アメリカに渡って来た当時、ずいぶん英語で苦労しました。
間違いをからかわれ、アクセントのせいで見下され、情けない思いをしたものです。
日本レストランでウエイトレスを始め、お客さんの注文が理解できず、ため息をつかれ、馬鹿にしたようにゆっくり繰り返され、悔し涙を堪えたこと、何度あったでしょうか。
あれから、二十数年...
息子が、今、話題になっている YOUTUBE のビデオを見せてくれました。
1940年上映のチャップリンの映画 「独裁者」 で、ヒットラー的な独裁者のダブル役の床屋が、兵士たちの前で演説をするはめになるシーンに、現在のいろんなニュースや映画の映像を加えられたものです。
東日本震災のニュース... 若者たちが救援物を担ぎ、被災地に向かって歩く映像。 女の子が兄弟も両親も行方不明だと泣く映像も、含まれています。
だからでしょうか。 余計に涙がぽろぽろと。
そしてまた、70年以上前、第二次世界大戦真っ只中にチャップリン自身によって書かれた、今の時代に生きる私達の心に響く素晴らしいスピーチをオリジナルで理解することができるなんて、「英語ができるようになって本当に良かった...」と、嬉しく思いました。
そのビデオを作った方は、“THE BEST SPEECH EVER MADE” 「史上最高のスピーチ」と題し、世界の人達にこのメッセージを伝えてほしいと、いろんな言葉のサブタイトルのリンクのリストを載せています。
スペイン語 フランス語 ドイツ語 ポルトガル語 オランダ語 ギリシャ語 ポーランド語 フィンランド語 ハンガリー語 スロバキア語 ブルガリア語 トルコ語 アラビア語 韓国語 中国語
でも、日本語はなかったんです。
そこで、日本の人達にも、なるべくオリジナルに近いままスピーチを理解してほしく、差し出がましく、私が和訳してサブタイトルをつけてみました。
ビデオを作った方に連絡し、リストに加えてもらうようお願いすると、「誰かが日本語に訳してくれるのを、ずっと待っていたんです!」と、すぐに載せてくれました。
多くの外国人のように、東日本の災難に心を痛めてくれた人なのかも知れません。
レストランで注文が理解できず涙を堪えた私が、今こうして和訳をし、まるでメッセージを広める日本支部を担当しているような気分で、とっても嬉しく、光栄に思います。
是非、ブログやFACEBOOKで紹介してください。
上手く感動が伝わるといいのですが...
今、英語で悔しい思いをされている方々、頑張ってください。 いつか私のように、「頑張ってきて良かった...」 って思える日が必ず来ますから。
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よろしくお願いいたします。
< スクリプト & 私の和訳 >
I’m sorry but I don’t want to be an Emperor – that’s not my business – I don’t want to rule or conquer anyone. I should like to help everyone if possible, Jew, gentile, black man, white.
申し訳ないが、私は皇帝などなりたくない。 それは私には関わりのないことだ。 誰も支配も征服もしたくない。できることなら皆を助けたい、ユダヤ人も、ユダヤ人以外も、黒人も、白人も。
We all want to help one another, human beings are like that. We all want to live by each other’s happiness, not by each other’s misery. We don’t want to hate and despise one another.
私たちは皆、助け合いたいのだ。 人間とはそういうものなんだ。 私たちは皆、他人の不幸ではなく、お互いの幸福と寄り添って生きたいのだ。 私たちは憎み合ったり、見下し合ったりなどしたくないのだ。
In this world there is room for everyone and the earth is rich and can provide for everyone. The way of life can be free and beautiful. But we have lost the way. Greed has poisoned men’s souls – has barricaded the world with hate; has goose-stepped us into misery and bloodshed.
この世界には、全人類が暮らせるだけの場所があり、大地は豊かで、皆に恵みを与えてくれる。 人生の生き方は自由で美しい。 しかし、私たちは生き方を見失ってしまったのだ。 欲が人の魂を毒し、憎しみと共に世界を閉鎖し、不幸、惨劇へと私たちを行進させた。
We have developed speed but we have shut ourselves in: machinery that gives abundance has left us in want.
私たちはスピードを開発したが、それによって自分自身を孤立させた。 ゆとりを与えてくれる機械により、貧困を作り上げた。
Our knowledge has made us cynical, our cleverness hard and unkind. We think too much and feel too little: More than machinery we need humanity; More than cleverness we need kindness and gentleness. Without these qualities, life will be violent and all will be lost.
