「まあ、もう少ししたら、また人間に戻りますから。」
数年前、小児心理学者の人と世間話をしてて、
「あ、そうだわ。 せっかくだから専門家に質問させてもらいましょう。
ティーンネイジャーの長男、一体何を考えているのか... 考えているのかすら疑問なんですが、
アドバイスありませんか?」 と訊ねると、
彼のティーネイジャーの娘さんのことを冗談っぽく愚痴り、学者は笑いながら私の質問にそう答え、
「ということは、今は人間じゃあないんですね。」 と私も笑ったんです。
実際、
思い、考え、判断...を含め、人間の機能は全ての脳の中のコネクションによるのですが、
最近の研究発表によると、ティーン時代に脳のバージョンアップのために、コネクションのやり直しが行われ、
工事中のティーンの脳は普通には作用してないんだそうです。
一部のコネクション、特に自制、判断、計画、交流などのところが、一旦オフになってたりするからだそうです。
現在、次男の脳は工事中でして、人間を一時やめてます。
まー、これが見事なほど、脳が普通に作用していません。
自慢になりますが、次男は “GIFTED” と呼ばれているIQが高い生徒のグループに所属し、
高校在学中にすでに四年大学の半分の単位を取ってる子ですし、
小さな頃からいろんなことを察知でき、忘れ物も落し物もするような子ではありませんでした。
でも今は...
卒業アルバムの予約も、毎日 「あ、また忘れた...」 と二週間もかかったし、
カフェテリアで卒業式の帽子とガウンのサイズ測りをしてるのに、気がつかずに注文しそびれるし、
勉強とオンラインで友達とビデオゲーム、今、どっちをしてるべきなのか、判断がつきません。
あれだけ悪い成績を取るのが嫌いな子だったのに、今は “パスすりゃいいわ”モードですよ。
“人間じゃあないんだから、仕方ないわ。” と自分に言い聞かせてます。
長男の時にように無駄に叱って、後で可哀相なことをしたと後悔するのは嫌なので、
取り返しがつかないようなダメージにならない範囲で、黙って見守ってやってます。
そのせいか、反抗はそれほどしません。
たまに私が雷を落とし、口答えしてきて口論になったりしますが、30分にしないうちに別の部屋から、
「お母さーん、お母さーん! ピヨピヨがお母さんのこと、大好きだってー。」
ピヨピヨ
↓
“Did I say that?”
「ふんっ! ピヨピヨに、お母さん、まだ怒ってるって伝えてちょうだい。」
「ピヨピヨ、ごめんなさいだってー。」
主人にそっくりで、気まずいのが嫌なタイプですから。
私なんて、高校丸三年間、口論以外では親と一切、口利きませんでしたけどね。 あはは。
私の周りの家庭を見ても思うのですが、
やっぱり子供が小さな頃から、親がムラなく愛情を示し、子供の気持ちを大切にし尊重する家庭では、
子供がティーンになっても、親への反抗心はそれほど強くはないような気がします。
コミュニケーションが取れないほどの反抗は、やばいですね。
脳が普通に作用せず、ちゃんと考えられない年頃なのに、
厄介なことに、進学とか就職とか、人生の大事な決意をしなきゃいけない時期と重なってしまいますから、
親の助言が素直に受け取れない状態だと、将来がダメになっちゃったりしますからね。
しかし、次男、早く工事が終わり、また人間に戻ってくれるといいけれど。
疲れちゃうわ、まったく。