亡前夫のクリスマスを追って 3 | グローバルに波乱万丈



息子達を、前夫ように、クリスマスが大好きにしてやりたかったんです。 

年に一度やってくる、わくわくでき、顔を輝かせれる時期を作ってやりたかったんです。


私にとって最初のクリスマスが、たった一度だけの、前夫とのクリスマスだったからでしょうか。

その後のクリスマスが、とても悲しいものだったからでしょうか。

それとも、私の中で、幸せなクリスマスが、

私が夢見てきた幸せな家族の象徴となっていたのかも知れません。



でも、容易いことではありませんでした。


私達夫婦には、この国には一人も親戚がいず、

息子達の友達は、お祖母ちゃんちに行ったり、いとこ達が集まりして、わいわい楽しいのに、

わが家は、クリスマスと言っても、いつもと変わらない家族四人だけです。


おまけに、主人はディズニーワールド勤務ですから、

クリスマスからお正月にかけては一年で一番忙しく、クリスマスの日は大抵出勤です。


一人駆け回り、限られた時間内で、特別の時間にするのは大変なことでした。



それに、主人も私もクリスマスを祝う習慣がない国で育っていますから、

何をどうしたらいいのか、わかりませんでした。


クリスマスツリーや飾りを買い集め、星型や雪だるまの形のクッキー・カッターを買い、

ナット・キング・コールのクリスマスソングのCDを買い...

窓枠をライトで飾り、ツリーの下にギフトを並べ、クリスマス・ディナーを用意し、

「くるみ割り人形」 のバレーや 「クリスマス・キャロル」 を観に連れて行き...

見よう見真似で、やってきました。



息子達の心の中に、クリスマスの喜びと興奮を育ててあげたくて、

私は、あの一度だけの、前夫のクリスマスを、ひたすら追ってきたのです。



長男、一か月後に、カリフォルニアに引っ越して行きます。

ここから直行便でも五時間かかる、三時間時差がある、外国のように遠い、大陸の反対側です。

当分の間、クリスマスに帰って来ることはないでしょう。


どんなに辛い時でも、どこをさ迷っていても、一度も手放したことなどなく、

抱っこし、手を握り、あの過去を一緒に乗り越えた息子です。


今年のクリスマス、遠い街で社会人を始める長男に、私がしてやれる最後のクリスマスとなります。


「お母さん、ちゃんとクリスマスをしてあげれましたか?」

「楽しいクリスマスの思い出を作ってあげれましたか?」

「クリスマスを大好きにしてあげれましたか?」

 .....

「お母さん、いいお母さんでしたか?」


いろんな気持ちや感情、いろんな思い出や記憶が、ごちゃ混ぜになり、

息子に問いたい質問が、涙と共に、湧き出て止みません。



メリークリスマス in 天国。