理科の問題で、算数の考え方が必要なことがあります。

算数で登場すれば解けるのに、理科で登場すると解けなかったりするものです。

多くの小学生にとって、算数は算数の世界、理科は理科の世界のことに感じられているように見えます。

そのため、算数で簡単なことを理科で出題されると思いつかなかったり、難しく感じたり…

「理科で登場する算数」をまとめてみました。

 

旅人算

基本編:音の速さ

[問題]秒速20mで岸に向かって進んでいる船が汽笛を鳴らしたところ、12秒後に岸で反射した音が聞こえました。汽笛を鳴らしたとき、船と岸は何m離れていましたか。

ただし、音の速さは秒速340mとします。

まんま旅人算でしたね。これは気付きやすいと思います。

応用編:天体

{問題}ある日、火星が真夜中に南中して見えました。地球も火星も太陽の周りを反時計回りに公転しているため、真夜中に見える火星の位置はずれていきます。

次に火星が真夜中に見えるのは何日後でしょうか。ただし、地球の公転周期を360日、火星の公転周期を690日とします。割り切れない場合は小数第1位を四捨五入して整数で答えなさい。

これ、なんだか気付きましたか?

ハムスター「池の周りまわるやつ?」

そうです。速さの違う二人が池の周りをまわる問題です!

ハムスター「一周差つけて追い越せばいいんだ!」

その通り!

地球と火星の速さを出してみましょう。

1周を1にして分数で速さを表しても、1周を最小公倍数にしても、1周を360度にしてもOK!

どの解き方でも125日になりました。

カエル「なんか数がめんどくさい」

そうなんです。理科は実際の数値からあまりかけ離れた数値を使うわけにはいかないので、面倒な値になってしまうとこが多いのです。

 

つるかめ算VS相当算

化学計算でよく登場します。

いちばんよく出るのは金属の燃焼です。

[問題]銅とマグネシウムの粉をそれぞれよくかき混ぜながら加熱すると、グラフのように重さが変化します。

今、銅粉とマグネシウム粉が混ざったものが15.5gあります。これをよくかき混ぜながら十分に加熱すると重さが22.5gになりました。

はじめに含まれていたマグネシウムは何gですか。

ハムスター「つるかめ算だ!」

そうです。2種類のものの合計と、それが変化したものの合計がでているのでつるかめ算ですね。

うさぎ「たての値が分からない…」

そう、実はそこが難しいんです!

図の面積は酸化銅と酸化マグネシウムの重さを表しています。

横は銅の重さですから

銅の重さ×□=酸化銅の重さになっていなければいけません。

銅+酸素→酸化銅

4g+1g →5g

1g+0.25g→1.25g

ですから、銅の重さの1.25倍が酸化銅の重さになっています。

同様にマグネシウムも

マグネシウム+酸素→酸化マグネシウム

3g +2g →5g

1g +2/3g →5/3g

これがたての値です。

(22.5-5/4×15.5)÷(5/3-5/4)=7.5g

ハムスター「一人で思いつく気がしない…」

そうだよね。なので、銅1gあたりの値を出してからつるかめ!と覚えるか…

 

実は別解もあります。

相当算で解く!のです。

銅+酸素→酸化銅

④+① →⑤

マグネシウム+酸素→酸化マグネシウム

3⃣+2⃣ →5⃣

 

銅とマグネシウムの重さは合わせて15.5g

④+3⃣=15.5

酸化銅と酸化マグネシウムの重さは合わせて22.5g

⑤+5⃣=22.5

これを解けばOK!

カエル「なんだ簡単じゃん!早く教えてよ」

はい…。

うさぎ「私はつるかめ算の方がいい」

そうなんです。どっちが解きやすいかはその子によるんです。

つるかめ算の方が考え方は難しいですが図が描ければ処理はラクですし、問題を読んで「つるかめだ!」と気付きやすいと思います。

一方の相当算は式の意味が分かりやすいのが利点。この手の処理に慣れている子なら、こちらがおススメです。

 

中和で、表の数値の間に完全中和があるタイプにもつるかめ算が登場します。

ほとんどの問題は、このくらい?と数値を当てはめて探せば見つかりますが、まれにつるかめ算を用いないと見つからないものがあります。

それが出来る受験生は解説を見れば解けるはずなので、ここでは省略します。

 

食塩水

[問題]水100gに食塩20gを溶かしました。濃度は何%ですか?割り切れないときは小数第2位を四捨五入して小数第1位まで求めなさい。

ここで、

20÷100=0.2→20%

と答えてしまう子が結構います。算数の濃度は解けるのに。

 

濃度を求めるには食塩水全体の重さで割らなくてはいけません。

原因として考えられるのは、算数では水の重さが示されることが少ないこと+120で割るの嫌だな、という心理かと思います。

さて、筆算を始めると…

こんな子も多いです。小数第2位を四捨五入というのは答え、つまり%にしたときの値ですから、割り算では第4位まで出さなくてはいけません。

カエル「ええええー!!??」

気持ちは分かります。小数第4位まで割り算をするなんて…大変です。

これを防ぐために初めから100をかけておくのもありです。

 

面積図VSてんびん

2種類の食塩水を混ぜて濃度を求める問題、何で解いてますか?面積図ですか?てんびんですか?

もちろんどちらでもよいです。その解法はカロリー計算で使います。

[問題]80℃の水100gに50℃の水を混ぜて60℃にしたいと思います。50℃の水は何g混ぜればよいですか。

温度を濃度に置き換えればOK!

慣れているのでラクですよね?

 

ただ、これが使えないものもあります。

[問題]0℃の氷50gと60℃の水200gを混ぜると何℃になりますか。

ただし1gの氷をとかすのに必要な熱は80カロリーとします。

これは、理科でしか解けません。

 

まず、0℃を基準に何カロリー持っているかを考えます。

0℃の氷が持っている熱→0カロリー

60℃の水が持っている熱→60×200=12000カロリー

12000カロリー持っています。

 

氷をとかすのに

80×50=4000カロリー使います。

 

よって残りは

12000-4000=8000カロリー です。

水の重さは

50+200=250g ですから

250gの水が8000カロリー持っている。

8000÷250=32℃

です。

 

最後は理科になってしまいました…やっぱり理科は楽しいですね。

 

次回は図形編!

理科で登場する算数の図形、意外とたくさんあるんですよ!