『プリシラ』

【原題】Pricilla

【製作年】2023年

【製作国】アメリカ、 イタリア合作

【監督】ソフィア・コッポラ

【主なキャスト】ケイリー・スピーニー、 ジェイコブ・エロルディ、 ダグマーラ・ドミンスク、 アリ・コーエン、 ティム・ポスト




籠の中の鳥? 光源氏と若紫?
そんなことが思い浮かぶストーリー。

10代でエルヴィス・プレスリーと暮らし始めたプリシラには、自由がなく、エルヴィス色に染められていきます。

この作品だけ観たら… 
エルヴィス=モラハラ男、プリシラ=可哀想なお姫様、というイメージを抱く方が多いかもしれません。


でも、バズ・ラーマン監督の『エルヴィス』でのプリシラは、印象が違いました。 こんなにウブではなく、もっと大人っぽく、しっかりしていたような口笛

この 2人に限らず、こちらサイドと あちらサイドでは、感じ方が違うことってありそうです。


エルヴィスのファンの方が、批判されているのも目にしましたが…

プリシラの回想録がベースで、ご本人がエグゼクティブ・プロデューサーなのだから、“彼女ヨリ” になっていそうではあります。 (都合の悪いことは、描かれていないような…チュー )

なので、トゥルーストーリーとしてではなく、ひとりの女性が大人になる物語として観たいと思いました。


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少々ネタバレあります。





ワクワクドキドキできそう、と期待したのですが、平坦な演出でした。
☆☆☆★★って感じです。


でも、ソフィア・コッポラ監督らしいというのか、音楽 (エルヴィスの曲は流れませんけど口笛) や衣装がオシャレ。 
特に、プリシラのドレスが素敵です。

それを着こなすケイリー・スピーニーは、とても可愛い♡
けれど、エルヴィス好みに仕上がった、お人形のように感じられました。

黒髪に染め、アイラインくっきり、つけまつ毛をかかさない彼女。
髪の毛、どんだけ盛ってるねん爆笑

産気づき、病院へ向かう時でさえ、アイメイクを忘れません。涙ぐましい。 

綺麗なのだけど、痛々しい。
自分のメイクや洋服は、自分の好きにしたいと強く思いました。

実は、私が 一番美しいと思ったプリシラは、エルヴィスに出会う前。
ダイナーのカウンターにいる、孤独を纏った姿なのでしたウインク


残念だと感じたのは… 唐突過ぎる、プリシラの離婚宣言。
出会いから結婚までは、かなり尺を使っていましたが、別れようと決心した過程が、あまり詳しく描かれておらず、少し物足りなかったです。


娘を連れ、エルヴィスの元から羽ばたく彼女は、もう黒髪ではなく、シンプルなファッション。
精神的にも幼かった彼女が大人になり、勇気を出して、豪華な門を出て行きます。
『私の道を行く』と言う、その姿は、爽快でした。


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プレスリーさん一家について、詳しくないので、少し調べました。
(実話ベース、ということを忘れようとしたのに爆笑)

すると… これってやっぱり、 ”プリシラヨリ” ちゃうの?と思えてきます。

彼女のそれからの人生も、いろんな意味で、“エルヴィスの栄光頼み” だった (回想録を書いたことを含め) ようですし、
亡くなった彼らの娘は、回想録に批判的だったことも知りました。

なんだか、複雑な気持ちになるのでしたショボーン