『フェラーリ』

【原題】Ferrari

【製作年】2023年【製作国】アメリカ

【監督】マイケル・マン

【主なキャスト】アダム・ドライバー、 ペネロペ・クルス、 シャイリーン・ウッドリー、 サラ・ガドン、 ガブリエル・レオーネ、 ジャック・オコンネル、 パトリック・デンプシー




ネタバレあります。






フェラーリに乗ったこともないし、車に詳しいわけでもありませんが、
高評価みたいだし、同じマイケル・マン監督の『ヒート』が大好きなので、期待して観に行きましたが…

う〜ん。微妙でしたショボーン 
伝記って、どこを取り上げるか?で好みが分かれるものだと、改めて思いました。

“ものづくり物語” が好きな私は、主人公が車の開発に奔走する姿を、勝手に期待していました。
車やレースにかける 燃えたぎる情熱が観たかったのですが、それがあまり感じられず。

かなり時間を割いていた、お金の工面や愛人問題に苦悩する姿に、モヤモヤしてしまいました。
まあ、自己責任なんですけれどチュー


描いているのは、苦難の1957年。 
フェラーリが大好きだという監督は、この年に、特に思い入れがあるのかもしれませんが…

この年を描く場合、避けることができないのは、女性問題のグダグダ。
(実際は、もっとひどかったようで)
大事故もあり、主人公の好感度が最低と言えそうな時期なのに、あえて?
巨匠の気持ちが、わかりまへん爆笑

それよりも、大事故から、どうやって会社を復活させていくのか? この後が観たかったのに。と、素人の私は思ったのでした。


とはいえ、当時のイタリアの再現具合は素晴らしい (特に、愛人宅が素敵) し、衣装の生地さえ凝っていました。

轟音響くレースの臨場感も、次々に変わる風景も素晴らしかったです。
何より、古いフェラーリが美しいウインク


さて、あらすじは…。

1957年。エンツォ・フェラーリは、難病を抱えた息子ディーノを前年に亡くし、会社の共同経営者でもある妻ラウラとの関係は冷え切っていました。

そんな中、エンツォは、愛人リナとその息子ピエロとの二重生活を妻に知られてしまいます。

さらに会社は、業績不振によって破産寸前に陥り、買収の危機に瀕していました。

再起を誓ったエンツォは、イタリア全土1000マイルを縦断する過酷なロードレース『ミッレミリア』に挑み…。


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モテモテで華やかだけど、死と隣り合わせのカーレーサーの生き様には、胸が締め付けられました。
クライマックスの事故のシーンは、とても恐ろしかった。

ブレーキ踏めないなんて、どんだけ勇気がいるんだろう。 それか、恐怖センサーが壊れた人たちなのかチュー

当時のドライバーのヘルメットは、フルフェイスじゃなかったことも知りました。


こんな命懸けの彼らについて、もっと尺を使ってほしかったと思います。


自身もレーサーだったという、主人公エンツォ・フェラーリ。
友を事故で亡くし、危険は重々承知だろうに、レーサーたちに無理を強いる。

会社存続のためには、仕方がないのかもしれませんが、命が軽いものになっているようで、辛くなりました。

もっと車への情熱が垣間見えたら、納得できたのでしょうが。



何かを成し遂げた人は、完璧な人であってほしいという願望がどこかにあるのですが、そんなはずもなく。
私生活では、妻と愛人との間でフラフラしている、エンツォ。

この頃のイタリアのセレブなんですから、愛人の 1人や 2人いても不思議ではない。 けれど、もっと、堂々としていればいいのに。

妻にバレるんとちゃうやろか? とビクビク。愛人宅から必死に帰る。
愛人には癒やしを求めるけれど、彼女との息子の認知は、伸ばし伸ばし。

どうしようかと、悩んではりますけど、自分の蒔いた種ですやんプンプン
根は優しいのでしょうが、その優柔不断ぶりに呆れ、妻にも愛人にも同情してしまいました。

特に、不憫なのは妻のラウラ。
自分の息子が闘病中に、夫の愛人が出産していた。しかも、関係は10年以上? その上、知らなかったのは自分だけえーん

同居する姑は、度々、無神経なこと言わはりますし。お母さんのことも放ったらかしやん、エンツォはん(怒)


ラウラを演じるのは、美しさを封印したペネロペ・クルス。 凄い迫力!!
何故だか、銃で撃とうとするシーンより、銀行での、筆圧強めの 怒りのサインに震えました。
 

で… 結局のところ、一番 “男前” だったのは、このラウラだったのではないでしょうか。

女性問題のグダグダはあまり観たくなかったけれど、彼女のカッコ良さのおかげで、気分が晴れたのでございました。
ありがとう、ペネロペ・クルス♡                

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アダム・ドライバーも好きですし、流石の演技力でした。

以下、アダムファンの方には申し訳ありませんが、オタクの戯言なので、ご容赦ください。


紆余曲折あったという今作。
イタいオタクは、どうしても考えてしまいます。
当初の予定通り、2016年にクリスチャン・ベール主演で撮影されていたとしたら? (撮影までに、体重が戻せないと辞退したらしいけど)

その頃、今以上に、ベール沼にドップリ浸かっていた私は、狂喜乱舞だったことでしょうウインク

でも、そうだったとしたら… 
大好きな『フォード VS フェラーリ』(マイケル・マンが、製作総指揮の1人だった) は、どうなっていたのだろう?

撮られたとしても、恐らく、ベール師匠のケン・マイルズは観られなかっただろうな。 それはあまりにも悲しい。

どっちやねんって話ではありますが、
何事も、タイミングが大事ってことですね。

ベール師匠の、役のための 激し過ぎる体重増減にも、問題があるのですが爆笑