思うに、ことエンタテインメントの世界において大成する人には大きく分けると2種類あって

「みんなをよろこばせるためにがんばる」か「自分をよろこばせるためにがんばる」か

一見前者の方が尊く優れているように思えますが、そう言うことではなく
向き不向きの問題として前者は主にアイドルに後者は芸人や作家などに向いているのではないかと

もちろんもっと他にもジャンルはあるのでしょうが


「みんなをよろこばせる」というのは意外と身近な感覚で
実は日常の延長に近いのかもしれない

ただ不特定多数が果てしなく多いだけで


けれど
「自分をよろこばせる」のはかなり難しい

それも自分自身で「喜び」を作り出さなくてはいけないならなおのこと

自分の中に「揺るぎない面白さの基準」を持っていなくてはお笑い芸人になど本来なれないはず
もちろん作家にも

まわりがいくらOKを出しても、自分自身が認めなければそこに満足も完成もない

そうやって自分を追いつめた挙句悲劇的な最期を遂げた人も少なからずいる



更に恐ろしいのが「感性は枯渇する」ということ

最初にそれを告げられたのはまだ大学時代
文学の講義中に教授の口から放たれた言葉の厳しさに慄然としました


「感性は枯渇する。遅かれ早かれ。いずれは摩耗し枯渇する」


その時をほんの少しでも遅らせるためにはどうしたらいいのか


きっと常に「新しい何か」を探し求めること
怯まず挑み続けること


柔らかな気持ちで


ただ難しいのは「劇作家」や「ディレクター」といった立場の人

よろこばせるのは「自分」だけでも「みんな」だけでもいけない


娯楽に正解はない

迎合し続けては何をしたいのかわからなくなる
独りよがりでは誰からも見向きもされない

おそらく今TVが岐路に立たされているのはそのあたりの問題なのでしょう


そしてもうひとつ気を付けなくてはいけないのは

「受け取る側の感性もまた枯渇して行く」ということ

様々に美しく姿を変えて楽しませ続けてくれる人たちを追い続けるには自分自身も心を磨き、柔らかく、かつ研ぎ澄まされた感性を少しでも長く維持しなくては


27時間TVを横目で見ながら、そんなことを思っていました