『アメリカン・フィクション』

【原題】American Fiction

【製作年】2023年【製作国】アメリカ

【監督】コード・ジェファーソン

【主なキャスト】ジェフリー・ライト、 トレイシー・エリス・ロス、 エリカ・アレクサンダー、 イッサ・レイ、 スターリング・K・ブラウン




遅ればせながら、話題作を観ました。

正直言いますと… 
インテリで意固地な主人公が、ウザく感じられ、途中離脱しかけたのですが、

観続けると、不器用なこの男性が、だんだん可愛く思えてきました。
こんなややこしい人、苦手なのに。 
どうしたんだ?自分爆笑

“カシコ” に生まれたのに、自分の知性を上手く活かせない主人公。
おバカだったら、あんなに悩むことはなくて、幸福だったのにね。 なんて思ったりもしました。


好みが分かれるかもしれませんが、ラストは “お見事” と言いたくなりました。
最後まで観て良かったウインク


作品に黒人らしさが足りない、と評され、パッとしない作家のモンク。

自分を逃亡者だと偽り、別名義で、半ば ヤケになって書いた、冗談のような小説がベストセラーになりますが…。


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ネタバレあります。






『言葉警察』って呼ばれるくらい、言葉にうるさいモンク。

名は体を表すのでしょうか? 文句ばっかりやん爆笑


兄弟間はいいとしても、大学生相手に、イキらなくてもいいと思うのだけど。

もっと要領よくいこうよ、モンク。

(私も 要領悪いけどさ口笛



エリート揃いの、モンクの家ですが…

医師だった父親は自死し、頼りになりそうだった姉は急死。 

医師でありながらヤク中で 遊びまくりの兄、お母さんのアルツハイマーは悪化の一途。


モンク自身も、勤めていた大学は休職になるし、フツーに書いた本は売れないし。 もう、どうすりゃいいんだ。

絵に描いたような、泣きっ面に蜂えーん



そんな中、出版エージェンシー (この間 知ったばかりの単語爆笑) の、アーサーの話が とても良かったので、メモしておこうっと ↓


《ジョニーウォーカーの、赤は24ドル、黒は50ドル、青は160ドル。 全部同じ会社が作っている。

赤は 安物、黒は 少しマシ。 青は 上質だけど、高価なので売れない。

多くの人は、結局のところ、酔うことができればいいんだ。


今までのモンクの本の殆どは、上質で複雑な『青』だった。

味わい深いけれど、人気はなかった。

今回 初めて、シンプルでゲスな『赤』の本を書いたら売れた。

それは人々の欲求を満たしたから。

そこに価値がある。

『赤』を書いたけど、『青』を書けないわけじゃない。何でも書ける》


もちろん、自身のビジネスのためでもありますが、モンクのことを応援してくれるアーサーがいて、救われた気持ちになりましたウインク



モンクが、やけっぱちで書いた『赤』の本。 自分で “ゴミだ” と言うくらい、彼にとっては不本意なものでした。


描いたのは、“ステレオタイプの アフリカ系アメリカ人” です。


でも… その本を称賛する人たちを 冷ややかにみている、モンクや 女性作家のシンタラにも、どこか既視感あり。


“ステレオタイプの アフリカ系アメリカ人 インテリ層” のような気もします。


なんだか、苦笑してしまうのでした。