『碁盤斬り』

【製作年】2024年

【監督】白石和彌

【主なキャスト】草彅剛、 清原果耶、 中川大志、 奥野瑛太、 音尾琢真、 市村正親、 立川談慶、 中村優子、 斎藤工、 小泉今日子、 國村隼



邦画はほとんど観ませんが、中川大志くんが出ているので、いそいそと出かけましたウインク

中川くんが出ていなければ、きっと観ておりません。 そういうわけで…
申し訳ありませんが、他のキャストの方々については、ほとんど触れておりません。 ご了承ください。


2019年のドラマ『G線上のあなたと私』でファンになりまして…
ここに感想を記してはいませんが、彼の出ている映画は、ゲスト出演であっても、全て観ております。

中川くんの どこに惹かれたかというと (2000字くらい書けそうだけど爆笑)
一番は、現在 25歳とは思えない、高い表現力があるからです。 
多彩な表情もですが、声と滑舌の良さは、一番の武器ではないでしょうか。
声のお仕事も度々しています。

ハーフの役柄もこなす容姿なのに、時代劇が似合うのも魅力。
大河ドラマ『真田丸』の豊臣秀頼、『鎌倉殿の13人』の畠山重忠も、好評を博しました。

けれど… ぶっちゃけますと、このところ、“映画では” あまり ”いい役“ に恵まれず。 中川くんの演技は、素晴らしく、華もあるのですが。

今作の役柄も、“モヤる人物” とのレビューを目にし、心を痛めております。
(というか、番頭さんが悪いと思うのですがチュー
でも、シブい俳優さん揃いの中、若々しくキラッと光っていたと思います。

演じているのは、萬屋の手代 弥吉です。 当主の遠縁で、後継ぎになる予定ですが、ミスもあったり、判断が甘かったり、まだまだ頼りない感じ。

そんなポンコツ風味もありつつ…
覚悟を決めてからは、キリッと凛々しかった。
終盤の、國村隼さん (萬屋の当主 役) との、迫真の演技には魅入りましたウインク


嬉しかったのは、清原果耶さんとの共演。
同じ作品に出るのは、4回目かと思うのですが、ガッツリ共演は、アニメ版の『ジョゼと虎と魚たち』の吹き替えの時くらいで… 実写映画で、気品ある 2人が並ぶのが観たかったのです。

序盤、一緒に碁を打つのが、微笑ましくて、ずっと観ていたくなりましたウインク
 
清原さんも、時代劇がよく似合う。 
武士の娘としての誇りをもち、重い決断をする姿に涙を誘われました。


さて、あらすじは…。

浪人 柳田格之進 (演 : 草彅剛さん) は、謂れのない嫌疑をかけられた上に、妻も喪い、故郷の彦根藩を追われ、

娘の お絹 (演 : 清原果耶さん) とともに、貧乏長屋で暮らしています。

格之進は、落ちぶれても、武士の誇りを捨てておらず、嗜む囲碁にも、その人柄が表れていました。

そんなある日、旧知の藩士により、冤罪事件の真相を知らされた、格之進と お絹は…。


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落語の『柳田格之進』から着想を得たそうですが、その噺を存じ上げず。
複数のサイトで調べてみました。
(映画は、そのままのストーリーではありません)

落語家さんによって少し異なるようですが、ザックリしたあらすじを、備忘録として残しておこうっと ↓


《 越前屋作右衛門の屋敷の奥座敷で、いつものように、当主と、碁を囲んでいた、浪人の格之進。

その時、番頭が、巾着を当主に預けに来ましたが、当主は上の空でした。

そして、格之進が帰った後、お金がなくなったことに気づいた番頭は、
『柳田さまが怪しい。お上に訴える』と言い出します。

格之進は、『たとえ身に覚えはなくとも、奉行所の取り調べを受けることは不名誉』と、お金を工面すると言いますが…

貧乏な浪人である格之進には、そんなお金はなく、娘の花が、吉原に身を売ることになりましたえーん
『もし、お金が出てきたら、作右衛門と番頭の首を、私にお見せください』と言い残して。


ところが、越前屋で、年末の大掃除をしていると、お金が出てきます。
番頭は、藩に戻った格之進のところに、詫びに行きますが…。


このままでは番頭の首が斬られると、作右衛門は番頭を庇い、番頭も作右衛門を庇います。

その姿に、心打たれた格之進は、
『これさえなければ、間違いは起こらなかっただろう』と、碁盤を真っ二つに 斬るのでした 》

“ならぬ堪忍するが堪忍” という、人情噺でございます。


結末は、何通りかあるようですが…
『娘は、番頭と所帯をもつことになり、長男は越前屋を継ぎ、次男は柳田家を継ぐことになった』
というのが、今はポピュラーなようです。


う〜ん。それだと娘の気持ちは?
現代の感覚だと… 女性をなんだと思っているんだ、と思わずにはいられません。 武士の娘とは、こういうものなのかえーん


映画は、これに柴田兵庫への仇討ちも、プラスされています。
『清廉潔白』であることの厳しさ、光と影を噛みしめました。

ススキの野原、風鈴、蝋燭の火、和傘、お月見、大晦日などのしきたり…
日本の自然や文化が、こんなに美しいことを、再確認することもできました。


観終わって… 中川くん主演の 時代劇映画が観たい、という願望がますます強くなりました。
殺陣も所作もバッチリなので、いつか実現してほしいなウインク