うちの主人はさすがモロッコ人。 値切ります。 旅行先で、路上の土産屋などでは必ず値段交渉。 私と息子達は他人の振りです。
始めに出された値段の四分の一くらいで話をつけといて、始めの金額より多いお金をあげたりします。
「話していると、いい人みたいだったから。」
旦那に言わせれば、皆“いい人”なのです。
「まただよ。」
と、息子達は呆れます。
「そんななら、値切らなきゃいいのに。」
発展途上国へ行くと、主人はポケットに小銭をたくさん入れて、“いい人達”にお金をあげて廻ります。
「自分達には大した金額ではないけど、あの人達には今夜の夕飯代だからね。」
と、言いながら。
同じ神様を崇拝し、同じようなことを信じている宗教に関わらず、もめてばかりのキリスト教、ユダヤ教、イスラム教が、珍しくそろって“英雄”とする歴史上人物がいます。
サラーフ・アッディーン、通称“サラディン” (1138-93) シリア出身のエジプトの宰相。
エルサレムの街はキリスト教にとっても、ユダヤ教にとっても、イスラム教にとっても聖地なので、昔からどの宗教も所有しいのです。
イスラム教徒がエルサレムに長い間住んでいたのに、当然キリスト教徒がを自分達のものにしたくなり、“十字軍”を結成してエルサレムをのっとりました。
そこで現れたのがサラディンでした。 イスラム軍を率いれて、十字軍からエルサレムを取り返したのです。
その出来事を映画にしたのが、「グラディエイター」の監督、オランド・ブルーム出演の「キングダム・オブ・ヘブン」です。
かなり上出来な映画ですが、イスラム教がキリスト教を負かす映画なんて、欧米でヒットするわけないですね。
余談ですが...
この映画はモロッコがロケ場で、収録が終わってすぐに、うち家族は砂漠の中に建てられたエルサレムを見てきました。
もう少し早かったら、オランド・ブルームに会えていたかも。
とにかく...
サラディンは粋なことをした人なのです。
十字軍を率いた敵のイギリスの王が戦場で病気と聞きくと、エルサレムで一番の医者を診断に行かせ、果物や雪山の氷を飲み水用に送ったそうです。
十字軍がエルサレムをのっとった時は、物を盗み、住民をレイプ、皆殺し... 酷かったようなのですが、それでも、サラディンは“イスラム教徒らしく”と、兵士達に住民には危害を与えない命令を出したのです。 仕返しはさせませんでした。
その上、聖地エルサレムには、キリスト教徒も巡礼の出入り許可し、ユダヤ教徒をエルサレムに住ませたのです。
サラディンは常に困っている人達に自分のお金で援助していたので、サラディンが死んで彼の金庫を開けると、
まともな葬式をあげるお金も残っていなかったということです。
イスラム教の断食月の最後に、お金に困っている他人にかなりの金額をあげることになっています。
宗教心のない、ラマダンの断食もしているふりのうちの主人も、病気の人や無職になった人達を援助します。
サラディーンのように、ほとんどのイスラム教徒は他人を思いやる心が強い、平和主義の人達なのですが、
一部の過激なイスラム教徒のせいで、イスラム教徒 = テロリストというイメージを持たれてしまって、とても残念な、迷惑なことです。