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どこかに何かが潜んでいそう


 

奥中山が真っ白く染まる季節の到来

 

この季節のいちばんの恐怖
それは転倒
車も滑るし
人間も滑る

 

ここでは年に2回
タイヤを交換する
5月の交換では夏タイヤ
11月の交換ではスタッドレスタイヤ

 

年々進化しているけれど
凍った路面でも
絶対滑らないゴムは
まだ発明されていない
これに関しての
科学の進歩を
私は信じて止まない

 

そんなわけで
雪の日の犬の散歩は
アスファルト舗装の町道を避け
雪で覆われた牧草を
歩くことにしている

 

人っ子ひとりいない雪原だが
よくみれば小さな足跡が
そこかしこに

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ウサギ? だといいな。


 

面白くなって
足跡をたどっていくと
この季節にしか通れない道が
林のあちこちに出現しているのがわかった

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木立の間をすりぬけてくる

その夜
我が家の犬が突然吠え出した
よくあることだが
なんだか切羽詰まったようで
喉が閉まるほど
繋留ヒモを引っ張っている

 

ずいぶん長いこと泣き止まないので
勢いよく窓を開けてみた

 

すると大きなふさふさシッポの生き物が
飼い犬のほんの数メートル先から
家の裏手に向かって走り去るのがわかった
キツネである

 

その逃げた先を見ながら
また犬が吠える
どうやら見えないところで
立ち止まっているようだ

 

私も家の裏側の窓に回って
わざと激しく音を立てるように
窓を開けた

 

ぴくりと動く獣の陰をとらえた
「こらっ!」


声に反応して斜面をかけあがるも
また立ち止まってこちらを振り返る
その度に「こらっ」を繰り返して
なんとか追っ払った

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犬小屋の近くにあったキツネ足跡

 

しかし「こらっ」でよかったのだろうか…

 

おそらくあのキツネは私たちより前に
雪原に足跡を残していたキツネだ

 

そして昨夜
見慣れぬデカい足跡と
その側にチョロチョロくっついてる
小さな足跡を見つけ
それを辿って我が家にやってきた

 

「こらっ」と言いたかったのは
あちらのほうかもしれない
「俺の縄張りだ」
それを伝えに来たのかもしれない

 

でもすまない
これからも歩くよあの雪原

 

うまくやっていこうじゃありませんか
キツネさん🦊

私たちの冬はまだ始まったばかり

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これくらいの距離からキツネが見ていた様子