アメリカナイズな 「えぇっ?!」 | グローバルに波乱万丈





去年のことですが、

ローカルニュースを観ていると、ちょっと田舎めな区で、

髪の毛を真っ赤に染めて登校した16歳の高校生が、停学になったことについてやっていて、

「えぇっ?!」 の自分の反応に、笑ってしまったんです。






これが渡米も間もない頃なら、

制服がある方が規則正しく、勉強にも集中できる環境に違いない、という考えもあり、

制服がある幼稚園、私立小中学校に息子達を入れた私は、

同じ 「えぇっ?!」 でも、

「えぇっ?! 髪の毛を真っ赤に?! 学生なのにそんなチャラチャラしたことを...」 

だったかも知れません。


でも、今の私の 「えぇっ?!」 は、

「えぇっ?! 赤い髪の毛のどこがいけないの?! そんなことで停学?!」 でした。


アメリカナイズなのか、私の価値観も随分変わったものです。




実はこの変化の始まりは、アメリカではなく、フランスでした。


二十年弱前の夏、滞在中の義兄の義両親の南フランスの別荘で、

食事の後のテーブルで、皆で制服の話になったんです。


義兄のフランス人の奥さんのお母さんは、

当時はまだ、北フランスで高校の数学の教師をしていたので、

教師の立場だと、クラスの風紀が保たれて授業がし易く、当然、制服賛成派だと思った私は、

「制服なんて子供達の個性を殺すことになる。 自分の個性を自由に表現させてあげるべきだわ。」

という熱意のこもった言葉に、ひどく驚いたんです。


そして、「なるほど... そういう考え方も確かにあるな。」 と思ったのでした。



それでも、息子達は学校のマーク入りのポロシャツに、紺色のパンツ、黒の靴... が制服で、

黒いスニーカーに白い線や、NIKEなどのブランド名が入っていたら、

黒のマジックで塗りつぶすようにと、先生に注意されるような私立学校に通ったわけですが、


高校から専門プログラムがある公立校に変え、午後の迎えで、

未来系の漫画のキャラクターみたいな格好の女子生徒や

髪の毛、口紅、服、カバン、全て真っ黒の “ゴシック” と呼ばれるタイプの生徒達や

“キリスト” とあだ名のついた、髪が肩まである男子生徒、

個性的な生徒達が、私の車の前を通るのを眺めながら、
 
下駄でカットンカットン音を立て、たまには羽織をジーンズの上に着て登校する長男を待つのを、

数年間、毎日やってると、

赤い髪への 「えぇっ?!」 の反応も、変わったのも当然なのでしょう。



そして、ゲームや映画のキャラクターデザイナーとなった長男、

あのまま制服の私立校に通わせていたら、今のクリエイティビティーは育たなかったかも知れない、

という考えが、

無意識に、赤い髪の女子生徒をサポートさせたのかも知れません。




ちなみに、

その赤い髪の生徒の停学処分について、レポーターが他の父兄にインタビューをしてましたが、

やっぱり、「どうして、個性表現である赤い髪がいけないの?」 が多く、

学校側が批判を受け、結局、停学は取り下げになったようでした。