『インフィニティ・プール』

【原題】Infinity Pool

【製作年】2023年

【製作国】カナダ、 クロアチア、 ハンガリー合作

【監督】ブランドン・クローネンバーグ

【主なキャスト】アレクサンダー・スカルスガルド、 ミア・ゴス、 クレオパトラ・コールマン、 トーマス・クレッチマン、 ジャリル・レスペール、 アマンダ・ブルジェル




ブランドン・クローネンバーグ監督作品を観るのは、初めてです。

鬼才という噂通り、クレイジーな仕上がりでした口笛



幻覚シーンなど、時々チープ感あり… 

B級リゾート スリラーという趣です。

はい、バリバリの『R18+』でございます。

モラルの崩壊したリゾート地というのは、景色は美しいのに、地獄絵図のようでした。


悪趣味で不快、と思われる方もいらっしゃるでしょうが、私は、何だか笑えてきました。 
結構おもしろいと感じた私は、たぶん趣味が悪いのでしょう爆笑


あらすじは…。

スランプの作家ジェームズ (アレクサンダー・スカルスガルド) と、資産家の娘である妻エムは、高級リゾート地である孤島に、バカンスにやって来ました。

ある日、ジェームズの小説のファンだというガビ (ミア・ゴス) に話しかけられた 2人は、ガビとその夫と一緒に、食事をすることになり…。


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かなりネタバレあります。







まず、設定がクレイジー。

たとえ過失であっても、人が亡くなることになれば、ここでは殺人罪。必ず死刑になる掟ガーン
しかも、死刑執行は、被害者の家族が行います。 

でも、大丈夫ですよ~。 
お金がある方は、クローンを身代わりにできますよ〜。 
クローンが死刑になることで、あなたは、罪を免れるのです。よろしいでっしゃろ。 なんやこれ口笛

リッチ層を狙った、外貨獲得戦略なのでしょうか?
狂った遊戯なのでしょうか?

罠にはめられた主人公は、クローンに代わってもらいますが… 
命ごいをするクローンの、なんと哀れなことか。 
それをジーッと見つめる本人。
悍ましくて、首筋から背中にかけて、ひんやり冷たくなりました。



“こんなに危ないことの連続なら、命が幾つあっても足りない” 
と言うことがありますが、ホントに命が幾つもあることになるわけです。
で、そうなったら、ひとつの命が、とても軽いものとなってしまう。 人間の愚かさよショボーン

そして、自分は罰を受けないのだから、何やってもいいんだぜと、やりたい放題。 あの金持ち集団の、醜さよ。
問われるのは、倫理観なのでした。


印象に残った台詞は、主人公の妻が、オカシクなった夫を見て言い放った、
『ゴミ捨て場のカニの目』!!
奥さんが、気の毒になります。

ジェームズよ、キミは、奥さんの財力のおかげで、死なずにすんだんやで。 
なのに懲りずに、何度も誘惑に負けてるやん。 (というのか、そういう性癖なのかチュー)
主人公の愚かさに呆れます。




アレクサンダー・スカルスガルドに、ミア・ゴス。
理想的なキャストでした。

ガタイがよく、端正な顔立ちのスカルスガルドだから、情けなさと イカレぶりが際立ちます。

クローン製造のため、ドロドロの液体に入るのを観ていたら… 
彼の父上も『デューン』で、同じように浸かっていたことを思い出し、笑えてきました。


そして… またもや怪演の、ミア・ゴス嬢。 振り切っています。
最初は、可愛い声で誘惑し… 主人公を楽しそうに虐めまくる。 

車のボンネットに寝っ転がって、お酒を飲みつつ、『速く歩け〜!!』

女優さんにありそうな “綺麗に撮ってね” というが一切ない、あの顔爆笑

流石なのでした。


音楽や、エンディングなどのデザインも、カッコいい。
もっと、おもしろくできたとは思うけれど、独特の世界でした。


脚本も、監督が書いたそうですが、これって、やっぱり父親譲り?
クローネンバーグ家の、食卓を覗いてみたくなりましたウインク