『フォロウィング』

【原題】Following

【製作年】1998年【製作国】イギリス

【監督】クリストファー・ノーラン

【主なキャスト】ジェレミー・セオボルト、 アレックス・ハウ、 ルーシー・ラッセル、 ジョン・ノーラン、 ディック・ブラッドセル




前から観たかった、クリストファー・ノーラン監督の長編デビュー作。 
HDレストア版が、アマプラで観られました。 これはありがたい。


低予算なのが見え隠れしますし、派手さはありません。 
プツンと切れる、シーンの繋ぎなど、気になるところもありました。

でも、モノクロなのが功を奏したのか?スタイリッシュです。特に、ロンドンの街角は雰囲気ありました。

煽ってくる音楽も、70分とコンパクトにまとまっているのも好印象。
大作続きの、今の彼にはみられない、自主制作映画 風味があるのも嬉しかったです。


ノーラン監督は、根っからの、“時間軸シャッフル好き” だということもわかりましたウインク


あらすじは…。


作家志望のビルは、創作のヒントを得るため、街で目に止まった人々を尾行する日々を送っていました。


そんなある日、ビルは、尾行していることをターゲットの男に気づかれてしまいます。


その男 コッブもまた、他人のアパートに不法侵入して、私生活を覗き見る行為を繰り返しており、


ビルは、彼に次第に感化されていき…。



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少々ネタバレあります。







アンニュイにみせてるけど、ただのぐうたら? で、ちょっと間抜けな主人公 ビル。 


とあるシーンでは、“教わったコト、な〜んにも実行してへんやん” と、ツッコミたくなりました。


と言いつつ、ポンコツにシンパシーを感じる私は、この哀れな青年を笑うことができず。

“ビル、実は◯◯なんだよ” と、トリックを教えたくて仕方がないのでした爆笑


それに、彼の容貌が変わるおかげで、時系列は意外とわかりやすかった。

“誰やねん” と思うほどの変化は、やり過ぎだとは思ったけれども。




一方、空き巣の師匠?コッブ。

不法侵入するのは 『金銭のためではなく、他人に興味があるから。スリルを楽しみたいからだ』 ホンマかいな口笛


『失くなって初めてその価値に気付くんだ』とかなんとか、余裕綽々で手ほどきする、アレックス・ハウの声が、カッコいい。 

と思ったのも束の間… 忍び込んだ部屋で見つけた、女性の下着を嗅ぐ姿には、ドン引きでした爆笑




冒頭とラストは、気持ちよく繋がっていましたが…


騙していたと思っていた、あの人物も、実はハメられていた???

デビュー作から多重構造だなんて、流石でございます。




ノーラン監督の作品に共通して描かれているのは、“生きること” だと勝手に思っているのですが…


今作でも、それは感じられました。

孤独でパットしない青年の、生きにくさ、閉塞感。


好奇心が身を滅ぼすのか? なんだか切なくなるのでした。