知識は私たちを皮肉にし、知恵は私たちを冷たく、薄情にした。 私たちは考え過ぎで、感じなさ過ぎる。 機械よりも、私たちには人類愛が必要なのだ。 賢さよりも、優しさや思いやりが必要なのだ。 そういう感情なしには、世の中は暴力で満ち、全てが失われてしまう。
The aeroplane and the radio have brought us closer together. The very nature of these inventions cries out for the goodness in men, cries out for universal brotherhood for the unity of us all.
飛行機やラジオが私たちの距離を縮めてくれた。 そんな発明の本質は人間の良心に呼びかけ、世界がひとつになることを呼びかける。
Even now my voice is reaching millions throughout the world, millions of despairing men, women and little children, victims of a system that makes men torture and imprison innocent people.
今も、私の声は世界中の何百万人もの人々のもとに、絶望した男性達、女性達、子供達、罪のない人達を拷問し、投獄する組織の犠牲者のもとに届いている。
To those who can hear me I say “Do not despair”. The misery that is now upon us is but the passing of greed, the bitterness of men who fear the way of human progress: the hate of men will pass and dictators die and the power they took from the people, will return to the people and so long as men die [now] liberty will never perish…
私の声が聞こえる人達に言う、「絶望してはいけない」。 私たちに覆いかぶさっている不幸は、単に過ぎ去る欲であり、人間の進歩を恐れる者の嫌悪なのだ。 憎しみは消え去り、独裁者たちは死に絶え、人々から奪いとられた権力は、人々のもとに返されるだろう。 決して人間が永遠には生きることがないように、自由も滅びることもない。
Soldiers – don’t give yourselves to brutes, men who despise you and enslave you – who regiment your lives, tell you what to do, what to think and what to feel, who drill you, diet you, treat you as cattle, as cannon fodder.
兵士たちよ。 獣たちに身を託してはいけない。 君たちを見下し、奴隷にし、人生を操る者たちは、君たちが何をし、何を考え、何を感じるかを指図し、そして、君たちを仕込み、食べ物を制限する者たちは、君たちを家畜として、単なるコマとして扱うのだ。
Don’t give yourselves to these unnatural men, machine men, with machine minds and machine hearts. You are not machines. You are not cattle. You are men. You have the love of humanity in your hearts. You don’t hate – only the unloved hate. Only the unloved and the unnatural.
そんな自然に反する者たち、機械のマインド、機械の心を持った機械人間たちに、身を託してはいけない。 君たちは機械じゃない。 君たちは家畜じゃない。 君たちは人間だ。 君たちは心に人類愛を持った人間だ。 憎んではいけない。 愛されない者だけが憎むのだ。 愛されず、自然に反する者だけだ。
Soldiers – don’t fight for slavery, fight for liberty.
In the seventeenth chapter of Saint Luke it is written ” the kingdom of God is within man ” – not one man, nor a group of men – but in all men – in you.
兵士よ。 奴隷を作るために闘うな。 自由のために闘え。 『ルカによる福音書』の17章に、「神の国は人間の中にある」と書かれている。 一人の人間ではなく、一部の人間でもなく、全ての人間の中なのだ。 君たちの中になんだ。
You, the people have the power, the power to create machines, the power to create happiness. You the people have the power to make life free and beautiful, to make this life a wonderful adventure.
君たち、人々は、機械を作り上げる力、幸福を作り上げる力があるんだ。 君たち、人々は人生を自由に、美しいものに、この人生を素晴らしい冒険にする力を持っているんだ。
Then in the name of democracy let’s use that power – let us all unite. Let us fight for a new world, a decent world that will give men a chance to work, that will give you the future and old age and security.
だから、民主国家の名のもとに、その力を使おうではないか。 皆でひとつになろう。 新しい世界のために、皆が雇用の機会を与えられる、君たちが未来を与えられる、老後に安定を与えてくれる、常識のある世界のために闘おう。
By the promise of these things, brutes have risen to power, but they lie. They do not fulfil their promise, they never will. Dictators free themselves but they enslave the people.
そんな約束をしながら獣たちも権力を伸ばしてきたが、奴らを嘘をつく。 約束を果たさない。 これからも果たしはしないだろう。 独裁者たちは自分たちを自由し、人々を奴隷にする。
Now let us fight to fulfil that promise. Let us fight to free the world, to do away with national barriers, do away with greed, with hate and intolerance.
今こそ、約束を実現させるために闘おう。 世界を自由にするために、国境のバリアを失くすために、憎しみと耐え切れない苦しみと一緒に貪欲を失くすために闘おう。
Let us fight for a world of reason, a world where science and progress will lead to all men’s happiness. Soldiers – in the name of democracy, let us all unite!
理性のある世界のために、科学と進歩が全人類の幸福へと導いてくれる世界のために闘おう。 兵士たちよ。 民主国家の名のもとに、皆でひとつになろう。