私は、二十五年近くやっているここフロリダでの生活は好きなんです。
でも、祖国の日本で少しでも時間を過ごすと、帰国して少しの間とてもツライ思いをします。
あまりにも違う私の二つの世界。
ここではほとんど、日本人を見ることもなく、日本語を喋ることも聞くこともなく、日本食を口にすることもなく、
フロリダの気候や景色は、日本とは似ても似つかず、
こっちの世界に戻ってきて感じる違和感による頭の中の曇りと、
地球の反対側からの二十時間以上かかる長旅の疲れ、十三時間の時差ボケによるダルさが、
過去に経験のあるウツに似ていて、混乱もあり、
そして、重症の気使い屋の私は、 (40代になり図々しさが出て、随分楽になりましたが。)
旅の同行者の主人や次男、次男の友達二人が、
退屈ではないか? 歩くには長距離過ぎではないか? 待つには長時間過ぎないか? 口に合うだろうか?
などと常に気をもめ、どう過ぎたのか記憶がはっきりしない二週間。
確か、日本に帰ったら食べたいと思っていた物があったはずなのに...
したいと思ったことがあったはずなのに...
また、遠くになってしまった日本、次いつ帰るのかわからない日本、
心残り、悔いみたいなもので胸がいっぱいで、涙がぽろぽろと。
大袈裟かも知れないけど、この心残り、悔いみたいなものは、
昔いろいろ辛かった頃、とても楽しみにして日本に戻っても、親に気を使い、親に息子を看てもらえず、
出かけたり友達と会ったり、したいことができないままアメリカに帰国していたPTSDなのかも知れません。
心身の疲れから、気が弱くなってしまい、ウツっとなっていたのでしょう。
偏頭痛に悩まされ、食欲が泣くなり体重がどんどん下がり、
ブログを通して日本を覗くことすらできなくなってしまい、
「私、もう、ブログは止めてしまうのかな?」 なんてことも思ってました。
これではいけないと、歯科のチェックアップに出かけ、無理して普段どうりに、
インド人のドクターや、若いのか年がいってるのかわからない微妙な金髪の受付嬢とジョークを交わし、
思い切りアメリカンな “FIVE GUYS” のベーコン・バーガーとフレンチ・フライを食べ、
ポップコーンを頬張りながら、スーパーマンの映画 『MAN OF STEEL』 を観て、
太陽好きなフランス人夫婦とメキシコ湾のビーチに行き、無謀なティーン時代のように日焼けして、
(確か... バーでアメリカンを食べるか、名物のギリシャ料理を食べに行くか、もめてたシーン。)
海を眺めて日本を想っても、海の向こう側はメキシコが邪魔で日本ではなく、
泳いで行くにも、まずメキシコ湾を渡り、パナマ運河を抜けて太平洋に出て... などと考えていると、
日本のあまりの遠さに、諦めがつき、吹っ切れて、
気がつくと、頭の中で呟いた 「日本、めちゃくちゃ遠いわ。」 はもう日本語ではなく、英語に戻っていて、
そうこうするうち、なんとなく、またこっちの世界で、元気に幸せにやっていけそうな気がしてきたのでした。
主人やティーンが撮った、合計千枚以上ある写真に目を通す元気が出たら、
“日本、思ったよりかなりいいかも”シリーズを書きたいと思っています。