まさにMIXED FEELINGS | グローバルに波乱万丈






一日目: 喜び、誇り、興奮、涙...

二日目の午前: ため息、ため息...

二日目の午後: 寂しさ、悲しみ、涙...


“複雑な気持ち” を英訳すると “MIXED FEELINGS” ですが、

まさに今の私の気持ちは、いろんな感情のミックスです。



今週いっぱい、サンフランシスコで世界中からゲームデザイナーが集まるコンベンションが開かれていて、

大学院でゲームのアーチストになる勉強をしている長男も、参加しています。 



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長男の子供の頃からの憧れである 『メタル・ギア・ソリッド』 の小島秀雄氏にも会えたようで、

写真が送られてきました。

息子の片言の日本語と、小島さんの片言の英語で会話したそうです。




コンベンション一日目のこと、

携帯に “mom! riot wants me!” というメッセージが入ってきました。


RIOT (ライオット) 社は、『リーグ・オブ・レジェンス』 という世界で最もプレイされているPCゲームの会社です。

一日平均1200万人がプレイしていて、大ヒットの台湾では全人口の5%にもなるんだそうで、

今まで日本への進出は避けていたようですが、今年内に日本語版が出るとのことです。


ゲーム業界を希望する者達には、ドリーム・カンパニーです。



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息子は以前、その会社が主催したデザイン・コンテストで、賞をもらったことがあるのですが、

そのアートが息子のだと知った会社のスタッフは、その場でスカウトしてきたそうです。

卒業まではコントラクターとしてデザインをしてほしいと、申し出が来てるとのことです。


その後、プレイステーションのソニーのゲーム会社、『ゴッド・オブ・ウォー』 で知られるサンタモニカ・スタジオなど、

世界でトップのゲーム会社から、続々とスカウトされたそうです。




息子達の夢を適えるために、必死でやってきた私です。

アートに興味を持つ長男には、夏の家族旅行のたびに、現地でのアートに触れさせ、体験させてきました。

フランスでは美術館巡り、イタリアのでは教会を回り、ペルーやコロンビアでは遺跡を訪れ、

日本では知り合いにお願いして、水墨画の教室に参加させてもらいました。


コネやツテを使ってグラフィック・アートのプログラムのある高校に入れて、毎日片道25分の送り迎えを四年間し、

総合大学の3Dアニメーション科、アメリカで二番と言われる大学院のゲームデザイン科、

あれこれとサポートしてきて、励ましてきて、導いてきて、


いつの間にか、息子の夢が私の夢になっていました。

何度、この瞬間を妄想したことでしょう。



興奮して電話をしてきた息子に、私は喜びの涙を流し、

そして、“I AM SO HAPPY FOR YOU!” と繰り返していました。


でも二日目は、何故かため息ばかり出てくたのです。

「どうして、必ず “FOR YOU” をつけてしまったんだろう?」 と考え始め、

ふと、私はハッピーじゃないことに気がついたのです。

息子のためにとてもハッピーだけど、自分自身のためにはハッピーではないのです。



RIOT社も、サンタモニカ・スタジオ社も、ロサンジェルスの会社で、

他にリクルートされた会社も、シアトルとかサンフランシスコとか、皆西海岸です。

ここから直行便でも最低五時間はかかる、時差も三時間あるところです。




二十数年前、赤ちゃんだった長男が始めて立ち上がった時のことが頭に浮かび、離れません。

「立ち上がり、そのうち歩き出し、走り出し... そしていつか、私のところから巣立って行くんだわ。」 

などと考え、涙が出たこと。


終にその時がやってくる。 それもなかなか会えない、とても遠くに行ってしまう。

涙が出ます。

覚悟はしてきたけれど、やっぱり涙が出ます。



同じように、子供の頃からパイロットになることが夢だった息子のために、必死でサポートやってきて、

数年前、北の州のプレイベート・ジェットの航空会社に息子が就職して行った、

フランス人の親友がお祝いの電話してきてくれ、


「とても嬉しいんだけど、自分勝手な私の部分は悲しいの。」 と泣き笑いすると、

「わかるわぁ。 母親業って切ない仕事よね。」 と彼女までしんみりとし、

MIXED FEELINGSを分かち合いました。





長男は今夜、サンフランシスコから帰ってきます。

自分勝手な部分は押し隠し、笑顔で迎えてやるつもりです。


そして、西海岸に行ってしまう日まで、私を毎日ハグする約束をさせようと思っています。