『ブラックベリー』
【原題】Black Berry
【製作年】2023年【製作国】カナダ
【監督】マット・ジョンソン
【主なキャスト】ジェイ・バルチェル、 グレン・ハワートン、 マット・ジョンソン、 ケイリー・エルウィズ、 マイケル・アイアンサイド、 ソウル・ルビネック、 リッチ・ソマー
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昨年、話題になっていたけれど、結局、日本では劇場公開されなかったようで…
遅ればせながら、観てみました。
スピード感あり、噂通り、おもしろかったです。
成功者の物語も、それはそれで感動的ですが、敗者の物語の方が、よりドラマティックなのかもしれません。
カナダのオンタリオ州の、通信機器メーカー『ブラックベリー』
世界初のスマートフォンを開発し、急成長しますが、iPhone の登場で、急降下し…。
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ネタバレあります。
実話ベースとはいえ、事実と違う点も多いようなので、そこは注意しなくては。 あくまでも、“ ここ ” では…
大会社になる前は、オタクの集まった、大学のサークルのようで、楽しそうでした
職場でゲームしても OKだし、『レイダース / 失われたアーク《聖櫃》』を皆で観て、盛り上がったり。
でも、いざ開発に取り掛かると、凄い集中力を発揮する。
モテないかもしれない ( 失礼 ) けど、
こういうエンジニア集団って、ワクワクします。
『魔改造の夜』というテレビ番組が大好きな私は、彼らがプロトタイプを作る姿に、テンション上がりました
代表のマイク ( ジェイ・バルチェル ) は、キーボードの音も気にする、拘りの男。
陰キャで、プレゼンは苦手ですが、
ノイズが気になると、チャチャッと自分で修正する姿は、これぞエンジニア。
でも登場するやいなや、何故だか、Unlucky 臭を感じてしまい、“ どうぞ彼に幸あれ ” という気持ちになりました。
こういうタイプに惹かれがち
マイクの親友でもある、ダグ ( マット・ジョンソン ) は、陽キャでオシャベリで、自由な男。
愛嬌あって、会社のムードメーカーって感じです。
『電話の中にコンピュータを入れたヤツは、世界を変える』と、高校時代 先生に言われた 2人。
それを今でも覚えているって、何かいいな。
そんな愛おしくなる連中が揃った、彼らの会社は、ストレスなさそうだけど…
経営は大丈夫なのか?と心配になります。
すると、やっぱり
そこに現れたのは、エリートビジネスマンだった、ジム・バルシリー ( グレン・ハワートン ) でした。
弁が立ち、仕事もできて、人脈もあるけれど、直ぐに激昂するタイプのようです。
エリート臭 強めの彼は、オタクたちとは、上手くいきそうにない
結局、マイクが技術担当 CEO、ジムがビジネス担当 CEO という体制になり、あれよあれよという間に大ヒットして、
一時的には、“ 我が世の春 ” になったわけですが…。
この会社の失敗した原因は、何なんでしょう? 素人なりに考えました。
◆一番の要因は、もちろん、iPhone が発表されたことでしょう。
タッチスクリーンのスマートフォンは、未来を感じさせ、魅力的でした。
それに比べ、マイクは、キーボードに拘り過ぎました。
しかも、クリック音まで気にする、完璧主義の彼。 中国製を受け入れることも、なかなかできませんでした。
会社を大きくしないで、コアなファン向けに、自分たちの作りたい製品を作り続けていた方が、彼は、幸福だったのかもしれません
◆ 2人CEO の弊害もありました。
ジムは、優秀な人材をヘッドハンティングするために、危ない橋を渡った。
しかも、そのことをマイクに報告しておらず、突っ走ってしまいました。
技術的なことがわからないジムは、iPhone 以上の製品が直ぐにできると、簡単に考えていたことも致命的でした。
一方のマイクは、かなり前から、自分たちの限界をひしひしと感じていたのではないでしょうか。
終盤の彼に漂うのは、焦燥感。
マイク推しの私は、切なくなるのでした
かと言って、ジムを拒絶し、あのままマイクが経営面も担っていたら?
大成功も大失敗もなく、“ そこそこ ” で終わっていたことでしょう。
ジムのような人物も必要です。
たぶん、生き残っていく会社は、技術と経営のバランスがいいのでしょうね。
で… 運が良かった?のはダグ。
方向性の違いで仲違いした彼は、
まだ高値だった自社の株を売り抜き、大金 ( 17億ドル?) を手にすることができました。
もちろん、彼も優秀なのでしょうが、
そもそも、マイクと幼馴染みだったということ自体が、ラッキーだった気もします
主要キャストの、不自然な “ カツラ ” が気になることを除けば、見応えありました。
結局のところ、壊滅的な敗北だったのかもしれませんが、夢を追いかける彼らは、素敵でした。