいった通り『変わらない→ウ』でしたね。
「いぇーい!」
「…②は違ったじゃん」
そうですね。②は60㎝→96㎝になったので『長くなる→ア』でした。
どうして自分を見るのと木を見るので答えが違うか分かりましたか?
「自分を見るときは自分と像がいつも1:1になるけど、木を見るときは違うから」
そうです!
像は実物と線対称の位置に出来るので、自分を見るとき、実物と像の鏡からの距離の比はつねに1:1ですが
木を見るときは見る人から鏡までの距離と木から鏡までの距離は見る人の位置によって変化してしまうのです。
サピックス2月マンスリーに出ていましたね。
③相似(応用)とつレンズ(光の屈折)
とつレンズで相似が登場するのは主に男子校です。図形の中から複数の相似形を探して、使えるものを見つけていく、というかなり算数要素の大きい出題です。
問5 焦点距離10㎝のとつレンズの左側15㎝離れたところに身長8㎝のハムスターくんが立ち、とつレンズの右側にスクリーンを置いてはっきりした像をうつしました。
スクリーンはとつレンズから何㎝離れたところに置きましたか?また、ハムスターくんの像の大きさは何㎝になりましたか?
まず、上のような作図が出来ることが前提です。新6年生でしたら(現在2月時点で)まだ無理な子がほとんどのはずです。
とつレンズはある程度成長してからでないと難しいので、6年生の夏あたりから取り組むとよいと思います。実際、進度が速いサピックスでとつレンズをじっくり扱うのは6年の夏期講習です。
予習シリーズでは5年上で登場しますが、この時期に理解するのには無理があります。基本だけサラッと扱っておき、6年生になってからじっくり取り組むのがよいでしょう。
とつレンズは苦手な受験生も多いので、後日まとめた記事を書きたいと思っています。
閑話休題。
□㎝を求めるために相似を探していきます。
相似に使える2辺の長さが分かっているところは…?
スクリーンを置く位置を書き忘れました。
こちらも上の相似を使って1:2→15×2=30㎝ですね。
気持ち分かります。
「でも、算数で出たら出来るかも!」
「そうかも!理科で出ると難しい!」
先ほども登場した「理科で算数が出ると難しい問題」です。
なぜ起こるのでしょうか?おそらく、小学生は算数は算数、理科は理科、と完全に違う世界だと思って取り組んでいるからだと思います。
モードが違うので、算数の考え方は封印されているのです。これは、悪いことではないと私は思っています。理科と算数はテーマに対するアプローチがかなり異なる科目ですので、理科のときは理科モードになって、科学的思考法を学ぶことを優先すべきでしょう。
実際、「理科で算数っぽい問題が出ると難しく感じる」という生徒さんは理科がある程度得意な子がほとんどです。
理科で登場する算数は算数としては難しくないものが多く、問題を解くための手段/道具として使われることがほとんどです。いったん知っておき、数回練習すれば解ける問題です。(とつレンズの問題は例外です。一部の男子校を除き、あまり出題されません)
この記事がその「いったん知っておく」の役に立てば幸いです。
④相似比と面積比-明るさ(光の直進)~拡散光線~
点光源からの距離と明るさを考えるのに相似比と面積比を使います。
問6 豆電球から10㎝離れたところに1辺10㎝の正方形の穴を開けた板Aを置きました。板Aから10㎝離れたところに板Bを置いた場合、板Aから20㎝離れたところに板Cを置いた場合、光が当たった部分の明るさは板Aでの明るさの何倍になりますか?
相似比→2乗(2回掛ける)→面積比→逆比→明るさの比
引っ掛かりポイント満載ですね。
相似編は以上です!
次回は「特殊な三角形編」です!
天体、てこ、ふりこが登場する予定です。