うちに何度か招待したことがあるんですが、
主人の友達のいとこ、モロッコ人、四十代前半、お金持ちの家庭出身...
とてもいい人なんですが、根性なしタイプなんです。
このタイプ、モロッコ男性には結構多いんです。
モロッコは昔の日本みたいに、男の子誕生が重大なことで、
男の子が生まれると、特に女の子誕生が続き、やっと男の子が生まれたりすると、
超過保護に、甘やかされて育てられるケースが多いようです。
で、その友達のいとこ、
当時、すでにモロッコで結婚し、子供も生まれていたのですが、
三十代になって、“モロッコは嫌だ。 アメリカがいい。” となり、
アメリカにたくさんある、金を出せば入れる “FOR-PROFIT” いうタイプの、
学費がやたら高い、一生懸命勉強しなくてもいい大学から、学生ビザの書類を出してもらって渡米し、
そのうち、クジでグリーンカードが当たり、アメリカで働けたのですが、
その手の大学を卒業しても、就職はなかなかできないのが現実ですから、
宙ぶらりんな状態を一年続け、
家族友人に囲まれてのモロッコでの生活が恋しくなり、“やっぱりモロッコの方がいい。” となり、
奥さんと子供を引き連れ、またモロッコに引越をし、
子供をアメリカン・スクールに入れ、数年ほど親のスネ齧りのような生活をしていたんですが、
便利で秩序が整ったアメリカのシステムが恋しくなり、“やっぱりアメリカの方がいい。” となり、
いい待遇の仕事を奥さんに辞めさせ、中学生になった息子を引き連れ、
昔、訪れた時いい印象だった、いとこが住むここフロリダの街に、一年弱前に引っ越してきたんです。
でも、ここでは、奥さんはかなり格下げの仕事しか見つからず、本人もなかなか仕事が見つからず、
子供は学校になじめないし、期待していたほどフロリダ生活は楽しくなく、
今は、“フロリダは嫌だ。 きっと北部の方がいい。” となっているらしいんです。
私も、アメリカで前夫の死後、
日本に戻ったり、イギリスで生活を始めたり、オーストリアに居たり、アメリカにまた戻ったりしましたが、
結局、“NO PLACE IS PERFECT.”
パーフェクトな場所などないということが実感です。
どこも、長所があれば、短所があるものです。
長所にフォーカスし、短所に目をつぶり、
出来るだけ心地よい状態を、自分の力で築くしかないんじゃあないでしょうかね。
それが出来ず、存在などしないパーフェクトな状態を夢見続け、今の状態に満足できない人、
気の毒です。
それは住む場所に限らず、夫婦関係にしてもそうですよね。
存在などしない、パーフェクトな結婚を夢見続けるのは止め、
長所にフォーカスし、短所に目をつぶり、出来るだけ心地よい状態を自分の力で築く...
それが幸せの秘訣だと思います。
「あの時、あの人と一緒になっていれば、自分は今もっと幸せだったろうに。」
「あそこに住んでいたなら、自分は今もっと幸せだったろうに。」
なんて思い続け、目の前の幸せを見逃して人生を送るなど、ほんとに勿体無いことです。
きっと、その主人の友達のいとこ、冬が寒い北部に引越し、暖かいフロリダのことを思い、
“やっぱりフロリダの方がいい。” となるのでしょう。
一番可哀そうなのは、奥さんと子供ですよね。